木彫り

日本語破綻者

第1話木彫り

 凄い。

 奈良に修学旅行で行った僕は、仏像を見て感動した。

 千年も前の仏像がこうして今も残っていて、僕が今それを見ている。この千年以上の間に様々な人達がこの像を見て色々な感想や感情を僕と同じように抱いたのであろう。

その佇まいは憂いを帯びていつつ、それでいて迫力を感じられ、時代を超えて今なお訴えかけて来ている。

 僕も仏像を彫ろう。

 思い立ったが吉日、鉄は熱いうちに打て、だ。

 僕はすぐに彫刻を始める事にした。

 しかし、いつまで経っても成長は見込めなかった。

 そんな時だった。

「私は木彫り神です」

 目の前に現れたその存在は眩しい光を放っており、直視する事は出来なかった。

 藁にもすがる思いの僕は木彫り神にお願いした。

「木彫りが上手くなりたいです」

「頑張るのみ」

「神なのにまさかの精神論!?」

 僕はがっかりした。

「一つだけ方法がある」

「お願いしやす」

「えいや!」

 木彫り神が僕に何かをしてくれたので、説明を伺った。

「君は木をまず大事にしていないんだ。木と会話が出来ていない。根本的な原因はそれだ。だから君の体の素材を木にしたよ。これからは自分の理想の体型を自分で彫るが良い。もちろん一発勝負ね」

 僕の体はマイクラのような体になってしまった。

 これから自分で頭、手、足、そして股間を掘らなければならない。木彫り神がいうには、世界のどこかに僕と同じで木彫りになった運命の女(ヒト)がいるらしい。

 僕はいつか出会えると信じて、イケメンになるべく自分の体に彫刻を彫るのであった。

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木彫り 日本語破綻者 @mojiuchisyuukann

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