第329話 酒は適当なものを使います(深層産)
「次は中骨を取るかぁ。あーさんもこれくらいなら出来るだろ」
「あいよー。久しぶりに包丁握るぜ」
「……俺には頼まないのな」
「「お前にやらせたらミンチになるだろ!」」
:草
:それは正しい
:そもそも手の大きさがヤバい
:ロブスターワンパンする腕力とスキルありきでも国内最高レベルw
:中骨もでけぇ
:アニサキス怖い
「ふーん、じゃ俺は飲水でも確保してくるわ。確かピュアホワイトウォーターが湧くんだっけか?」
「お、ありがとうぅ。あれがあると寄生虫が綺麗に取り除けるから助かるぅ」
ゴン太がセーフゾーンを出ていく。
ゴン太、何だかんだ拗ねてもやってはくれるからな。
ピュアホワイトウォーターは海洋深層水にダンジョンの魔力が溶け込んで出来た水。
何故か寄生虫が嫌いな成分になっているらしい。
海鮮料理を出す店なら必ず使用してる位には効果があるって。
中骨を取り終わって、次は漬けにするための調味料。
俺が持ってきてるのは醤油、にんにくチューブ、焼肉のタレ、あとは七味唐辛子とかほりこしなんかのスパイス。
あ、わさびもあった。
「酒とみりんがないなぁー。あれがあると締まるんだけどぉ」
「酒かー……あ、そういえば」
随分前に拾っておいて寝かせてたやつがあった。
ランファに見つかったらすぐ飲まれるからって隠しておいて忘れてた。
「ほい、多分蒸留酒」
「……どこから拾ってきたやつ?深層のやつかぁ?」
「そそ。この前ドロップした。確か蛇のやつ。買取に出すの忘れてた」
「蛇酒かぁ……あれは癖が強いし度数高かったら料理に使えないぞぉ……」
:深層の酒www
:何でも持ってるなおっさんwww
:どこでドロップしたんだ?
:後で説明求む○熊本県ギルド公式
:蛇の酒って蛇王神酒?
:蛇の酒なら蛇王神酒じゃね?
:蛇王神酒!?飲みたい!○芍薬巫女様なのじゃ!〈50000円〉
:度数高そうwww
:まーた福崎女史から怒られるやつーw
:待って、ミコ様がいたぞwww
:ミコ様ー!!!
:え?みこ様?
:ま?ミコ様いるんか?!
:鬼が来たぞ!
「ん?ミコ様?……げ!マジだ!スパチャありがとうございます!」
「みこ?誰だぁ?」
「ほらVチューバーの人。前ニュースなってたじゃん」
「朝は子どもの世話が忙しいし、昼も農家に肥料運んだりしてるからなぁ。有名人が来たってことならいいじゃないかぁ。さて料理料理」
リアクション薄!
保部、ニュース見ないからな……
けど、巫女様なら酒について詳しいから聞いてみればいいか。
「巫女様ー。この酒って料理に使えます?」
:料理に使うなんて勿体ない!今すぐ欲しい!○芍薬巫女様なのじゃ!〈50000円〉
:返信になってないwww
:さすが酒好き鬼巫女様w〈5000円〉
:料理には使えそうだけどなー
:中国で調理酒として使われています○熊本県ギルド公式
:蛇酒って言っても蛇が入っているわけじゃないから〈1000円〉
……予想通りの回答だったなー。
けど、ほかの有識者リスナーから使用できそうってコメントが来てるし使ってみるか。
ギルド公認ってことで!
「多分行けそう。少しぐらいにしてあとから味見すればいいんじゃね?」
「……俺も酒飲めないんだけどぉ……まぁいいかぁー」
醤油ににんにく、お酒を入れて混ぜ合わせる。
車で来てるからほんの少しだけ。
1滴加えただけでふんわりお酒の香りがしていい感じになってきた。
みりんがないけどまぁええかな。
ちょっと重しを置いてから味が馴染むまで放置。
あ、骨についてる肉こそいでなかった。
あそこ、美味しいんだよねー。
こっそりやっておこう。
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