空から突然

さいころ

空から突然

「え?」


目の前に広かった光景に、僕はひどく驚いた。


空から、少女が降ってきた。


まるで優しい風が吹くように降ってきた。


5月の太陽が照らすその光景は、夢のように美しく、儚いものだった。



少女は落下してしばらくの間草むらによこたわっていたが、少ししてから何事もなかったかのように立ち上がり、あたりを見渡した。


そうして驚きのあまり立ちすくんでいる僕に気づき、不思議そうに僕を見つめた。


そして、微笑んだ。


少女の目は真珠のように輝き、肌はガラスのように透き通っていた。


少女は白いワンピースを風になびかせながらゆっくりとこちらに向かってきた。



「ねぇ、今君空から…」



僕が問いかけると、ふふ、と少し微笑みながら、僕に手を差し伸べ、こう言った。


「やっと会えたね。——」
















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空から突然 さいころ @saikoronooto

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