僕の天使は悪魔様 ~偶然助けたダウナー系な悪魔さんに癒されるASMR~

黒ノ時計

悪魔さんと過ごす日々

注:( )は環境音または状況説明、(※)はあなたのセリフです。


(しとしと、雨が降る中……。大学生のあなたはバイト帰りに倒れている女性を発見する。携帯もなく、公衆電話も近くになかったので、あなたは女性の容態を確認するために近づく)


「ん……。うぅ……」


(辛うじて意識があったので、あなたは取り合えず家に連れて帰って看病することにした)


(~~あなたの住んでいるアパートの一室、あなたは一つしかない布団を女性に与え、自分はその傍で眠っていた。すると、物音がしたので目を覚ますと、女性が身を起こしていた~~)


「ここは……」


(※あの、大丈夫ですか?)


「あれ、私……。そうだ、最近はエネルギーをあまり接種できてなくて、それで倒れちゃったんだった……。うん、私は大丈夫。ありがとね、助けてくれて。服は……。ああ、着替えさせてくれたんだ。髪とか、体も乾いてる……。拭いてくれたの?」


(※あまりにずぶ濡れだったので……。大丈夫ですよ、体はなるべく見ないようにしましたから)


「私の体? 見ないように気遣ってくれたの? うふふ、君は……。見たところ学生さんくらいかな? とっても、紳士なんだね。ありがとう」


(※それで、その……。何か食べませんか? 一応、夜食は作れますが……)


「ああ……。人間の食事ね……。まあ、それでもちょっとは回復できるかな……? いやいや、駄目だよ。学生さんに集るような真似は、例え悪魔であってもしないから」


(※悪魔?)


「ああ、うん。気づかなかった? 私の体を拭いたなら、目に入ったんじゃないかって……。あ、エネルギーがないから悪魔の姿じゃなくて、人間の姿になってる……。まあ、信じては貰えないだろうけれど、私は悪魔なんだよね。今は、ちょっとエネルギーがないから変身できないんだけど……」


(※本当に悪魔なんですか? 信じられないんですけど……)


「別に、信じてくれなくてもいいよ~。信じようと、信じまいと、それが事実だからね。それよりも~……。私はそろそろ、お暇しないと。お礼は、必ずするから~。これ以上は、流石に迷惑でしょ?」


(※いや、そんなことはないですよ。せめて、何か食べて行ってください)


「そう~? まあ、そこまで言ってくれるなら……、お言葉に甘えようかな。うん、じゃあ、よろしくお願いします。えっと……、優しいお兄さん」



(~~あなたと悪魔を名乗る女性は取り合えず食事をしてから、落ち着いて話をできる空間を作ることができた~~)


「……ご馳走様でした~。美味しかったよ、お兄さん。私は……、えっと、名前は無いんだよね。悪魔だから……。強いて言えば、今までは偽名を名乗ってきたんだけど、恩人相手に嘘は吐きたくなかったから本当のことを言ったけど……。好きに呼んでくれて構わないよ?」


(※……じゃあ、レインはどう?)


「レイン……。雨ってこと。なるほど、確かに、こんな日にはぴったりの名前かもしれないね」


(※ごめん、安直な名前で)


「いいよ、別に。安直だろうと何だろうと、君が一生懸命考えて付けてくれた名前だもの。大切にするね。それで、その……。私が倒れてた理由なんだけど……。私って、悪魔だけどちょっと変わってるんだよね」


(※変わってる?)


「そう。私、実は天使と悪魔のハーフなんだ。父親が天使で、母親が悪魔。私、容姿はお母さんに似て悪魔なんだけど、中身は天使の力をまんま引き継いでるの」


(※天使と悪魔って結婚できるんだ)


「もちろん、できるよ。人間と結婚して幸せになった子もいるし、同じ種族同士で結婚する子もいる。この世界の法を犯したりとかしなければ、何も問題はないんだ~。それでね、悪魔っていうのは基本的に人の欲望を叶えて力を得るの。色々な方法があるけど、代表的なのは三つの願いかな。三つの願いを叶える代わりに、相手から魂を徴収するっていうやり方。悪魔の場合はぶっちゃけ、人の欲を満たせば何でもいいんだけど……。天使はそうはいかない。天使も人の願いを叶えて力を得るのは同じなんだけど、その人が優しい心を持っていること、あとは天使自身が努力して願いを叶える必要があるんだよね。不純な願いを叶えてもエネルギーは貰えるけれど天使が嫌々したりとか、あとは願いを叶えた対象が下種な心を持ったりしていると貰えるエネルギーの量も大きく減る。逆に、不純な行為だったとしてもお互いが納得していて幸せに感じていたり、その人の心が優しかったりすると多くのエネルギーを得られる。今までは、ボランティアしたりとか、サービス業とかで真面目に働いてお客さんに感謝されたりでエネルギーを摂取してたんだけど……」


(※意外と真面目だ……)


「意外と真面目……まあ、悪魔って悪いイメージで取られることが多いからね~。でも、私はその辺はきちんとしているつもり~。……話は逸れたけど、まあ問題もあるよねって話。まず一つ、悪魔と人間は時間の進み方が違うからずっと働いてたら不自然に思われるでしょ? エネルギーを安定供給できる場所を見つけても、生活をどうしてるとか、何年経っても全然姿が変わらなかったりしたら不自然でしょ?」


(※確かに……)


「そんなわけで、私は決まった場所を縄張りにはできないの。周りの天使たちは、得たエネルギーを使って認識を誤魔化したりとか、記憶を操作して曖昧にしたりしてるみたいだけど……。私はできない。そもそも私って、エネルギーを多く摂取したら駄目なんだ~」


(※どうして?)


「悪魔はね、エネルギーを徴収するときに本来の姿に戻るの。これは生理現象みたいなもので、どの悪魔でも絶対に起こりうるもの。悪魔は最悪、人に嫌われたとしても困らないでしょう? だって、それ以上に自分の力じゃ叶えられないような欲望を叶えてもらえる存在なのだから。でも、天使は人に好かれてなんぼって存在だよね~。だって、人の幸せを糧にしてるのに怖がられたら意味ないもの。私は摂取したエネルギーの何割かを悪魔の姿に変身しないようにするために力を使うから、その分、ロスが多くてね……。得られるエネルギーは微々たる量で、正直、その日を生きるのも精一杯って感じ……。だから、今までお腹いっぱいにエネルギーを摂取したことってないんだ~。あ、でも一回だけある。三百年くらい前、ちょっと油断した時に悪魔に変身しちゃったときがあって……。あの時は、事態を収拾するのが大変だったっけ……。目撃者の記憶を消して、パニックでちょっとした災害になりかけた場所の保全をして……ってしてたら、その日に貰ったエネルギーはほとんど使っちゃって、結局、いつも通りみたいになったし」


(※そうだったんだ)


「一番良いのは、恋人を作ることらしいんだけどね……。私は、そういうの不器用だからできなくて……。前に、何回かナンパしようと頑張ってみたけど、引っかかったのって全員頭の中がピンクだらけの奴らばっかりで、誘っておいて逃げるっていう最低なことしちゃった。……ふう、話したらちょっと楽になったよ。じゃあ、迷惑だろうし私はこれで……。じゃあね、お兄さん」


(※待って)


「何? まだ、何かあるの?」


(※それなら……。俺がなりましょうか。恋人)


「君が恋人……? どうして?)


(※悪魔とはいえ、困ってる人は放っておけない)


「困ってる人は放っておけない、か……。今までは、そんなことを言われても信じる気にはなれなかったけど、雨の中、倒れてる私に唯一手を差し伸べてくれたお兄さんの言葉なら信じられそうだよ」


(※変なこともしないから)


「変なこともしない? ……ああ、えっちなことってことか。まあ、その方がありがたいけど……。お兄さんのメリットが無いよね? 私はエネルギーを安定供給できるけど……」


(※ちょうど、話し相手が欲しかった)


「話し相手が欲しかった? 変な人、そんな理由で? 見たところ、ひとり暮らしみたいだし……。学生さんだけど、独り身ってことか……。うん、分かった。じゃあ、この瞬間から私とあなたは恋人ね。うーん……。でも、形だけなっても……。あれ? ちょっと幸せなエネルギーが……。まさか、恋人になれたってだけで喜んでるの? 本当に、何だか単純というか、初心っていうか……。ふふ、ありがとう。じゃあ、そのエネルギーは吸わせてもらうとして……。何かしてほしいことはない? 恋人の範疇で、できることならしてあげる。元々、あなたの幸せが必要なわけだし……」


(※じゃあ、膝枕をしてほしい)


「膝枕……。最初のお願いが、膝枕か……。ううん、いいよ。してあげる。もう寝る時間だし、ちょうどいいよね」


(レインとあなたは片づけをしてから、布団を一枚敷いた)


「じゃあ、その布団に横になって。私がここに座って……。ほら、ここに頭を乗っけるの」


(あなたは言われた通り、レインの膝の上に頭を乗せた)


「はい、膝枕。どう? 気持ち良い?」


(※うん、とっても)


「そう、それなら良かった~。まあ、これでもスタイルには割と自身がある方だから、そう言ってもらえると嬉しいよ~」


(※レインは睡眠は取らなくていいの?)


「睡眠? 私は悪魔だから、基本的に寝なくても生活していけるから大丈夫だよ~。君はそのまま布団で寝なよ。私は君が寝るまで膝枕をしてから、寝顔でも眺めてるから。そんな顔しないで、本当に大丈夫だから。心配してくれるのは嬉しいけれど、悪魔と人間は体の構造もだいぶ違うから、その辺は理解しあっていこう~。それに、私が一緒の布団で寝たりしたら君が困るでしょ? だからいいの」


(※そういうことなら……)


「そうそう、素直で良い子だね~。ついでに頭も撫でてあげよっか。よしよしってね。ほら、手の平で優しく頭の上を撫で~、撫で~。ふふ、気持ち良い? もう目がとろんって蕩けてるよ? 流石に、もう眠いよね。そもそも、寝るのが遅くなったのは私のせいだし……。でも、ありがとう。もしも、見捨てられてたら……。今度こそ、私は本当に死んじゃってたかもしれないから。助けてくれて、ありがとう。お兄さんは、私の命の恩人だね。こうやって撫でててあげるから、今はゆっくりおやすみ。そうそう、命の恩人君には一つ言っておかないと。私が、一つだけ何でも願いを叶えてあげる。ああ、私にできる範囲でね。恩を仇で返すような真似はしないよ? お兄さんが望むのなら……(顔を近づけて)えっちなことでも、してあげる。一回だけ、だけど。ただ、そうなったらこの関係も終わりかな。君の一番の望みを叶えるわけだから、きっと凄まじい幸福を得ると思うし……。そのとき、きっと本当の姿を晒すことになると思うから。だから、そうしたらこの関係は終わり。それまでは、よろしくね。私の恋人なお兄さん」


(~~それから、何日か経過したある日のこと。アパートでの生活にレインも慣れてきたとき、あなたはバイトでクタクタの状態で帰ってきた~~)


「お帰りなさい。今日も、お疲れ様」


(※ただいま、レイン)


「ご飯にする? 作って待っていたけど、それともお風呂にする? もしくは、わ、た、し……なんて。ネタとしてはちょっと古いかな」


(※じゃあ、ご飯で)


「ご飯ね。なら、手を洗ってきて。ご飯にしよっか」


(あなたとレインは食事を終え、あなたはお風呂に入った後、レインがお風呂に入っている間に勉強セットを広げて集中して勉学に取り組んでいた。それから、レインの方もお風呂からあがってきて、彼女はタオルで髪を拭きながらあなたの隣に腰かけた)


「お後にご無礼しました……。あれ、寝ないで勉強? あなたの生活を見てたけど、いつもバイト終わってから勉強して、かなり疲れてるんじゃない? 昨日も、寝たのってほんの四時間くらいでしょ?)


(※成績維持のためには必要)


「成績維持……。そっか、そもそもお金がないからバイトしてて、多分奨学金とかで賄ってるんだよね。だとしたら、勉強は必要か……。にしても、頑張りすぎ。偶には息を抜かないと、流石に持たないと思うよ。これで風邪でも引いたら元も子もないし」


(※でも、やらないといけない)


「気持ちは分かるけどね。……もう何百年と生きてきた私から言わせれば、無理をするっていうのはそれなりの代償が伴うものだよ。根を詰めすぎると、あとで酷いことになる。そうなる前に、ガス抜きしないと……。というわけで、ほら。私の膝枕、好きでしょう? 誘惑しちゃうから、ここに頭乗せて」


(※でも……)


「あ、躊躇うんだ。恋人の膝枕より勉強が大事なら、それでもいいよ~。ただし、今後は膝枕をしてあげないから。うふふ、私って悪魔の性質もあるから意地悪しちゃったりするんだよね~。(あなたの耳元に口を寄せて)悪魔の囁きってやつ。どうする~? 私か、勉強か……。お兄さんはどっちを取るのかな~?」


(※うっ……)


(あなたは勉強を中断して、大人しく膝枕された)


「ふふ、お兄さんは本当に素直だよね~。何だかんだ言って男の子だし、女の子の誘惑には抗えない。無下にはできない、優しい人。そんなお兄さんだから、私は恋人になれたんだね。しかも、今回はただの膝枕じゃないよ~。ほら、耳かき~。これで、お兄さんのことを癒してあげるね~。男性にご奉仕する仕事もちょっとはやったことあるから、割と手慣れてる方だとは思うから安心して~。はい、じゃあ耳の中を掃除していくからね~。まずは右耳を上にして~。はい、お上手だね~。緊張しないで、肩の力を抜いて~。私を受け入れて~。はい、耳の中を~、コリコリ~、コリコリ~……。偶にちょん、ちょんってかき出すようにして刺激を与えて~、耳の壁を這うようにしてぞりぞり~って撫でるね~。どう? 気持ち良い?」


(※うん、気持ち良い)


「そっか、なら良かった。ほら、もっとコリコリ~ってするからね~。耳かき、誰かにしてもらったことはある?」


(※昔はお母さんとかに。けど、今はないかな)


「お母さんか~、今どうしてるかな~?」


(※お父さんとお母さんと会ってないの)


「うん? お父さんとお母さんには……。うん、ずっと会ってないね~。基本的に、悪魔も天使も親離れしたら基本は里帰りとかしないから~。偶に、何十年ぶりくらいに会うかもしれないけれど、基本的には消滅とかしないし」


(※それだと、悪魔とか天使は増え続けないの?)


「悪魔と天使の数? そうそう増えないよ~。そもそも、番いを作ること自体が珍しいから……。番いになっても子供ができる確率は本当に低いし、一部の悪魔や天使が人と恋をしても子孫って残らないんだよね~。寿命が長いのに増えやすかったら、天使と悪魔で世の中が溢れ返っちゃうでしょ~? だから、元々繁殖能力が引くように作られてるんだよ~」


(※ふ~ん……)


「あれ、ちょっと残念そうだね。どうして?」


(※……何でもない)


「何でもないなら、別にいいけど~。はい、こっちの耳は終わり~。じゃあ、仕上げに梵天で~コリコリ~、コリコリ~。(耳に口を寄せて)ふぅ。はい、終わり。次は、反対~。ほら、ごろんってしてね~」


(あなたは言われた通り態勢を変えた)


「はい、オッケ~。じゃあ、今度はこっちの耳を掃除していくね~。んふふ、お兄さんって実は耳弱いでしょ? さっきから、結構体をビクビクさせてるし」


(※耳が弱い人は多いと思う)


「まあ、そうかもね~。耳を誰かに弄られることなんてそうそうないし、耐性が低い人は多いかもね~。所謂、性感帯ってやつ~? 私は~……。うん、内緒~。ふふ、教えてもらえると思った? 流石に、女の子の恥ずかしい話は簡単にはできないかな~。何なら、当ててみる?」


(※……じゃあ、耳)


「耳はそこまで弱くないかな~。残念。はい、解答権はあと二回で~す」


(※首とか? 脇?)


「残念~。首でも、脇でもないです。はい、解答権は失効ということで。もしかしたら、そのうち分かるときが来るかもしれないから、そのときに教えてあげる……。ふふ、女の子は秘密が多い方がいいって言うでしょ~。ほら、こうして……。はい、耳かき終わり。それじゃあ、最後は梵天。さわさわ~、さわさわ~ってして、優しく撫であげて……。最後は……。(耳に口を寄せて)ふぅ~。はい、終わり~。どうだった~? 私の耳かきは~?」


(※またやってほしい)


「またやってほしいなんて、ありがとう~。お兄さんになら、またしてもいいかな~。さて、このまま勉強に戻る? それとも、私の膝の上で寝ちゃう?」


(※勉強はしないといけないけど……。眠い……)


「眠たいなら、寝た方がいいよ~。明日の朝、朝一で起きて課題はやればいいし。眠い時にやっても、きっと身には入らないだろうし。私は、そこそこ学はある方だと思うから、勉強を教えることだってできるだろうし~」


(※悪魔も学校に行くんだ)


「行ったことがあるってだけ~。ほら、大学って割と簡単に入れるし、他所の子が授業を受けてても気づかなかったりするから~。まあ、長生きをしてると色々な知恵を付けたがるってだけなんだけど~……。はい、そろそろ眠る時間だよ~。また頭をよしよしってしてあげるから~、寝ましょうね~。うふふ、とろんってしたお目めが可愛いな~。そのまま眠って良いよ~。夢の中でも、きっと会いに行ってあげるから、ね~?」


(~~また別の日の話、あなたは大学でも教授に怒られ、バイト先でも失敗してしょげて帰ってきた~~)


「お帰り~……って、どうしたの? 滅茶苦茶、元気がないみたいだけど……。え、今日は散々な一日だった? 教授にも、バイト先の先輩にも怒られて……。そっか、それは確かに凹むね~。……よし、ここは恋人である私に任せて~。はい、こっち来て。早く~」


(あなたは言われた通り、レインについて行く。すると、彼女はその場にしゃがんでパンパンと膝を叩いた)


「ほら~、お兄さんの大好きな膝枕~。これで、癒してあげる。今度は、もっと甘えさせてあげるからね~。ほら、遠慮しないで~」


(彼女の膝に後頭部を乗せた)


「ふふ~、良い子だ~。そうしたら、今度の私は……あなたを全力で甘やかしてあげる。あなたの傷ついた心を、しっかり癒してあげるからね~。まずは、いつも通りよしよしって頭を撫でながら~……。まず、教授に怒られたんだよね~。どうして、怒られたの~?」


(※課題が、終わらなくて寝落ちしちゃった……)


「課題が終わらなくて、提出期限に間に合わなかったんだ~。大丈夫、誰にでもあるミスだよ~。お兄さんは成績を気にしてるから重く受け止め過ぎてるんだと思うけど~、一回のミスで挽回できななんてことはないからね~。人は誰でも間違うし~、そのミスを挽回できるチャンスも必ずあるはずだから~。そのときは、私もできることがあれば協力するから~。今は、一度のミスよりも、次にどうするかを一緒に考えよう~。ね?」


(※うん……)


「うふふ~、それで……。あとはバイトだっけ~? 確か、飲食店だよね~?」


(※眠くてぼーっとしてたら、皿を割っちゃった)


「眠くて……。お皿、割っちゃったんだ~。でも、私も飲食店でバイトをしたことあるけど、お皿を割ったことない人の方が少ないよ~。お店の備品だし、壊すのはいけないことだとは思うけど、それで怒る上司さんも上司さんだと思うな~。次からは、ちゃんと睡眠を取ろうよ~。安眠サポートは私がするし~、何ならバイトの時間も減らそう? 私、お金を稼いでも使い道はあまり無いから、何ならあげるから~」


(※それは流石に……)


「遠慮しないで~。……言おうか迷ってたけど、やっぱり言っておくね。私、この契約が終わったら故郷に帰ろうと思うんだ~。私の故郷は魔界で、人間じゃ来られない場所にあるから~……。たぶん、もう会えなくなっちゃうかもしれない……。でも、不思議だよね~。君と暮らし始めて、私のエネルギーの補充のためとはいえ、こうして仮の恋人になって……。実は、結構楽しかったんだよね……。でも、君と一緒にずっといることはできない、よね……。だって、種族が違うから時間の流れも違うし、そもそも君は私以外に好きな人がいるかもだし……。やっぱり、ちゃんと人間と恋をして幸せになった方がいいと思う。それなら、私がここにいたら邪魔になっちゃうし……。だから、君と私の関係も近いうちに終わりにしないといけないと思ってる。だから、遠慮しないで……」


(あなたは起き上がって彼女に抱き着いた)


「ちょ、ちょっと……。どうしたの? 急に起き上がって……」


(※俺は、君と離れたくない)


「私と離れたくない、なんて……。駄目だよ、悪魔と人間の時間の流れは違うんだし、第一、私はあなたを体の良い餌にしてる……もっと言えば、寄生してるんだよ? 私と一緒になっても、周りから変に思われるだろうし……。私のせいで住む場所を変えたりとか、色々しないといけなくなっちゃうだろうから……。だから……」


(※それでもいい)


「それでもいいなんて……。君の生活は? 君の人生なんだよ?」


(※俺の人生だから、どうするかは俺が決める)


「……強情だなあ。もし、嫌だって言ったら? 諦めてくれる?」


(※……願い事、使う)


「願い事……。何でも、叶えるってやつ? 私と、本当の恋人になることに使うの? 本当に良いの? もっと、もっと良いことに使えるかもしれないのに?」


(※それ以上の望みはない)


「……っ!? どう、しよう……。私、お兄さんと生活してたら、どんどん好きになっていくのが分かって……。でも、迷惑をかけたくないから好きなっちゃ団だって言い聞かせてたのに……。君のせいで、もう抑えられそうにないよ……。……分かった、君の言う通り、恋人になるよ」


(※本当に?)


「うん、本当に。私は、今この瞬間からお兄さんの恋人だよ」


(※……っ! やった!)


「ふふ、喜んでくれて嬉しいよ~。でも、その喜び、今まで一番大きいよね。たぶん、私が受け止めきれないくらい……。覚えてる? 私はね、本来はこんな女の子じゃなくて悪魔なんだよ……。だから、君は……(耳元に口を寄せ)きっと、別れるって言ってくれると思うよ」


(彼女の体がぶくぶくと音を立てて変形し始め、やがて体は黒く、どんどん大きくなる。やがて、成長しきった彼女は、彼女が座った状態でようやく部屋の中にすっぽり収まるくらいの大きさになり、目からは禍々しいヤギのような角が生え、背中からは蝙蝠の翼、お尻からは蜥蜴のような尻尾が生えた異形の怪物に変身した)


『あはは、見られちゃった……。これが、私の本来の姿……。醜いでしょう? 体から出る瘴気は人を無条件に怯えさせ、そして、私といるだけで息が苦しくなる。こんな怪物と何て、一緒にいたくないでしょう? ほら、言って。私に出て行けって。それだけで、全てが丸く収まるから』


(※……嫌だ)


『……え? 今、何て……』


(※絶対に、離れない!)


(あなたは悪魔の懐に飛び込み、そして抱き着いた)


『ちょ、ちょっと!? お兄さん!? 駄目だよ! 私の体に触れたら、お兄さんの体が腐っちゃうよ!』


(※どんな姿になっても、レインはレインだ! もう、絶対に離れない!)


『気持ちは分かったから、取り合えず離れよう!? ああ、言わんこっちゃない!』


(あなたは意識を奪われ、やがて暗い海の底に沈むように眠りについた)


(※……ここは?)


「ああ、やっと起きてくれた……。まったく、本当に無茶するんだから……」


(※どうして……。あの後、どうなったんだ?)


「まず、元の姿に戻ってから君の体にこべりついた瘴気を祓ったんだよ~……。まあ、幸い軽症で済んだけど、ところどころに痣みたいなのが残っちゃった……。説明してなかった私も悪いけれど、本来の力を取り戻した悪魔に不用意に近づいたら駄目だって。もし、お兄さんが死んじゃったりしたら……私、もう立ち直れなかったよ」


(※ごめんなさい)


「いいのよ、謝るのはむしろ私の方だから~……。ごめんなさい。お兄さんを危険なことに巻き込んだ……」


(※それで、結局恋人になってくれるの?)


「え、恋人の件……? えっと、あそこまで情熱的に迫られたら……もう、断れないでしょ……。お兄さんのせいだからね。お兄さんが、私を誑かしたから……。だから、もう契約は成立……。絶対に、逃がして、あげない……! んちゅ」


(※んんっ!?)


「ほら、大好きな恋人とのファーストキス。実は、私……。生れてこの方、えっちなことって一回もしたことないんだ……。だから、これが私の初めて……。お兄さんに、全部あげる……。ほら、もっと舌出して? 情熱的に、深いキス……しよ? んちゅ、んちゅ、ちゅ、じゅるるる……、ちゅ、ちゅ、じゅるる、ちゅ、んちゅん、ちゅ、ちゅ、じゅるるるるるる……。んちゅ。はあ~、幸せ……。好きな人とするキスが、こんなにも幸せで満ち溢れたものだとは思わなかった……」


(※もしかして、もう一度変身したりする?)


「ん、変身? しないよ~? あれは、あくまでエネルギーを摂取するときに起きる現象だから……。今は、エネルギーは吸わない……。あなたから溢れ出る幸せなエネルギーは魅力的だけど……。それよりずっと、お兄さんの方が魅力的だもの。だから、もっと舌を出してよ。食事のことなんて忘れちゃうくらい、私をあなたに溺れさせて……! んちゅ、じゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる、じゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる、ちゅ、ちゅ、あむ、じゅるる、んちゅ、ちゅ、じゅるるるるるる、じゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる……。んちゅ、ちゅあむ……。レロレロレロレロ……。じゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる……。んちゅ、んちゅ、じゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる……。じゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる……んちゅ。キス、気持ち良い……。いつか、話してた性感帯だけど……。私って、自分の唇がかなり感じやすいみたいなの……。大好きな人とキスをして、気持ち良くて、しかもこんなにも美味しい何て思いもしなかった……。どうしよう、幸せ過ぎて頭の中が蕩けちゃいそう……。ねえ、もっとギュッてしよ? 体を密着させて、ぎゅ~~~って」


(あなたは彼女の抱擁を素直に受け入れる)


「うんうん、ありがとう~。ああ、今とっても幸せ……。あなたの匂いも、息遣いも、体温も全部感じられる……。じゃあ、腰に足を回して逃げられなくして……。美味しそうな、耳……。じゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる……」


(※!?)


「ふふ、可愛い声出しちゃって~……。耳かきをしてたときから、良い形してるなって思ってたんだよ~。こういうプレイをするって聞いたことあったから、もしかしたら気に入るんじゃないかって思ってたけど……。大当たり。喜んでくれるのなら、遠慮なくしゃぶっちゃう……。じゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる、レロレロレロレロ……。じゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる……、じゅるるるるるる、じゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる……、レロレロレロレロ……。舌先で、ペロペロ舐め回して……。耳の外も、中も唾液塗れにして、私のものだってマーキング……。じゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる……、んちゅ。物足りなそうな顔、してるね~。じゃあ、もうちょっと……。じゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる……、じゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる……、レロレロレロレロ……、レロレロレロレロ……、レロン、レロンレロン、レロン、じゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる……。ちゅ。こっちの耳だけじゃあ、寂しいでしょ? だから、反対もちゃんと虐めてあげるね。はい、攻撃開始~。じゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる……。じゅるるるるるる、じゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる……。レロレロレロレロ……、レロレロレロレロ……、レロン、レロン、レロレロ、レロン、レロレロレロ、レロンレロン、じゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる……。じゅるるるるるるるるるるるる、じゅるるるるるるるるるるるる、じゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる……。んちゅ、ちゅ、ちゅ、ちゅ、ちゅ、じゅるるるるるるるるるるるる……。んちゅ。あ~あ、口の端から涎なんて垂らしちゃって、そんなに気持ち良かった~? こんなに喜んでくれるなら、これからもしてあげるね~。あ~あ、涎が勿体ない……。じゅるるるるるるるるるるるる……。んちゅ。はい、綺麗になった……。もっとも、私の涎が上塗りされただけだけど……。嬉しいでしょ~? お兄さんも、舐められるのは大好物みたいだし。じゃあ……。えい」


(あなたは押し倒されてしまう)


「はい、押し倒しちゃった~……。ふふ、私を恋人にしたなら、もう引き下がったりしないよね? 私、たぶんもう止まれない……。だから、辞めるなら今のうちだけど~、どうする?」


(※……続ける)


「うん、そうこなくっちゃね。今日で、私の思いつく限りの初めては全部あげちゃうから~……。(あなたの耳元に口を寄せて)覚悟してね? 私の彼氏君」


(~~それからかなり時間が経過して~~)


「……ん、あれ? いつの間にか寝ちゃったね~……。あれから、どうしたんだっけ? ……ああ、結構ヤっちゃったみたい……。はは、体中がお互いの体液でべとべとだし、私の中にもいっぱい愛を注いでくれたし……。君って、結構性欲強かったんだね? いや、私も人のことは言えないけど~……。どうだった?」


(※凄く、気持ち良かった……)


「私も、凄く良かったよ~。彼氏君が、私の体から溢れ出しそうなくらい幸せをくれたから……。ふふ、私思うんだ~。今だから言えるけど、あの時、君に助けてもらって良かったって。そうでなければ、こんな出会いはできなかっただろうし……。恋人なんて、きっと一生できなかった……。だから、色々ありがとう」


(※こっちこそ、ありがとう。大好きだ、レイン)


「レイン……。私の、大事な名前……。呼んでくれて、ありがとう……。大好き。あ、そうそう。私、恋をするのは初めてだけど、浮気は許さないから。浮気を

した場合は、まず浮気相手と、それから彼氏君、あと私自身で仲良く魔界に行くことになるから~。浮気相手はこの世の地獄よりも恐ろしい地獄を見せて、彼氏君は一生、私以外の女とは関われないようにしちゃうから……。だから、浮気だけはしないでね? 私だけを見て、そして愛してね? 約束、できる?」


(※分かった)


「ふふ、ありがとう。大好き。これからも、末永く……。よろしくね? ちゅ」

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