女神に頼まれ星づくり! 無意識に無双してる

内海

第1話 病気で死んだらここはどこ?

「ようこそ天界へ!」


 真っ白い部屋の中で見た目は十三か十四歳の男性が目を覚ますと、目の前には銀髪ショートカットの若い女性が正座していた。

 左前の白い着物と白い帯、お腹の結び目は縦になっている。

 カワイイ? 美人? どちらにしても男性の好みの女性のようで見とれている。

 だが。


「死装束じゃないか! え? 誰? 先祖のおばあちゃん?」


「誰がお婆ちゃんよ! 私は女神ミーラよ!」


 女神ミーラという名前を知らないのか、男性は頭をひねっている。

 

「どの国の女神でもないわよ」


「そうなの? じゃあどこの……え!? なんで僕の考えてることがわかるの⁉」


「そりゃ女神様だもの。それとこの場所だと言葉とか必要ないわよ」


「じゃあ会話はどうやって……あ。思った事が全て女神ミーラ様に伝わるんですか?」


「そうよ。だから考え事をしてもぜーんぶ伝わっちゃうわね」


 『そっかー意味ないのかー、ってこういうのもわかっちゃうんですか?』などと試す様に考えているが、全て伝わっている様だ。


「ええ、もちろんよ。それとさっきから私の胸を見てるのもわかってるわ」


「みみみみ見てねーしぃ!? そもそも死装束着てるのに胸元を広げてる方がおかしいんだしぃ!?」


「バカね、これはあなたの理想を投影した姿なんだから、あなたが嫌いなわけ無いじゃない」


 男性の顔が真っ赤になる。


「でしょ? あなたも変わってるわよね~、こんな姿で胸元広げてるのが好きなんて。Cカップが好きなの?」

 

「し、しらないよ!」


「っと、そんな事を話すために呼んだんじゃないのよ。ツトム、あなた世界を作ってみない?」


「世界? どういう事?」


「私は今銀河を作ってるんだけど、二千億個の恒星を作んなきゃいけないの。でもさ? 二千億よ? そんなん面倒くさくってやってらんないじゃない? だから一つの恒星系をあなたに任せようと思うの」


「恒星って太陽とかの?」


「そう。太陽系みたいな恒星でもいいし、全く別の恒星系でもいいわ。特に制限を設けていないから、結構好き勝手やってくれてもいいんだけど」


「仮に太陽系だとして、惑星も自分で作るの?」


「惑星、衛星、すい星とかもよ。何なら物理法則も自由だわ」


「つまり……魔法を使えるようにしても良かったり、ファンタジー映画みたいにモンスターを作ってもいいの?」


「いいわよ」


「作った後は?」


「放置してもいいし、観察してもいいし、干渉してもいいわ。そこらへんは全部任せるから」


「それって神様になるって事?」


「そうね、あなた達の概念だとそうなるかな?」


「へ~、ふ~ん、そっかー、好きにしていいのかー。でも神様って言われても実感が無いし、そんな責任を押し付けられてもなぁ……」


「責任なんて大した事ないわよ? えっと、あなたの世界だとテレビゲーム? で遊ぶような感覚でいいの。ぶっちゃけて言うと、私が二千億個も作るのが面倒だから代わりに作って欲しいの! お願い!」


「近い! 顔近いし両手で顔を押さえるな! わかった、わかったから!」


「本当! ありがとう! あ、じゃあこれマニュアルね。困った事があったら呼んでくれていいからさ」


「マニュアルなんてあるんだ。って分厚! 広辞苑かよ!」


「あー読むの面倒よね? じゃあ頭に放り込んでおくわ」


 ツトムの手に乗せられたマニュアルが消えると、ツトムはうめき声をあげて頭を両手で抑える。

 だがそれも一瞬で、すぐに平静を取り戻す。


「全部……覚えたって事?」


「ええ。やりたい事がすぐ出来るようになったから、後は好きにやってね。あ、恒星の場所だけ指定するわね。ここよ」


 白い部屋の中に宇宙が現れると、遠くにはまばらに星のキラメキが見える。

 まだ恒星の数が少ないのか明るくはない。

 その中の一部分が点線で囲われると、ツトムの恒星系と文字が浮かび上がる。


「この範囲なら何をしてもいいって事だね?」


「そうよ。じゃ、後はよろしくね」


 そう言って女神ミーラの姿は無くなった。

 ツトムは点線で囲われた場所を見て笑っている。


「病室でゲームばかりしてたけど、まさかこんな形でゲームを再開できるなんてね」

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