第8話 意外といい奴?!
ある研究施設にゼウス将軍と大統領がいた。
「将軍、これらはいつ稼働できますか?」
「いつでも稼働できます。」
とゼウス将軍が言うと部屋の電気が付いた。そこには、クローン人間の大群が整列していた。
「お言葉ですが、兵の数が足りないからといってクローン人間を使うのは、どうかと思います。」
「利用できるものは何でも利用する。そうでないと敵に勝てないよ将軍。」
そう言うと大統領は、研究所を出ていった。大統領に違和感を覚えたゼウス将軍は、部下に後をつけさせた。が、戻ってくることはなかった。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
目が覚めると全身筋肉痛で起きるのが大変だった。俺は、痛み止めを飲んで基地本部に向かった。
部屋に入るとみんな真剣な表情で座っていた。不思議に思い、俺はナタに理由を聞いた。すると意外な答えが帰ってきた。
「ジェノサイドのタナトスがここに来るからだよ。みんなあいつを警戒してる。」
俺には仲間が来るのに警戒する理由がわからなかった。俺はなぜかと聞いた。
タナトスの能力は呪術で、クリスタルを発動すると自分が触れたものはすべて支配できる。触れたものを思うがままに操れる。一度触れられると解除されるまで支配されたまま。またタナトスが攻撃を受けても、支配しているものを身代わりにすることができるのでタナトスが死ぬことはない。タナトスは戦いのとき、敵味方関係なく触れるのでINDEPENDENT内でとても恐れられている。
という理由があった。
するとタナトスが基地に着いたという通信が入った。
「一応配置について」とカミエル様が返答した。
そして俺たちは、迎えに行った。
「よう!カミエル、元気か?」
タナトスが側近と一緒にやってきた。卒業式で一度見たことがあったが、やはりただならぬオーラを感じる。
「あんたに心配なんてされたくない。」
「人が心配してるのにそんな態度を取るなよ〜。あと、こいつらどうにかしてくんないかな〜。視線が怖いよ。」
「うるさい。あんたが何をするからわかんないからでしょ。」
「何もしないって!」
周りを見ると上の階や物影からタナトスを狙って銃を構えている人たちがいた。タナトスを警戒しながら俺たちは会議室に入っていった。
タナトスが来た理由は方舟計画についてだった。俺たちの頭にはハテナがいっぱいだった。するとカミエル様が何も知らない俺たちに説明してくれた。
【方舟計画】
現在INDEPENDENTの制空権はほとんどなく、戦闘機を飛ばしても迎撃されてしまう。また、第一世界にはほとんど基地がなく戦闘機が着陸するところがないに等しい状態。これを打開する策としたのが方舟計画である。元々海上で使われていた空母や戦艦、巡洋艦、駆逐艦をクリスタルの重力を応用して空に浮かし、いつでも移動できる基地にするというもの。こういう船は魚雷や砲撃に備えて頑丈に作られており、対空ミサイルを受けても簡単には破壊されないという利点がある。さらに、技術を進歩によりシールドも搭載されているらしい。これを使って地上奪還するという計画。
タナトスによると、ジェノサイドにも敵の第2基地みたいなのが出来て、今までより敵の数が増えているそうだ。そしてその基地を潰すために方舟計画の船を何隻かをジェノサイドにも使わせて欲しいとの事だった。
会議はなんだかんだで合意までいった。
タナトスが帰る際、俺と目があった。するとこっちに近づいてきた。
「君が、例の新人君?」
「一応新人ですけど。」
「君の噂はいろいろ聞いてるよ。関わることが多くなると思うから、これからよろしく。」
と言って、握手をせまられた。
俺は握手しそうになったが、ナタが言ってたことを思い出し死を回避した。
タナトスは握手できずしょんぼりしながら帰っていった。
タナトスは意外といい奴なのかなと思った。
そしてみんなで部屋に戻り、今日を過ごした。
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