第252話

「あれ、みんなは?」


 放課後になり、みんなが慌ただしく教室から出て行き、残っている生徒はさおりたち(さおり、ななこ、つくね、さちこ)だけだ。


「ああ、えっと、みんなは体育大会でのグループを決めるんだって」


「そうなんだ……」


 ——なんのグループなんだろう……


「その顔、気になってるね?」

「タケトくん、気になるんだ」

「タケトくんはもっと女の子に興味持つべきだから、いい傾向」


「こら、ななこ」


 この学校のほぼ全女子生徒のスカート丈が短くなっているが、それがななこの活躍? によるものだと知らない俺。


 ——今はウチの流行りなんだろうけど、意識しないようにする方も大変なんだけどな……


 あ〜でも、前世でもその時の流行とかで、スカート丈を短くする子がいたから不思議ではないか……


 なんて事を考えていると、ななこが親指を立てて頷く。どの辺りの思考が漏れたかわからないのでとりあえず頷き返しておく。


「と、ところで、さおりたちは参加してないようけど、何の競技なの?」


「えっとね……」


 さおりの話では、みんなは体育大会で踊るフォークダンスの件で話し合いをしているそうだ。


 昨年は『ヒク・テア・マタ』と『ヨリドリミ・ドリ』の二曲だったけど、今年はさらに『ヒッパ・リー・ダコ』が加わった三曲だ。

 

 ちなみに『ヒッパ・リー・ダコ』は前世の

ホップ・ステップ・ダンスシテと似ている。

 

 幼稚園児が活躍するアニメ(劇場版)の中でも踊っていた曲だね。

 色々とアレンジができ、みんなで楽しく盛り上がれそうな曲。生徒会はいい曲を選んだと思う。


 まあ、そのダンスもなんとなく覚えているだけだから練習はしたい。ついでに去年踊った『ヒク・テア・マタ』と『ヨリドリミ・ドリ』の練習もしたいかな。


 あれ? フォークダンスにみんなで話し合う事ってあったかな? あ、そうだった。男性パートと女性パートの組み分けがあったわ。


「それもだけど、他にもあるんだよね」


 どうやら、希望する生徒を対象に俺と踊る事になる曲やグループを決める話し合いだったらしい。


「そ、そっか……」


 女性パートを勝ち取り、さらに俺と当たるグループに入る。かなり壮絶な戦いが繰り広げられているとか。聞いた俺自身がちょっと気まずくなったけど、俺はすぐにある事に気づいた。


「あれ?」


 そう、さおりたちがその話し合いに参加していないということだ。


「ああ、私たち、つい先日に東条先輩と話す機会があってちょっと考えたんだよね……」


————

——


「あ、東条先輩だ」


「ほんとだ!? わ、わ、どうしよう、こっちに気づいたみたい」


「さっちゃん。普通に挨拶すればいいだけだから」


「つくね〜、そう、だよね。でも東条先輩って貫禄あるから緊張するんだよ」


「それ、分かるけど、さちこは気にしすぎ。リラックス」


「う、うん」


「あら? 君島(さおり)さん、深田(ななこ)さん、霧島(つくね)さん、牧野(さちこ)さん、ご機嫌よう」


「と、東条先輩、海籐先輩、ご、ご機嫌よう」

「「「ご機嫌よう」」?」


「ふふ。使い慣れない言葉は気恥ずかしいですわよね。同じ婚約者同士、もっと肩の力を抜いてほしいわ」


「は、はい」


「ふふ。それで、今日はタケトくんはご一緒ではないのですね」


「はい! タケトくんは体育大会の件で校長室です」


「そう。タケトくんはいつも忙しそうですものね」


「はい。タケトくんは今年も等賞旗を手渡してくれたり、フォークダンスの男子パートを踊りますからね、その打ち合わせとかあるみたいです」


「そう……」


「あ、東条先輩もタケトくんとフォークダンス踊りたいですよね? でも体育大会では婚約者だからといって優遇されたりとかないんですよ。みんな平等。競争率高いから踊れないかもですけど、お互い、タケトくんと踊れるグループを勝ち取りましょうね」


「そうなのですか。いえ、それでしたら、私は男性パートにいたしますわ」


「え?」


「ふふ。ほら、私はタケトくん目当てで転校してきましたから皆さんから嫌われておりますの。実際、タケトくんと婚約となりましたし。これでフォークダンスもタケトくんと踊るとなれば、そうでなくても東条家の権力を笠に着て我が儘を押し通したと誤解されかねませんわ。東条家の名を傷つける訳にはいきませんわ」


「あはは、タケトくん目当てだったって言っちゃうんだ。でも、そっか、そうですよね。思う人も中にはいそうですね」


「さおりちゃん、ちょっと待って、東条先輩の話を聞いていたら、私たちももっと考えて行動した方がいい気がして来たんだけど、みんなはどう思う?」


「それはマズイね。今回は男性パートを選ぼうか?」


「そうだね」


「それがいいかも」


————

——


「というような事があって、それから私たちも考え方を改めたというか……ね」


「うん。みんなに嫌われたくない」

「だね」

「そう」


「そういう事ね……」


 今回のフォークダンスに参加する男性は残念ながら俺しかいないからな。


「しかし、麗香さんがそんな事を……」


 毎日のようにMAINでモーニングメッセージが届くけど、学校では挨拶を交わす程度だった。

 これはみんなの反感を買いたくなかったからなのかも。


 そういえば、体育大会で使用するサイコロも東条グループが寄贈してくれたらしいけど、普段から周りに気を配っていなければ気づかない事だよな。ただでさえ生徒会とは仲が悪かったようだし。


「本当は私たちもタケトくんと踊りたいよ」


「うん。欲張り過ぎはよくない」


「私はすでに同じ屋根の下で暮らしているからね。ここは我慢しないとね」


「私も今度お泊まりする」


 そう言ってみんな笑ってはいるけど、みんなの顔はどこか寂しそうに感じた。


 ——うーん。俺に何かできれば……あっ。


 去年は香織と練習したけど。


「じゃあさ、本番は一緒に踊れないけど、練習でならどう? 実は『ヒッパ・リー・ダコ』はたぶん練習しないと踊れないと思うし、去年踊った『ヒク・テア・マタ』と『ヨリドリミ・ドリ』も忘れているところがあると思うんだよね」


 それから、さおりたち4人と麗香さん、カヨさんを誘ってフォークダンスの練習をする事に。


 早速、麗香さんのMAINにメッセージを送る。

 よく考えたら、俺からメッセージを送る事があまりないから、ちょっと緊張したけど、返事は送ってすぐに返ってきた。はやっ。


麗香:もちろん。喜んで参加いたしますわ。


 でも、なぜか体操服に着替えた麗香さんとカヨさんがやって来たものだから、さおりたちも気を遣って体操服に着替えた。


 そうなると俺もとなるのだが、男子生徒用の更衣室はないので、体育館のすみで着替えていたら麗香さんとカヨさんが顔を真っ赤にしてうずくまってしまった。


 すぐに駆け寄りすぐにヒーリングで治療をしてみたんだけど、特に悪いところはなかった。

 でも、それから麗香さんとカヨさんの態度がおかしいというか、俺の方を見る事ができず練習は翌日にすることになってしまった。


 さおりたち? さおりたちはニコニコしながら、分かるとでもいいた気な顔で頷いていたよ。



※更新が遅くなり申し訳ございませんm(__)m

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る