第9話 新たなる燈
「魔法。RPGの中で必ずと言ってもいいほど存在する要素。その中で魔法は、物体を創造したり、状態を変化させる作用を持っている。そして、モンスターを倒すための一番の武器であるということ。しかし、この世界では大きく異なっている。まず1つ、魔法師以外の人間はほぼ魔法が使えず、使えたとしても属性基礎魔法のみであるということ。2つ、使えたとしてもモンスターに効果のある魔法が存在しない。それがこのゲームで魔法師が最弱である所以でもあり、そしてそれがこの世界での常識」
「だった。。。」
数分前
「とりあえず、俺だけでは手に負えないから2階でクランメンバーに自己紹介すませて。話はそれからにしようか」
「あ、口調、、、」
「あぁ、これが素の口調。もう頭の容量超えて、敬語に気を使ってる場合じゃないから元に戻す」
(部屋の気温が寒く感じるは気の所為であろうか。というかそれよりもあれ、敬語だったんだ、、、なんて言えない空気ですよね。はい)
「あ、はいわかりました」
クランホームの2階に上がり、2階にある部屋に入ると、7人のプレイヤーが長方形の机に座り談笑をしていた。
そこに私とNatizenが入ると、一斉に視線が私に集中したのがわかった。
その視線を一斉に浴びた私は緊張した面持ちで唾をごくっと飲み込んだ。
少しばかりの緊張の後、その静寂を切るようにNatizenが私を紹介してくれ、その後クランメンバーを紹介してくれた。
まず、武田の赤備えのような、赤い甲冑姿が特徴的な『オーウェン』。狩人であり、すぐ隣には全長では2mほどあるであろう大きな白い狼が、凛々しい表情で座していた。
その右隣にいたのが、焼けた肌にガッチリとした身体の『ウカノミタマ』。漁業と農業のダブルジョブ保有者で、黒いタンクトップと大きめのパンツが、私とは反対側の活動的なキャラクターだという印象を受けた。
ウカノミタマのすぐ隣には、大きめのバックが置かれていた。そのバックの隣にちょこんと置物のように座っていたのが『Mike』。そのバックは彼女のもので、そのバックと同じくらいの身長しかないという。見た目は「小さい」という特徴以外にも、金髪にポニーテイル、頭にゴーグルをしているのが印象深かった。彼女は商人のジョブと、最近習得したばかりという織物師のジョブも持っているそうだ。
私やNatizenと反対側のバースデー席に座っているのが、料理人の『リリー・P』。ピンク色の短い髪に上半身は無駄に上に長いコック帽、白い料理服にピンクのネクタイ。下半身は腰に赤色の腰布と、黒いパンツと色の主張が激しめな格好をしていた。
私から見て左側の一番奥の席には、私よりも濃い緑の長髪に白い肌、耳が長く身長が低い『輪廻』。林業のジョブを持っており、無口な彼女は自分からは「話す」ことをしないのだが、口を開いた際には独特な言葉遣いをするという。
輪廻の右隣には、金髪に白い肌の女性が座っていた。そのキャラの名は『ブラックウェル』。薬剤師のジョブを持っており、研究者の装いである白衣を着ているが、立ち振舞は対照的で、なかなか
最後にバロック。黒い眼鏡に黒い髪、アジア風な印象を受け、誰に対しても敬語で話している。その見た目と立ち振舞に反してジョブは大工だという。いつぞや流行ったらしい「それあなたの感想ですよね?」と言われそうだが、大工はゴツくて頑固なイメージがあったため私は驚いた。
一通りの自己紹介のあと、Natizenが私の新しい魔法について詳しく聞きたいという風に聞いてきたので、ドローンメモを表示させる。
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《魔法基礎》
魔法とは、世界の法則の一つであり、物質を創造、変化をもたらす力の法則のこと。
魔法はエネルギーの根源である魔素のみを利用した無属性魔法と、魔素と属性を持つ属素(6属性)の2つの素粒子が連結した魔法元素を基本単位とした属性単一魔法を基礎として行使される。
魔素は「火・水・草・風・土・木」の6つの属性が存在し、属性の特性には個々に破壊や流動といったものがある。
特性
炎=(単)火花・??
水=(単)霧・??
風=(単)静風・??
土=(単)つぶて・??
雷=(単)静電気・??
木=(単)増殖・??
※(単)は属性単一魔法の略。
[魔法の行使方法]
無属性魔法は魔素だけを用いて行使をする。
属性単一魔法に関しては、魔素を元に属性変換器内で属素を生成、魔素と連結させ、行使する。
人間族は、魔素を貯蔵する臓器は存在するが、属性変換器や魔法術式器を持たない。
そのため、魔晶操作のような無属性魔法のみ行使可能。
しかし、長年の研究によって魔物から採取できる素材や属性クリスタル、鉱物などを加工・魔法術式を組み込み、媒介元として用いることによって、人間族も魔法を行使できるようなった。
[魔法の種類]
□属性単一魔法
魔素を元に属性クリスタルを用いることによって、「火・水・風・土・雷・木」の魔法を行使できる。ただし、その効果は火花や静電気といった限定的なものであり、モンスターに対して有効な攻撃手段とはなりえない。
□応用魔法
基本の魔法で用いる魔素、属性クリスタルに付随して魔物からの素材や鉱物に加工術式を組み込むことによってその属性がもつ特性を元にした魔法を行使することができる。
また、同属性のクリスタルを複数連結し、属性基礎魔法の効果を高めたものや、複数の属性クリスタルを連結し混合させた複合属性魔法も行使することができる。
[魔法の行使に必要な工程]
①エネルギー=体内魔素、クリスタル内に畜素されているものを利用
②属性変換器=属性クリスタルを用いて属素を生成、魔素と連結
③現象書換④出力=文字や模様を魔晶操作でクリスタルを素材に記術することで作成する。モンスターの出力素材を利用することも可能。
⑤魔力伝達器官=鉱物&金属
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
クランメンバーが読んでいる間、しばしの静寂があたりを包んでいた。
「こ、こ、これは・・・」
いくつかの声が不思議と重なって聞こえた。
「衝撃的な事実ですね」
「はい、私も見た時驚きました。文字数多!てなりましたし」
「いや、そこじゃない」
Natizenはツッコミが得意なようだ。
「この??っていうのは何?」
違った角度からの質問は、やはりブラックウェルからだった。
「ステータスにエクストラ魔法Lv1とあったので、恐らくそのレベルを上げることで見れるようになるのかなと思ってます。上げ方はわかんないですけど、、、」
「つまり、今はまだ、これまで使えていた魔法しか使うことはできないってわけか」
「そうですね」
「わかった。とりあえずこの情報は秘匿しつつ、情報集めとMaRiKuをしばらくしばく、、、いや育成から始めようか」
「いま不穏な言葉が聞こえた気が、、、」
そのような相談事が終わった後、締まり切ったカーテンを開くと今まで薄暗かった部屋に光が差し込んだ。
ぴぴぴぴぴぴぴぴコン
全員の砕けた表情が一瞬で引き締まったのがわかった。
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