第10話 ゴブリンは雑魚?

窓から注がれた陽光が会議室を照らし、暖かな雰囲気を生み出している一方で、集まったクランメンバーは各々、4大ギルド会議アララギサミットからのお知らせを読むことに身を投じている。


その静かな部屋の一員である私も、お知らせを読みながらこう考えていた。

(何をどうすればいいか。全くわかりまシェン)


しばらくして、私はこの空気に耐えられなくなった。

「なるほど!これはなかなか面白そうなイベントですね!」


「確かに、戦闘に参加しなくても後方支援とかでイベントに参加できるという点や、準備期間で納品された物資で戦闘を行うという点、それに大工特有の役割があるのも面白いですね」


(ガチ考察、さすがバロックさん)

「そうそうそこら辺が面白そうですよね」


「笑」


「りんねさんなんで笑ったんですか?」


「絶対わかってなかったってさ。ちなみにここにいる全員がそう思ってるから安心して」


(ウカノミタマさんがいらない情報まで教えてくださる。そして何に安心すればいいんだ)


「私以外がいじられてるの見るのなんか新鮮。そのポジションお譲りします」


(譲らないでくださいリリー・Pさん。全然嬉しくないです)


「まあ、茶番はおいといて、ちなみにモンスターはゴブリンだけですかね?前回はどんな感じでしたか?」


「あくまで前回の話になりますが、ゴブリン以外にも、ウイングウルフとスカイクロウという魔物がいます。そのモンスターにゴブリンが乗魔して海から陸から襲ってきます。それもなかなか厄介なんですが、一番はいろんな役割を持ったゴブリンが連携して軍隊みたいな統率を取る。これが一番の凶悪ポイントです」


「うわぉ、思ったより強敵なんですね。てっきりゴブリンなんてヨユーかと思っていましたよ」


「スライムにボコられてたやつがそれ言う?」


「・・・」


(Natizenさんテキビシー)


「まぁまぁ、新人をいじめないであげてくださいよ〜。オーウェンさん、ちなみにどんなゴブリンが出てくるんですか?」


「まず、盾役でHPが高いホブゴブリン、弓を持ち遠距離攻撃してくるハンターゴブリン、魔法を使ってサポート&攻撃してくるマジシャンゴブリン。この3種類のゴブリンが基礎ユニットになるな。そして、遊撃隊にウイングウルフに乗狼したゴブリンライダー、空から攻撃してくるウイングクロウとスカイゴブリン。これらを統括するゴブリンジェネラル。そして全てを統括するゴブリン王といった感じだな」


「ホントに軍隊みたいですね」


「まあ、初心者の君は防衛隊だろうから防衛兵器でぽちぽちやってたら良いと思うよ」


「それで私は今後どうすれば良いんでしょうか」


「まずは装備を揃えることから始めるべきだ。装備にアクティブスキルが付いている装備を購入すると良い。アクティブスキルは自動で攻撃を繰り出してくれるものだから、初心者にとってはオススメだ。そして何回も使っていくことで身体が覚えて他の装備を着用したときでも使うことができる」


「ほへぇ~。ちなみにお値段いくらぐらいするんですか?」


「だいたい10000Kくらいだな」


「え、、、」


「ちなみにこの世界での1Kは100円くらいの価値な」


「え、、、とすると100万」


「あと、お前はすでに75000円分失ってるってことな」


「え、、、」


「あ、ちなみに装備全部揃えるとして、スキル付きが1つで後は普通のだとしても、20000Kくらいはトータルでかかると考えた方がいい」


「え、、、」


「だからそのためのお金を稼ぐこと。準備期間は納品すれば防具類は1.5倍になるみたいだから、それを利用すると良い。鉄性の防具や革の防具に属性付与して納品。それの繰り返しだ」


窓から注がれた陽光が会議室を照らし、暖かな雰囲気を生み出している中で、Natizenの顔は私の方を向いている。私から見て逆光になっていることと、顔が影になっていることも相まって大変恐ろしく感じられた。


(ゴブリンを雑魚って言ったこと、怒ってます?)

そう思っていた私なのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る