第1014話 いざ中層へ
「ふぃー。久しぶりに水の術式を使ったわい。ワシ、炎適性が高いから水属性の術は消費魔力が多いんじゃよ……はぁしんどいわい」
「……適正無しであの水量。日本古来の術とはいえとんでもない威力だな」
「今回は特例じゃよ。秘術じゃし、そう何回も使えんて。さて、クリムゾンミノタウロスは後で地上で捌くとするかのう」
「あ、今から血抜きとかしないんです?焼いて食べましょう!倒したての肉質が気になります!」
「「ここに来た理由を思い出せ!この食欲の権化!!」」
はっ!そうだった。
コボルトキングを倒すんだった。
早速中層へ突入する。
中層に入ると一気に雰囲気が変わった。
足元はなんかヌメヌメしてるし壁もなんかテカってる。
こういう所、初めてのダンジョンって感じがするねー。
確か人が多く通ると道が歩きやすくなるんだっけ?
ダンジョンの奥に進ませようとしているかのようにいつの間にか道が綺麗になっているとか。
ダンジョンにある未解決の謎のひとつやね。
「『迷宮掌握』!……ふむふむ。おぉ、コボルトの反応多!確かに異常な気がしますねー」
「……一番群れているところはどの辺だ?」
「んーと、多分下の階層に降りる手前やね。ボス部屋の手前のセーフゾーンっぽいところ?」
「おや?セーフゾーンとな?あそこはモンスターが寄り付かないはずじゃぞ?」
確かに!
ダンジョン内にあるセーフゾーンと呼ばれる場所はモンスターが入ってこない場所。
基本は目につかないところや岩陰、入口が狭かったりして入ってこられないことが多い。
後セーフゾーン特有の植物が生えてたりするのでその匂いが俺たち探索者の匂いを消すとか逆に呼び寄せないんだとか色々言われてる。
けど、今回のコボルト達は明らかにセーフゾーンにいるっぽいんだよねー。
基本下の階層に降りる前にセーフゾーンがあるんだけど、位置は基本同じ。
もしかしたらこのダンジョンが特殊でセーフゾーンがないパターンかもしれないけど、珍しいことに変わりはない。
「さて、とりあえずその場所まで向かいますか?思ったよりこの区画広いみたいですし」
「そうじゃのうー。サクッと終わらせた方がよかろうて」
「……そうだな。その方が……む?」
「ん?どしたエクス?なんかあったか?」
突然エクスが後ろを振り返る。
「……獣?上で湧いたか。今から戻るか?……」
「獣?それって、イレギュラーか?!」
「……あぁ、だが大丈夫そうだ」
「ほう?その心は?」
「……鬼がいる」
「「おにー?」」
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