6 鳳凰暦2020年4月20日 月曜日5時間目と6時間目の間 国立ヨモツ大学附属高等学校ロッカー棟
あたし――高千穂美舞と酒田さんは、岡山さんと一緒に大急ぎでロッカー棟へとやってきた。10分休憩は短い。
「とりあえず、装備が必要です。持って出てきて下さい。それと、制服の下はもう体操服で、ジャージなら持ち出して、ハーフパンツならもうスカートの下にはいておくといいと思います」
「持ち出してどうするの?」
「わたしが預かります」
「預かる?」
「ええ。あの、内緒ですよ? これ、マジックポーチです」
「え……ええっ⁉」
「もちろん鈴木さんも持っています」
……それ、2年生の後半とか、3年生までお金を貯めて買うって聞いてるけど? 中には在学中には買えない人だっているって? 鈴木くんって、モモみたいな感じでどこかの御曹司なの? いえ、でも、モモだってそんなの持ってるって話は聞いたことない。モモ、特別扱いされるの、嫌がるタイプだし……。
「とりあえず急いで下さい。鈴木さんの放課後のダンジョンアタックはHRが終わったらすぐ移動してそのまま始まります。ロッカー棟で着替えるなどという考えは鈴木さんにはありません」
「そうなの?」
「時は金なりで生きている人ですから……先生からの呼び出しもきっぱり断ります……そして、わたしにも断らせます……いえ、最終的に断ると決めたのはわたしですが……」
「……」
もう既に何か失敗してしまった気がする。でも、ペアではなく、4人でダンジョンに入れるし、そのうちの一人はゴブイチRTAで一般とはいえ学年首席の人だ。それを信じて進むしかない。どう考えてもペアよりも効率は少しよくなるはず。何より、安全面も……。
「とにかく、装備は預かりますし、着替えも預かります。鈴木さんと一緒に動くのです。1秒でも早く、小鬼ダンジョンの前に集合しなければなりません」
「それで岡山さんはいつもすぐに教室を出てたんだね……」
納得したように酒田さんが言う。酒田さんの座席は岡山さんと同じで一番後ろだから、そういう姿を見てたのだろう。
「慣れればどうということもありませんけれど、慣れるまでは……一緒に頑張りましょう……」
やっぱりあたし、本当に何かを間違えたかも⁉
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