Vtuberを仲間にしてダンジョン攻略!~異世界生活は地の底スタート、なぜかお父様と慕ってくる最強のVtuber達を従えて地上を目指す~

最終章

1章:異世界生活は地の底スタート!?

第1話 異世界生活スタート! ただし地の底から

 突然だが、俺は今、落下している。


 奈落ならくの底に。


 ホワイ?


 その理由を説明するには、まず異世界召喚されたことから話した方がいいだろう。どこの誰が召喚したのかはさだかではないが、気が付いたら俺はどこかの世界のどこかの城の中にいた。


 まぁ、それはいいとしよう。いや、ぜんぜんよくはないのだが、とりあえず、広い心でよしとしようじゃないか。俺だって異世界モノを少しはたしなんでいる。異世界に呼ばれたくらい受け入れようじゃないか。


 さぁ、ここからチートな異世界生活が始まるぞ、と意気込む間もなく、ぶんなぐられ、られ、しばられ、拘束こうそくされた。


 ……。


 あんまりじゃない?


 おもてなしの精神をいちじるしく欠いている。急に不審者ふしんしゃが城の中に現れたからって、いきなり暴力って。まずは話し合うべきだよな。口がなぜ一番前についているかを少しは考えた方がいい。


 というか、俺を召喚した奴どこいった?


 などと、わからないことは多々あれど、わかっていることは、城の連中は俺の弁明べんめいなど何一つ聞く気がなく、俺に助かる見込みがないということだった。


 不幸中の幸いといえばいいのか、俺は即死刑そくしけいとはならなかった。黒髪は呪われている、という迷信のおかげである。だから、殴れど蹴れど、殺してやろうという奴はいなかった。むしろ、みんな少しびびっていた。いい気味だ。


 ということで、奈落に捨てられた。


 文字通り、捨てられた。


 国のはずれの大きな穴。まったく底が見えない。まさに奈落というにふさわしい。ただ、その奥底は黒ではなくあわい緑。草木のおだやかな色ではなく、現実味のない光のたば。地の奥にただようオーロラのようだと思った。それこそ別の世界に続いていそうな神秘的しんぴてきな光景。このまま、ちていけば元の世界に戻れるのではないか。そしたら、最速の異世界冒険譚いせかいぼうけんたんである。ギネスに登録してもらおう。


 俺が奈落に見惚みとれていると、何の躊躇ちゅうちょもなく、粗大ごみでも転がすように、兵士は俺の背中を蹴とばした。


 そのとき、俺がどう思ったかって? ははは、そりゃ復讐ふくしゅうちかったよ。俺にこんな理不尽りふじんな仕打ちをした奴らを同じ目に合わせてやる! って……というのは嘘で、実際のところ落ちている最中そんなことを考える余裕などなく、ただただ、



「うわぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!! 落ぉぉぉぉぉぉおちぃぃぃぃぃるるるるるぅぅぅぅぅ!!!!!!!」



 絶叫ぜっきょうしていた。

 

 バンジージャンプってひもがついていても怖いじゃん。知っていた? 紐がついていなかったらもっと怖いんだぜ。


 のどけんばかりにさけんで、き込んで、もう一度、叫びらかして、少し休んで、意気込んでもう一回叫ぶ。だが、一向に底が見えない。というより緑のもやのせいで何も見えない。もしかしたら本当に底なんてないんじゃないだろうか。まぁ、やることもないし、とりま叫んどくか、と口をひらきかけたときだった。


 急に靄が晴れる。そこには広い空間、広すぎる大空洞だいくうどう。妙に明るいのは緑の靄の光のせいか。岩壁があるから地下なのは間違いない。しかし、眼前に広がるのは大森林と湖。なぜこんな地下深くに?


 そんな疑問をいだいたのは一瞬だった。なぜなら、俺は落ちているから。



「うぉ!?」



 ぼちゃんと滑稽こっけいな音を立てて、俺は湖に落ちて、そのまま気を失った。


 いや、たぶん、死んだんだと思う。

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