第206話 ピンチ(という名の緊急依頼)
4月末になりました。
今日はナウロ王国からサヒーリ王女が来日される日です。
俺は熊本についてからの祝賀パーティーから参加になる……はずでした。
「なんで食材が足りてないんですか!普通は早めに準備するでしょ!」
「探索者がいないんですよ!今の時期は関西圏のダンジョンにレアモンスターが溢れるからみんなそっちに行くんです!」
「だからって前日に連絡してくるなんてあります?!しかもダンジョン産なんて!その辺のスーパーで買ってきてもいいじゃないですか!」
「テレビ局にダンジョン産の食材でおもてなしするって連絡しちゃったんです!まさかここまでインフルが長引くなんて聞いてないんです!」
「誰ですかそんなこと言ったの!?撤回してイロンかビックスバリューで買ってきましょうよ!」
「そぎゃんいうたってしょんなかもん!はよ集めてこんね!こっちでも声掛けて回るけん!」
……福崎さん、方言バリバリになってる。
これは本当にヤバいやつなんだろうなー。
てことで、仕事終わりに食材集めを依頼されました。
なんでも食材採取を依頼していた探索者チームにインフルエンザが流行って動けなくなったそう。
この時期でもインフルエンザ、流行るんだよねー。
手洗いうがい、大事ですよ。
食材集めの内容は野菜と肉、魚介類もあれば欲しいってことだったけど白川ダンジョンに魚介類は出現しないのでパス。
しかも繁茂期も終わりに近いので野菜系は難しいんだよね。
草食モンスターが粗方食べてしまってるから残ってるのは毒があるやつばっかりだ。
正直、今から集めるの厳しくね?白川ダンジョンだとほぼ取れないよな。
もう、頭下げて近くにあるスーパーで買ってきてもいいんじゃない?
その提案をしたら無理って言われました……
ギルドの上層部が大々的に説明してるんだって。
今回の祝賀会、東京から人来ないのにね。
マジかー……
……仕方ない。知り合いに頼むか。
俺はスマホのアドレス帳を開いて顔馴染みのメンバーに連絡した。
野菜ならあいつらの方が詳しいし、ワンチャン在庫持ってそうだからね。
とりあえず連絡して見たら快く引き受けてくれた。
魚介類も簡単なやつなら捕まえてくるって。
マジ感謝ですよ、本当に……
野菜、魚介類の準備はできそうなので俺は肉の採取にダンジョンへ。
とりあえずミノタウロスを狩りますかね。
「ふぅー……ミノタウロス、5頭持ってきましたよ。ついでにレッドホーンブルとロックヘッドポークも」
「ありがとうございます!……飛び出して30分の台詞とは思えませんが?」
「……とりあえず肉は集まったからいいじゃないですか」
「感謝しかないですけど、何か釈然としない……ありがとうございます。野菜はどうでした?」
「一応探してきましたけど、ほとんど無かったですねー。ブチブチトマトにレイピアトウモロコシ、全力ニンジンが少々ってとこです」
「これは、結構小ぶりなものが多いですね……」
時期的にモンスターが食べない大きさのやつばかりだね。
唯一よかったのはブチブチトマト。
そもそもが柔らかいトマトだけど、さらに熟しすぎて放置されてたやつだよ。
これは完熟するとさらに甘く旨味が増すんだよね。
トマトソースに最適。
あとは知り合いが持ってくる食材次第だな。
とりあえず持ってこれるだけ持ってきて欲しいとは言ったけどいい食材持ってきてくれよー……
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