第21話 その頃地上では……

 その頃、地上では大騒ぎになっていた。



「王様ぁあ!」


「どうした? そんなに慌てて」


「マモンの丘が噴火しましたぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」


「な、なななななな何ですとぉぉぉお!!!?」



 べべブルの大穴の近くに広がる小高い丘。冥界につながると言われるほど恐れられる大穴に対して、マモンの丘は長閑のどかな場所だ。


 そこが、噴火したと伝令係から聞いて王様は椅子から跳びはねた。



「被害は!?」


「あ、ありません。その、噴火したと思ったら、元の穴に帰っていきました」


「帰った? 何で?」


「わかりません」


「そもそも帰ったって何? 噴火って帰るものなの? ただいまーって、ただいまーって帰るのかな?」


「いや、その場合はおかえりーかなと」


「貴様はどこにいる設定なんだ?」


「とにかく天変地異の前触まえぶれだと国中が大混乱におちいっています!」


「うん、もう、天変地異そのものだと思うけど、わかった。団長に言って、調査隊を向かわせろ。原因がわかればたみも落ち着くだろう」


ただちに」



 王様は、走って出ていく伝令の後ろ姿を見送ってから、ふぅーと額の汗をぬぐった。



「いったい、何が起きているんだ?」

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