第1042話 雲母丸の現在

「あれ?そういえば。雲母丸ってシュート伯爵のところに預けてるんだよな?今雲母丸って何してるんですか?」

「うむ。雲母丸は吾輩のプロジェクトに協力してもらっている。流石機械神が生み出した子ども、とんでもない力を持っているな」

「……設計しただけだ。メインエンジンはこいつだからな?」


いや、エンジン設計もお前やん……

俺は稼働時に魔力しこたま注ぎ込んだだけだし。

俺とエクスが学生時代に作った移動用ゴーレム、雲母丸。

この前文化祭の人手不足解消を兼ねて復活させたあと、シュート伯爵に預けていた。

元々エクスがお願いしていた件でもある。


「雲母丸は深淵と深淵を結ぶ鉄道路線を構築、運行している」

「へー、深淵と深淵を結ぶ鉄道ですかー。そりゃすごーい」

「……お前、よく分かってないだろ」

「流石に馬鹿にしすぎでは?要は新幹線みたいに線路しいて深淵を走ってるんだろ?それぐらい分か……はぁ!?深淵?!?!」

「……気づいたか」


し、し、し、深淵を繋ぐ?!

深淵ってざっくり言うと異世界ですよね?!

そ、そんなことに雲母丸を?!

てか、それやって大丈夫なやつ?!


「し、深淵、というか異世界を鉄道で結ぶって……大丈夫なんですか?世界が共倒れで壊れたりとか……」

「カッカッカッ!それは漫画の読みすぎだぞ?流石にそこは考えている。魔力が少ない深淵に繋ぐ際はこちらの魔力が流れていかないように制御しているし、逆のパターンも考えられるから繋ぐ時は吾輩のゴーレム達を使用して徹底的に調査をさせている。今は深淵1歩手前にある死者の国……ロクスのところと吾輩の領土を繋いで1日1往復走っておるよ」

「……死者を導く鹿の王か。あそこは通常配達も出来ないところだからな。電車が通るならありがたい」


エクスが嬉しそうに頷く。

……いや、通常配達って。

お前んとこの通販会社、大手運送会社と提携とかしてないやんけ。

てか、死者の国に荷物配送する人とかいるの?!

あ、ギリシャに配送専門の神様部隊がいる?

それは知らなかったー。

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