第950話 〈閑話〉ミートパイの店にて
「今日はありがとうございました!大変美味しかったです!」
「ほんと、いいんですか?きょうの料理、自分が出しますって」
「いいっていいって!俺達はお金はあるんだから」
「フッフッフ、僕たちはまだここにいる予定だから」
「そうそう。まだ喋り足りないし飲み足りないからね。ホッホッホッ」
「君たちは観光を楽しんできなさい」
「……すみません、ありがとうございます。あ、もし日本に来られたら連絡ください!美味しいお店紹介します!熊本限定ですけど!連絡先交換しましょう」
「あ、私も!東京のグルメは少しだけ分かりますよ!……はい、これです!」
「ホッホッホッ、ありがとう。もし日本に行くことがあったら連絡するよ」
「お嬢さんも元気でな。あ、そういえば……はい、キャンディーだ。記念にどうぞ」
「わーい、おじちゃんありがとう!ぱい、おいしかったよー!」
「んー、ばいばい」
「おう、嬢ちゃん、少年も元気でな!しっかり育てよ!ガッハッハッ!」
「……ふぅ、思ってたより普通だったな」
「デルバー、あれが普通か?バカも休み休み言え。常時とんでもない魔力を放出してただろ?しかもあの少年、俺達のこと見抜いていたぞ?」
「フッフッフ、言葉遊びにしてはタイミングが良かったもんな……流石、噂に聞く東洋の怪物、その家族達だ」
「ホッホッホッ、お嬢ちゃんも中々の素質じゃよ。とんでもない量の魔力を溜め込んどった。今の儂らならまだ余裕じゃが数年後、とんでもないものに成長するだろう……この土地に顕現してから久しぶりにワクワクしたぞい」
「まーた昔話か。もう60年聞き飽きたぜ。終末が訪れると思って顕現したらすぐに戦争が終わって帰ってもいいけどもしや、で残り続けてるが……」
「そこからここに来て毎日駄べり、食べ、飲む生活……」
「『終末を伝える者』と言われとるが、実際問題終末が起きてもらわんと仕事にならんからのう……あ、ウエイトレスさんや、パイとコーラをひとつ」
「だが、楽しみも増えた。あの男、バカ強いからな……なぁ、ウエストン。あの時のキノコ雲なんかより数倍、いや数百倍終末を呼ぶ力を持っている……」
「だがデルバー、絶対に使わないだろ。あの姿を見たか?ただの家族を愛する男だぞ?」
「だな。あれじゃ終末はまだ来ないな」
「はぁ、まだこの生活が続くのかー。一旦帰ろうかのう……そろそろ埃が気になる頃じゃし」
「お、パーカー。『家』に帰るのか?何十年ぶりだ?なら帰るついでにアレぶっ飛ばしてからにしてくれ!サクッと終わるじゃろ?」
「あれ?……あぁ、妖精が作った哀れな騎士の事か?確かあと1人……いや、1匹残っているんだったか?」
「フッフッフ……寂しいだろうなー。数百年、意思はないにしても一緒にいた仲間が死んだら」
「悲しくて暴れるってか?けっ!無い無い。元々死を求めて強者に挑んでいたやつだぞ?それこそフランク、お前は喧嘩売られただろ?」
「それはデルバーだよ。僕は青いやつさ。コーラ飲んでる間に干からびちゃったけど。まぁ、いつでも倒せるし、人間がどーにかするって思ってたからねー」
「……儂よりもデルバーの方がええじゃろ?儂は『疫病(plague)』を司るものじゃぞ?『死(death)』の方が強いに決まっとる」
「家に帰るならついでだついで!何なら俺も暇だしついて行くって」
「『戦争(war)』のウエストンも行くのか。デルバーと二人でここで飯食べるのも飽きるから僕も帰ろうかな。『飢餓(farmine)』の僕でも爺さん2人じゃ味気ないし」
「その言い方はなんだ?フランク、俺と飯食べれないって?!」
「バカ野郎!立ち上がるなって!パイが落ちるだろうが!デルバー!」
「キレ芸は『戦争』の俺、ウエストンの立ち位置だからな?!デルバー!お前がキレると周りの生き物が死滅するって!影響を考えろ影響を!」
「ホッホッホッ、毎日変わらない日常じゃ。ひとつまみのスパイス……タジマアラタとはどんな人物なんじゃろうな。時間はあるし、いっそ遠出していろいろ調べてみようかのう……あ、暴れるなら程々にしてくれよ?特にウエストン、流石にテーブルの修理費は持たんからな?」
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閲覧ありがとうございます!
明日から8月!
無駄に暑い!
そして、誕生月!!!
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