第948話 相席
「しぇいく~しぇいく~はんばーがー!!!」
「はいはい、ちりちゃん。前向いて歩いてね」
「そうよ。人がいるから気をつけてねー」
シェイクを持って陽気に歩くちりちゃん。
このハンバーガー屋さん、外から見たら人少なく見えたけど入ってみたら結構賑わってたよ。
世界的有名店のハンバーガーもいいけど、ご当地バーガーも人気なんやねー。
ちなみに店の中で聞き耳を立ててみたけどパイの注文の方が多かった。
パイ、気になるなー。
「はーい、きをつけ……あて!」
「ん?何だ?子どもか?」
ちりちゃんが歩いていると前の人にぶつかった。
「あ!すみません!うちの子が!ちりちゃん、前見てって言ったのにー」
「ごめんなさい!まえみてなかった……」
「ん?あーいいってことよ。ズボンも汚れてねぇしな。それよりも、嬢ちゃんのシェイクはこぼれてねぇか?」
「うん!」
「本当にすみませんでした。お怪我とかないですか?」
ぶつかった人は革ジャンにアメリカ国旗のバンダナを巻いた初老の男性。
筋肉ムキムキ、ゴリゴリのマッチョマンです、はい。
多分街中であってたら無言で道を譲るタイプです。
……こえぇよー。
「ガッハッハッ!子どもにぶつけられて俺の骨がおれると思うか?アジア人はジョークも上手いな!大丈夫だ、怪我なんてしてねぇよ」
「よ、よかったですー」
「ん?ハンバーガーセットか?子どもはシェイク?ダメダメ、ここはパイが旨い店だぞ?パイ食わねぇのは勿体ねえよ」
「へ?あ、やっぱりそうなんですか?店の看板にはハンバーガーがデカデカと出てましたけど?」
「ん?お嬢さんはこの嬢ちゃんの母さんか?そりゃハンバーガーの看板を出しとけば勝手に人が来るからな!」
……そんなことは無いと思うけど。
喋ったのも縁なのでこの男性と一緒にご飯を食べる事に。
この人、ウエストンさんは地元の人だそう。
席に案内されたら他にも3人いた。
ウエストンさんの友人でこの店が出来た60年前から毎日欠かさず来ているんだそう。
毎日ってすごいよねー。
そんなに美味しいんだ、ここのパイ。
「改めて、ウエストンだ。よろしく。こっちの男が……」
「デルバーだ。嬢ちゃん、ウエストンにぶつかったって?怪我なかったか?このバカ、無駄に筋肉あるから硬かったろう?」
「ウエストンは筋トレばっかりだからなー。フッフッフ。僕はフランク。よろしくー」
「フランクの腹だったら跳ね返されて怪我してただろうよ。ホッホッホッ……ワシはパーカーという。ハンバーガーだけだと寂しいだろう?ワシ達が奢るからパイを食べていきなさい」
「いやいや、奢ってもらうなんて!お金はありますから」
「ガッハッハッ!なーに、俺達もお金は持っているさ!子どもはしっかり食べて大きく育ってもらわんとな!お前さん達夫婦もな」
「すみません、本当にいいんですか?」
「「「「いいってこった」」」」
「わーい!ぱいだー!」
「……むにゃ、ぱい?」
あ、りゅうくん起きた?
ならお言葉に甘えていただきますか!
後ちりちゃんは店の真ん中で踊らないで……
――――――――――
閲覧ありがとうございます!
寄り道編で一週間もたせられるかな……
あ、新作公開日です。
多分ミスってなければ16時に公開予定です。
……時間何時頃がいいんだろうなー。
星、ハート、コメントよろしくお願いします!
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