第2章 〜高校入学〜

(7)転校初日からクラス中に王女との関係がバレました。

 僕が通っている聖翔高校に転校生がやって来た。

普通このような時期に入学してくることはあり得ないのだが、ある特別な方法を使い入学させることに成功した。

隠蔽魔法(基礎)と洗脳魔法(基礎)を僕が校長に行使したのだ。


 

 

 HRが始まったというのに、クラスの熱気は冷めやらない。


「ねぇねぇ、聞いた?噂の転校生、アメリカから来たらしいよ!?」

「おいおい、お前ら知ってるか?噂の転校生、めちゃくちゃ美人らしいぜ」


このような感じで、先生が点呼を取った後でもこの調子だ。


 先生はついにこの熱気を冷ますことを諦めたのか、転校生にこの状況の中入ってくるよう手招きした。

その瞬間、クラスの熱気は冷めぬまま、一時の静寂が訪れた。


「皆さんこんにちは、アメリカから来ました、アネッサと申します。この国に来たのは初めてですので、まだまだ日本について知らないことばかりですが、仲良くして頂ければ幸いです。皆さんどうぞよろしくお願いします」


彼女がぺこりとお辞儀すると、その静寂は一気に弾けた。


「えっ、メッッッチャ美人じゃね?」

「可愛い…可愛いですぞアリッサ殿ォォ…デュフ///」


ザワザワが一向に収まらない。

そんな中、ある1人の男が大きな声でアネッサに声を掛けた。


「おォォ、アネッサじゃあねぇか。久しぶり…でもねぇなァァ。」


 途端、クラス中の視線がアネッサからある1人の男"佐伯"に集まる。


「は?なんであのヤンキーの佐伯がアネッサさんと知り合いなの!?意味分かんない」

「佐伯…お前後で俺たちにもアネッサちゃん紹介しろよ…?」

「さッ、佐伯殿ォ!我々にもッ!我々にも紹介願いますぞぉぉぉ!」


まさかの注目に佐伯はとても驚いていた。


「お、おォォ、お前ら急になんだよ、気持ちワリィなァァ。いつもはそんなんじゃないだろうがよォォ。それに、アネッサ紹介してもらうなら司が一番適役だろうがよォォ」


クソッ、しまった。

アイツは悪気が無いだけで空気を読まないタイプだったッ!


その途端ザワザワが一気に静まる…

先ほどとは打って変わってヒソヒソ声だ。


「え?司ってあの金元…?(小声)」

「司ってあの教室の隅で本読んでるやつか…?(小声)」


散々な言われようだ。

小声で話してるやつには意地でもアネッサを紹介しないでおこう。

ある1人の生徒が佐伯に尋ねた。


「なんでお前じゃなくて金元が適役なんだ…?」


「そりゃお前、アネッサが司の家で暮らしてるからだろうがよォォ」


 よし、決めた。アイツにはラーメンは金輪際奢らない。


「「「……………は?」」」


クラス中が疑問符で埋め尽くされるのを僕は感じた。


「あ~、お前ら金元とアネッサの件は先生も気になるが、とりあえずお前らもうそろそろ授業だ。とりあえず話すのをやめて授業の用意をしてくれ」

「アネッサは…そうだな、アメリカから来てまだ心細いだろうから、金元の横に座るといい。お前達の関係を先生は知らないが、知り合いなのは間違いなさそうだからな」


「分かりました」


クラス中から羨望の眼差しで見つめられながら受ける授業は、中々にしんどかった。





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