022 バブちゃん
傭兵団"虹の剣"は
しかし、クレインはいきなり
だが何故急にクレインはキスをして来たんだろうか……。
ベスタの時もそうだが、この世界でのキスは挨拶や握手みたいなものなのかな
ホワイトポーンも先の戦いで右腕をぶん投げちゃったり、無茶な動きをしたせいでガタガタらしく虹の剣は
惑星同盟領のコロニーへと戻るとケレスはクレインの看病、ベスタはG・Sの修理や整備、コリンとカイリは食料の買い出し、そして俺とテレイアはクレインの衣服や他のクルーの生活用品などの買い出しへと
「アイリス、
『アルコール?それはお酒類ですね、何か事情があるのですか?』
「肉体的にも精神的にもちょっとダメなの……」
なんだろう、アレルギーでも出ちゃうのかな?
『分かりました、お酒は
「お願いね……」
『オ゛フッ!?』
そうして、去り際になぜか俺の股間をポンポンと触った
「アイリス~!早く行くわよ~!」
コロニーの繁華街へと向かう道でテレイアが手を振っているので、小走りで歩み寄った。
繁華街のショッピングモールへ向かうと2人で買い出しを始める。
テレイアは商品をじっくりと見ずにパッパッとカートに入れて行く、せっかちなのかな?江戸っ子みたいな性格だ……。
「べぇきぃしゅん!!!!」
くしゃみもおじさんみたいだ。
「惑星同盟のコロニーは暖房が低くて冷えるわね……もっと厚着してくれば良かったわ!」
『上着でも買いますか?』
「大丈夫よ!とっとと買って帰ればいいのよ、そうだ!二手に分かれて備品の補充しましょう!」
ほんとにせっかちな性格だ……服とか小物とかゆっくり見て行ってもいいのに、そういう事なので、テレイアは他のクルーの衣服を、俺は医療品の買いだめを頼まれたのであった。
「じゃあ終わったらモールの公園でね、何かあったら渡した
テレイアはそう言うと背を向けてスタスタと衣料品が立ち並ぶ店舗方面へと歩いて行った。
俺も薬局へと向かう事にする。
だが俺は薬局へと向かう途中の立ち並ぶ店舗の中で
店から鳴り響く数々の電子音……"ゲームセンター"この世界にもあったんだ。
『………………』
ちょっと見て行くだけなら……。
俺はゲームセンターの中に入ると中を見渡す。
たぶんこの世界ではゲームはあまり流行ってなくて、開発の進化も遅いのだろう。
そんなゲーム達の中で目に留まったのがG・Sを操作するゲーム、当然『ギガント・スケアクロウ』では無くデモ画面を見る限りグラフィックも荒く
……1回だけ、1回だけやろう。
俺はおこづかいとして貰ったマネーカードを
うわぁ、なんだこのゲームは……BGMも単調だし、ビームも
あ、やられた……なんで?敵の弾に当たってないじゃん!
なんなんだこのゲーム!つまんない……
もう一回だ!
それから俺はこのゲームをひたすらやり続けた――
………………
…………
……
よっしゃ!クリアしたぞ、どうだ!
「こら!アイリス!!!!」
『わっ!』
後ろからテレイアに両耳を
しまった、時間を忘れてずっとこのゲームをやってしまってた……テレイアの足元には幾つもの衣類が入った紙袋、対する俺は手ぶらだ。
「買い物もせずに何遊んでるのかしら?」
笑顔だが、瞳の奥が笑ってない顔で詰め寄られる。
『ご、ごめんなさーい!すぐ買ってきます!』
俺は慌ててゲーム筐体から立ち、小走りでゲーセンから出ようとすると、背後で「喉乾いたからなんか飲み物も買って来て!」と聞こえたので『買ってきまーす』と返して薬局へと向かうのであった――。
パパっとメモに記載された物を買い込んで、ついでに売っていたエナジードリンクっぽい缶ジュースを買うと、走ってゲーセンに戻った。
すると、テレイアは俺が先ほどまでやっていたG.Sを操作するゲームを熱中してやっている。
「おかえりアイリス、これかなり難しいわね!」
『そうですね、フレ弱でガバ半だからデカ避けしながら置きエイで一確取ったら直ぐスプってレザアタをガメたらコロ芋って強ポジから……』
「は?意味分かんないし……すっごい早口!」
『ジュ、ジュース買ってきました』
俺はなんか恥ずかしくなって、飲み物をテレイアに渡す事でお茶を
「ありがとう!はりきったから喉乾いちゃって……んっゴク……ゴク……おいしい!」
相当熱中してやったのか、額に汗を
「このカードにまだ3万
『え!?』
「いつも頑張ってるからね、たまには自分が好きな物でも買ってきなさい、じゃあ私はゲームの続きするから……」
そう言うとテレイアは直ぐにゲームの筐体に座ってプレイを始めた。
もしかして、テレイアはそのゲームにハマってしまったのでは……?そういう事なら俺もどこかで時間を潰して彼女を遊ばせてあげよう。
俺は再びゲーセンから出ると、ショッピングモール内を見て回る。
服屋に入り色々見て回る。
しかし、自分が女性の身体になったからなのか、何を着ていいのか分からず結局いつも履いてる半ズボンの替えを手に持っただけであった。
まだ全然
そういえばテレイアが寒がっていたな、よしっ、買って渡そう。
俺は会計を済ませると、いつの間にか待ち合わせ場所となってしまったゲーセンへと戻る。
するとテレイアはG・Sゲームの筐体に座りながら前のめりになって突っ
ね、寝てる……?
『テレイア、どうしましたか?起きてください』
「う……ううう……」
むくりと起き上がって俺の方を見た。
な、泣いてる!?
俺はいつものギャップと、その可愛らしさに思わずドキっとしてしまう。
「ママあぁぁ!!どこ行ってたの!?
『えぇぇぇ!?』
そう叫んだテレイアは俺に抱き着いて来て、ワンワン泣き始めた。
これはただ事じゃない――
俺はしがみついて来たテレイアを連れて、"何事か?"とざわつき始めた周りの人達に頭を下げながらゲーセンから出ると、公園の人気のない場所にあったベンチへとテレイアを座らせた。
「ママ~、マ~マ♪どこにも行っちゃやぁよ……」
笑顔で身体を揺らしながら俺の右手を握りしめて離さないテレイア、俺は左手で
「はい……アイリスどうしました?」
『ケレス突然すみません……あのテレイアが急に泣き出して、お……、私のことを"ママ"、"ママ"って呼び始めたんです!』
「あぁ……アルコールを口に入れてしまったんですね」
え……アルコールなんて飲ませたかな?……思い当たるのは俺が渡した"エナジードリンク"
『私があげた缶
「ちなみに何てジュースですか?」
『"エール"って書いてありました、"ジンジャーエール"的な物かと』
「あぁ~……
『ごめんなさい……でも、一体何故にこの様な状態に?』
ふぅ、と一息を入れたケレスが答える。
「
亡くなった?……テレイアには母親が居ないのか。
「精神的な"
『ばっ!……"バブちゃん!?"』
なんだそれは、
「大丈夫よ……時間が経てば治るわ、それまで付き合ってあげて頂戴……船に戻って艦長としての
『分かりした、責任は取ります』
「お願いね……でも"
『う゛っ!』
「まぁ、そういう所も
ピッ!
俺は通話を切った。
「ママぁ……ママぁ……」
幼児退行した
『ど、どうしましたか?』
「おしっこぉ……」
お、おしっこ!?……幸い公園にあるトイレ近くのベンチだった。
『あそこにおトイレありますよ』
「やあぁ~……怖いのっ!一緒にいくのおっ!」
『え、それは……』
「
『わっ!分かったから行くから!』
俺は手を握られたテレイアに引っ張り込まれる様に公園のトイレへと入って行く
するとトイレの個室にまで引っ張り込まれそうになり、俺はドアの隙間から何とか握られた手を限界まで伸ばしてギリギリ個室に入ることから逃れた。
音を聞くな……遠くの青を想像するんだ――。
「ママぁ……」
『終わった?』
「
『ふっ!?』
それだけは踏み込んではいけないラインだ……。
『もうお姉さんなんだから、自分でフキフキしようね!』
「ん~ん……わかったぁ!」
ふぅ……。
「拭けたよぉ~ホラホラ見て見て~」
『わっ!分かったからパンツ履こう、ね!』
なんとか御手洗を済ませ、元の公園にあるベンチへと戻って来た。
「自分で出来たよ~、偉いでしょ?偉いでしょぉ?」
『えらいねぇ~』
頭を
「ママ~、おっぱい!」
『え!?』
テレイアは俺に抱き着いて胸に顔を埋めると、なんと服の上から俺のおっぱいを口に
『ちょっと!おっぱい出ないから、吸わないでぇ~!』
でもなんだろう……この感じ……あらあら、これが……
「んちゅ……んちゅ……ぷは!ママからはおっぱい出ないねぇ」
俺が着ているのはノーブラのボディースーツなので、ほぼ直に
『ごめんなさいバブちゃん……私、ママ失格かもしれないわ』
「ママはママだよ!……あれれ?ママはお股(また)にも
え?……あっ!ガッツリとテントが張った俺のズボン――
母性じゃなくて
「
テレイアが俺の股に顔を埋めて
俺は正気を取り戻し、この
『出ないから!そっちは"パパ的な"
《アイリス、
うわ、なんて高機能なんだ!
って言ってる場合じゃない、その
テレイアはグイグイと俺のズボンを引っ張り始め、それを拒否する俺、まるで相撲かレスリングの様な争いとなり、テレイアは謎のパワーを発揮して俺は負けそうになる。
「やぁ~!吸うのっ!」
『あっ……』
俺の半ズボンがズリ降ろされ、ボディースーツで隠されているが、プルルン
終わった――
しかし、何時までも吸われること無く、下を見てみるとテレイアは足首まで脱がされた俺のズボンに顔を突っ込んでいる。
「う゛っ!すごく動いたから気持ちが……悪く……う゛……う゛っ……」
テレイアが俺のズボンに顔を埋めながらプルプルと震えだす。
『え!?まさか!』
「おっ……おっ……おえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
『あ゛っ――!!!!』
俺のズボンに流れ込むテレイアのお口から放たれた
今日、俺はこのアンドロイドの
………………
…………
……
俺はトイレの洗面所で半ズボンを洗い、替えのズボンに履き替えてベンチに戻る。
公園のベンチには出すものを出してスッキリとした顔でスヤスヤと眠るテレイアの姿があった。
俺はテレイアの口周りを拭くと、ベンチに腰掛け彼女の頭を撫でながら顔を見つめる。
こうやって見ると普通の可愛らしい十代の女の子だ……。
この歳で傭兵団を結成し、自らの命と仲間達を指揮する責任を懸けて戦う――
色々と精神的に溜まって行くものもあるんだろう。
「ん……んんん」
テレイアが目を覚ました。
「あ、あれ?アイリス、私……寝ちゃってたの?」
どうやら"バブちゃん"は収まったようだ。
「ははっ……だめね、街中で急に寝ちゃうなんて……」
『いいじゃないですか、たまにはゆっくりと体を休めるのも』
「アイリス……べぇきぃしゅん!!!!」
『そうだ、テレイアこれを』
俺は紙袋から"マフラー"を取り出すと、テレイアの首に巻き付けた。
『寒そうにしていたので、貰ったカードで買っておきました』
「アイリス!」
テレイアは俺の両頬を両指で摘まみ上げ、軽く
『ん!?』
「いい?貴方が貰(もら)った物は
怒られてしまった……。
でも何故かテレイアは俺にではなく、まるで俺の瞳に映った
『ご、ごめんなさい……』
テレイアはふぅ……と一息付くと、
「でもね、アイリス……それでもね……」
まるで"バブちゃん"の様な純粋な笑顔で答えた。
「ありがとう――!」
そんな姿を見た俺は、既に頬を摘ままれていないのに暫くの間、口角が少しだけ上に
――――――――――――――――――――――――――――――
そんな中でケレスはテレイアに尋ねた。
「お嬢様、マフラーをしておりますけど……艦内の暖房を高く致しますか?」
「え!?あっ……大丈夫よ、大丈夫!」
テレイアは首に巻かれたマフラーを手でなぞりながら軽く微笑み
「うん……大丈夫♪」
そう呟いてブリーフィングに戻ったのであった。
――――――――――――――――――――――――――――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます