人工島

増田いぬ

人工島


この川は船の住む川 人間は小さく並びて渡し船待つ



直線と鋭角からなる地図をもつ人工島に逡巡はなく



迷いなくルアーは海に投げ出され極彩色の嘘が描く弧



この先は化学品埠頭 地図ばかり見て歩くからすぐ目がまわる



壁打ちの音が響けり閉ざされた博物館のエントランスに



壁打ちとはフィードバックのことらしくゴシック体の新書によれば



鳥ほどの身軽さはなくお隣の人工島にはニュートラムでゆく



運ばれてゆくものばかりのこの島で運ばれないもの、ヒメジョオンなど



対岸につけば他人のわたしたち たしかに同じ川を渡りき

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人工島 増田いぬ @masudainu

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