#7 伝説のカリフラワー博士


ガラス製のラムネ玉がカラカラと軽い無機質な音をたてながら地下への階段を落ちていく。先にあるのは地下牢。揺れる蝋燭。囚われの姫君。砕けたティアラ。繋がれた鎖からはコーヒーの香りがした。空から麺つゆが降ってきて電子機器は爆発した。もっと早く。箱をどかす。ミミズが白い大根を這う。間違いを気にしない。土から出た駒は飛車だった。汽車は闇を纏いながらカラフトを目指した。寒涼な大地に細いとうもろこしが埋まっている。タイガの奥底には伝説のカリフラワーが植えられていて勇者はそれを引き抜く。巨大化したブロッコリーは濃縮された森で3枚目の食パンが遊撃を守る。インフィールドフライが宣言されて甲子園の観客の手首が千切れた。鳴り響く天使のラッパを東の河童が聞いていた。一番星は北の空に瞬き、博士は遠く北の砂の地へと旅に出た。ピラミッド化した岩と砂になった人類が砂風にさらされていた。足を砂にとられながら博士は涸川を進んでいく。涸れた川を空飛ぶ魚が泳いでいた。照りつける太陽も夜には死んだように冷たかった。博士は土地の王に謁見し巻物を渡した。王は喜び褒美を与えた。金銀財宝をラクダに乗せて博士は北へと帰る。

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