第728話 〈閑話〉ある二人の会話
「今日はおつかれさまでしたー!次はアメリカで!ばいばーい!」
「……ほんと、すみません」
「いいってことじゃよー。若い子はこれくらいガッツがないといかんぞい」
「いよ!さすが最年長亜人!分かってるー!」
「……燃やすぞ、おりん」
「すんませんでした」
「まぁまぁ、今日は無礼講ってことで」
「ほら、タクシー来たぞ。みんな乗って、うん」
「いやー、すまんねー。店仕舞いまで手伝わせて。それじゃおふたりさん、お疲れ様ー」
ガヤガヤガヤ……バタン……ブーン……
「……さて、すまんのう。眠いと言っておったのに」
「なーに、話を合わせないと皆で朝までカラオケですから、うん。そもそも今からが、俺たちの時間ですから、うんうん」
「……その口調どうにかならんのか?お前さん、前あった時はそんなんじゃなかったじゃろ?」
「……芸能界はキャラ付けしないといけませんから。普通に喋っても売れないですし。ふー……まぁ、他のメンバー居ないし戻しますかね……で、何事ですか?ただのキーボードを呼び出して」
「嘘つけ、全く……うむ、サクッと話すぞ。ワシも酒が回って眠いしな……アメリカに行く際『蠱毒』を持って来てくれ。量はそこそこで良いぞ」
「……そりゃどういうことで?あれは禁忌の毒……むやみやたらに持ち出すのは禁止されているはずでは?」
「……何やら嫌な予感がしてのう。田島氏がおるからほとんどの問題は大丈夫じゃと思うが万が一、億が一のことを想定しておいた方が良いかと思ってな。ワシも行ければ問題ないんじゃが当分日本からは出れんだろうしのう。『蠱毒』の持ち出し及び使用許可は既に取り付けておる」
「……田島さんを倒して襲ってくる敵、そんな奴に出会ったら潔く死を選びたいですね。今日飲みましたけど、絶対に敵に回したくないお方ですよ……そんな方がやらかすとは思えませんが」
「絶対にない、とは言いきれんのじゃよ。今回は世界的にも亜人界隈が注目しておるしなー。あとあやつはPONするぞ」
「……その言い方はどうかと。まぁ、田島さんは一応人間ですしね。影分身も出来なさそうですから……了解です。嫁に何か聞かれると思いますが適当に誤魔化しておきますよ」
「何、喋っても構わんよ?お前とワシ、いーちゃんの仲じゃしのうー。何なら後でKine送っとくわい」
「……嫁をいーちゃんと呼ぶのは葛葉様だけですよ?他の妖怪が言ったらすげー怒るんですから」
「未だに子供の姿をしておるあやつが悪い。茨木童子で『童子』と名乗ってはおるがあれは山をも投げる大鬼じゃろう?ちっこい姿をしておるならいーちゃんで十分じゃわい」
「……アプリゲーで金髪赤角幼女のイメージが付きましたからねー。それに合わせて髪も染め直したんですからね?後、若く見られたいのは女性の性では無いですか?桜葛葉さん?」
「うぐっ……そこを言われると何も言い返せんのう……まぁ、お前さんもばんど?をやっとるし世界は変わるもんじゃのう」
「俺は前から引いてましたよ?人に化けて琵琶引いて生活してましたし。伊達に手が6本ないですから」
「……それもそうか。流石は『嵐山の大蜘蛛』じゃのう。その調子で平和に過ごせよ」
「……今はスパイダーARASHIなんですがねぇ、うん」
「カッカッカッ、そうじゃったなー。まぁお互い無理せず、じゃぞ」
「御意」
―――――――――
閲覧ありがとうございます!
鬼蜘蛛にしようと思ったんですけど、鬼蜘蛛って妖怪いないんですね。
このフラグはどこかで回収予定です!
……平和が一番ですけどねー。
星、ハート、コメントよろしくお願いします!
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