第589話 2日間の予定を決めてお開き

「とりあえずそういうことで久しぶりに往復運行して欲しいんだよ」

『ん、分かった。たまには運動もしないとねー。魔力もいい感じに循環してきたから動けるよ』

「……口調が丸くなりましたね。けどまだ信じられない……」

「なんというか、驚きしかないです」

「ふんす!乗っていい?」


雲母丸にことの詳細を伝えて了承を貰ったので計画に移る。

宇佐君はまだ半信半疑で別府君は頭を抱えてます。

今藤さんは雲母丸に乗って色々見てる。

変なレバーとか触らないでねー?


さて、本題に戻って。

雲母丸には朝と夕方は崩城大学と上熊本駅間を、昼間は駐車場と機械科棟のふたつのルートで往復してもらうことに決定した。

まぁ、車で来る人はそこまでいないし、荷物も少ないと思うので歩いてくる人が多いからね。

実際問題、シャトルバスの運行情報も分からないし1本路線を通すなら早いもんねー。


「はい!質問があります!」

「はい、宇佐君。なんでしょう?」

「機関車……もとい雲母丸さんはそもそもどうやって動くんですか?レールとかないですよね?」

『フッフッフッ。機関車がレールを走るなんて時代遅れ!最新型は空を飛ぶのさ!見よ!このブースター!熱を周りに放出することなく推進力を生み出すのだ!上空3000メートルまで浮上することも可能!……ってマスターが言ってた。ぶっちゃけ空を飛ぶなら車より早く走れるよ。歩行者優先で地上だとリミッター付けてるだけだし』


シュポー!と煙突から煙を吹き上げる雲母丸。

……擬人化したら絶対ドヤ顔してるんだろうなー。

けど、雲母丸が言ったことはガチです。

まぁやるなら性能増し増しにしてやろうと盛りに盛ったからね。

空飛ぶ機関車って憧れやん?

銀河鉄道とか乗ってみたいやん?

そういうロマンを追い求めた結果なのです……

まだ色々仕込んでるけど、今回は使わないし黙っていよっと。



「ん、それだけの性能があるなら何を運んでたの?」

『模擬店で使う食材と機材。後歩き疲れたあーさん』

「あの時は調理用の水とガスは各自準備だったからなー。お好み焼きとか豚汁を出てたサークルからヘルプが来てたなー」

「……技術の無駄使い」

「……なんだろう?冗談は存在だけにして貰えます?」

「……宇佐、俺はもう受け入れることしかしないぞ」


サラッと酷いことを言うもんだ。

こういうのは流れに乗る方が人生楽しめるから。

緩やかに行こう緩やかに。

まぁ、シャトルバスの運行面が楽になると思ってもらえればいいよー。


そんな感じで色々打ち合わせをしました。

後でTmitterに雲母丸のことアップするらしいのでバッチリ記念撮影してきたよ。

我ながらいい角度で取れた。

途中汽笛の音を聞いて西原先生がやってきたけど雲母丸を見たあと、ちょっと話しただけで帰っていったよ。

学生時代はすげー呆れられたけど今回は特別、ということで許してくれた。

明日何人来るか分からないからね。

後輩サポートですよ後輩サポート。


「じゃ、当日何かあったら連絡してー。一応昼過ぎには顔出しがてら家族で来るから」

「模擬店楽しみにしてますよ!」

「はい!田島さんの期待に応えてみせます!」

「怪我がないように実行委員、ボランティアに指導徹底させますね」


うんうん、しっかりした委員長と副委員長ですね!

楽しみに待つとしましょう。


……あれ?福崎さんから電話?





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