第1034話 深淵へのポータル
「キャウ、ポータル、ですか?」
「ワン!オーガ、タオス?」
「クゥ、ポータル、あっち」
「ワウ、ポータル、すぐ使える。この後、素材集め、行く」
豪鬼さんに担がれてコボルト達の住処を歩く。
さっきであったチワワと柴犬が他のコボルト達と話していたからポータルについて聞いてみた。
話を聞く感じ、奥に固めて置いてあるらしい。
歩いていくと確かに巨大なクリスタルが鎮座していた。
地面と接するところが見たことも無い装置になってる。
「……ふむ、このボタンを押せば亜空間に収納出来るのか。流石伯爵、無駄に凝った作りだ」
「あー。やっぱり伯爵って人か。確か雲母丸預けてるんだっけ?深淵の人。後グリュンさんのパトロン?」
「……そうだ。おそらくイサマは伯爵の世界に逃げ込んで、そこからここに転移してきたんだろう」
なるほど、そういう事ね。
つまり今から深淵に行く場合は伯爵様の深淵(異世界)に転移してそこから別のポータルでイサマさん達の世界に飛ぶと。
……何だろう、結構大変そうー。
「ポータルってのは触ればいいんだな。それじゃ行くか!」
「ちょ?行動が早い!」
「……はぁ、マジで行くのか」
豪鬼さんが早速ポータルに触ろうと手を伸ばす。
その時、奥がガヤガヤとうるさくなる。
振り向くと葛葉さんとイサマさん、他コボルト達が走ってきていた。
「ちょ?!何しとるんじゃ?!打ち合わせしとるというのに!」
「まさか、オーガを倒す?流石に、早すぎる」
ぜぇはぁと肩で息をしながら葛葉さんとイサマさんが話す。
そりゃそうだ。
デーモンオーガとかいう災害クラスのモンスター討伐を助けてくれ、と言われて政府関係者とオンラインで会議してたっぽいのに、ふらっと来た人が凸りに行こうとしてるんだもん。
「おう!犬っころ、俺が殴ってくるから待ってな!」
「……と、申してますが様子を見に行くだけです。酔っぱらいの戯言です」
「……倒せると思ってないからな。イサマの友人に挨拶だけしてくる。絶対に戦闘はしないぞ、めんどいから」
「……ノリが田島殿と同じなの、同郷感があるのう……いや、待て!深淵に行くのはやめろ!」
「……友人、今はオーガを、止めに行ってるはず。城には、いないのでは?」
あー、確かに?
イサマさん達を逃がす時間を稼いでいる可能性もあるのか。
尚更早めに行く必要はあるけど、神格クラスって言われている伯爵様なんだよね?
……やっぱり準備してから行くのが1番では?
「豪鬼さん、やっぱり後日行きましょう。付き添いなら俺のランクであれば全然余裕」
「……もう転移したぞ」
は、早いよ豪鬼さん!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます