その⑧

学校へと向かう少女。


彼女の住む家のある住宅街にも

朝の柔らかな日差しが泳いでいた。


家の前に置いた鉢植えに咲く朝顔。

朝の日を浴びて背伸びをする

老夫婦に元気よく挨拶をした。


毎朝必ず元気に挨拶をしてくれる

優しくて可愛らしい子だと

この辺りではよく知られた顔だった。


彼女もまたこの街の人を好んだ。

必ず挨拶を返してくれる。


そんな人柄の良い街だった。


自分の身長の何倍あるだろうか。

校舎を見上げながら

校門をくぐり抜け、下足場へと向かう。


また、手紙。


我が家の机の引き出しに入っている

あの手紙と同じ封筒。

同じシーリングスタンプ。


同じ筆跡。


直ぐに手紙を封筒に戻し

鞄に隠し込むように入れ

教室へと向かった。


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