第15話 魔法の支払い方法『リボ払い』
ケイトは用事があってどこかへ行っており昼になって4人は学校の食堂に来ていた。
「いったい魔法具も持ってなかったとはどういう神経しているんだ?」とレミリアが昼食を食べながら言ってきた。
「知らなかったんだよ。魔法学校に入学するのだって入学試験の4日前ぐらいからだから」
「そもそもそんなことも知らないで、なんで急に魔法使いになろうと思ったんだ?」
「いやちょっと訳ありでね」
ハルトは自分が魔法を無許可使用して犯罪者になりそうだったからだとは言えなかった。
「でもハルトくんは一回で合格できたなんてすごいね。才能あるよ」そうマリーが言った。
「えっ、本当? そうかな」とハルトは照れた。
「私なんて4回目でやっと合格できたから」
「ええ、4回!?」とレミリアがドン引きしていた。
「うん、だってわたし弟がいるんだけど弟のほうが先に入学してるからね」
「な、なんだそれ……」
「ほんと俺のルームメイトは変な奴ばっかりだな。それにしても冗談だろ。魔法使いの家系じゃないやつがこの学校に入学してくるなんて、お前、まさか本当に魔法具も持たないで入学試験に来たのか?」とログが笑った。
「よく言うよ。ならなんでログは魔法が使えないんだ?」とハルトが突っ込んだ。
「うるさい。お前が言うな」
「僕は魔法具さえあれば発動できるんだよ」
「あのね。お前、魔法具の意味わかってる?」
「わかってるよ。ただ魔法具がなければ魔法が使えないなんて知らなかっただけなんだから」
「当たり前だろ。魔法具がなければ魔法が発動できないなんて、素手で魔法は使うことができない。ちなみに私の魔法具はこれだ」と得意げにレミリアが帯剣している柄に手をかけた「カーバイン家に代々受け継がれている魔法具だ」
「受け継がれてきた?」
「そうだカーバイン家を継ぐものはこの魔法具を継承するのだ」
「そういえばログは指輪か、なんで指輪なんだよ?」
「知らねえよ。先祖代々引き継いだ魔法具なんだから、俺は母親からもらった」
「ちょっと待てよ。なら魔法具って家が魔法使いでその先祖から貰うものなのか? なら魔法使いの家系じゃない僕は魔法具が一生手に入らないってことか?」
「別に魔法具はそういう『もの』じゃない」とレミリアが言った。
「マリーはその杖どうやって手に入れたんだ?」
「わたしは弟からもらったの」とおっとりとした口調で答える。
「はあ、魔法を使うのも楽じゃないな」
「杖だったら購買に売ってるよ」とマリーが衝撃的なことを言った。
「えっ購買に……」
「うん、見たことある」
「また午後からケイトの授業かよ。俺はそれまで寝るから静かにしてくれよ」とログが言い放って寮へ帰っていった。
「僕たちもやることがあるから」とレミリアが言った。
「えっどこいくの?」
「不躾だな。あまりレディのやることを詮索しないでくれるかな」
「はあ……レディね」
そんなわけで1人で残されたハルトは学校の購買に行ってみることにした。
学校の中の購買にやってくると頭巾をかぶった中年の女性がいた。棚には色々な文房具や服や帽子や杖なんかがあった。ハルトが杖を見ていると
「杖を探しているのかい?」と購買のおばさんが話しかけてきた。
「はい」
「ならこれはどうだい」とある杖を持ってきて勧めてきた「黒と赤のツートンカラー、それにさりげない装飾が施されていてスタイリッシュな次世代の杖! これを持っていれば学校で羨望の的、間違いなし!」
「おお、めちゃくちゃかっこいい! でも高いんじゃないですか?」
「なんとこの杖、8万4000マネー」
「高いな―」
「けど君には割引してあげる。8万ちょうどでどう?」
「8万かーそれでも、足りないな……」
「いまどれぐらい持ってるの?」
「いま……1000マネーぐらいしかないです」
「なるほど、でも安心して、いま現金がなくても買える方法があるの」
「えっ、そんな方法があるんですか?」
「そう『リボ払い』っていうの」
「リボ払い?」
「そうリボ払いなら月々の支払いが一定なの、だから返済が安心なのよ」
「えっ?」
「いくらこの購買で買い物をしても毎月1000マネー支払えばいいの」
「本当ですか?」
「そうなのよ。いま現金がなくても買えるオトクな支払い方法なの、いくら使っても支払いは一定なの」
「買います。僕、リボ払いで買います」
「毎度あり。あっでも手数料と利息がかかるからね」
そうしてハルトはリボ払いで魔法具である杖を購入した。
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