第703話 黒魔の素材

「わぁーお……こりゃすげーなー」

「最初期からギルドにいるけど素材になってまでこれほどの魔力を出しているのは初めて見た」

「……これは人では勝てないな」


素材を見て鹿児島の志布志副支部長、佐賀の武雄副支部長、そして長嶺さんが驚く。

白川ダンジョン受付の横、ここはダンジョンで採取されたモンスターの素材を買取った後一時保管する倉庫です。

基本大型モンスターが出ないと使われることは無い。

……1番使ってるのは俺です。

……指名依頼でオーガとかワイバーンとか倒してますからね。


とりあえず頂いた黒魔の素材を並べる。

量が多いけど並べてみると結構あるね。

しかもデカイ!

皮1枚だけでトラックが余裕で転回できる広さの床を覆い隠したよ。

しっかり折りたたんであったから気づかなかった……

角と骨がデカイのは分かってたけどね。

どんどん出していくと倉庫がいっぱいになりました。

骨はほぼ全身骨格になるねー。

見た目は鯨かな?

角が4本あるし、牙も2本生えてるっぽいし大きさ的には20メートルは超えてるね。

ついでにヒレとかも乾燥させたやつが残っているから大きさが実感出来る。

……なんか下顎に穴が空いてるけど気にしたら負けかな?

福岡の人達が持ってきてた魔力計測器で計ってみたらワイバーンを遥かに超えてるってさ。

まぁ軍艦とやり合ってるモンスターだからドラゴンクラスだよねー。


「さて、これだけの魔力は中々見れるものじゃないのう……国分寺、この皮の材質どうみる?」

「……葛葉さんと話すと年齢を疑いますね。ふむふむ……触った感じは小笠原ダンジョンに生息しているグレートホーンホエールっぽいですが、色味がこっちの方が黒いですね。グレートホーンホエールは大型船などの海上設備の素材に重宝されてますからね……島原さん、確か長崎はホエール系素材を多く募集してましたよね?いかがです?」

「これは素晴らしいですね……近年稀に見る良質な皮と骨です。ホエールの素材は佐世保や長崎の造船所が欲しがってますから買い取れるならガッツリ買い取りたいです。ただ、深淵素材となると効果検証からですからね……」

「確かにのぅ。大型船といえば長崎の造船所は広島と並ぶ大規模じゃったが、効果がわからんと買取はきついか」

「……ですね。流石に買い取って使ったら性能が落ちた、なんてことになったらシャレになりません」

「ギルドはもちろん、造船所の株価にも影響します」


長崎の島原さんと彼杵さんが手を上げる。

確かに、まだ実証されてないならすぐに使えないよね。

大学とかで研究してから、ってことですね。

佐世保の造船所、俺も見に行ったなー。

長崎は歴史的にも大手造船所があるせいか大小様々な造船所がある。

タンカーとか作っているところ見るの楽しい。

でかいヤツはいいものです。


その後も骨や牙を重点的に確認してみました。

深淵素材は効果が分からないのでみんなで見てみるだけになりそうです。

有識者が揃っても前代未聞ですからね。

だろう、でしか話せないから言葉数も少なくなるよ。

さて、買取はどうしましょう?

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