第4話 Let's スライム狩り!
ゲーム時間14時。
北門すぐ近くのレンガ建築。
看板には『魔法仲介人 ”冥”』の文字。
お店に入るドアの横はガラス張りで店内が見えるようになっており、その上には壁打ち型のオーニングが張ってある。
私はそのオーニングの下に立っていた。
「これは、ギルドから、初期費用の1000
この都市ではお金が全てと言ってもいいほど、お金のやりくりがとても大切です。
最初はちょっとした武器をギルドなどに納品しつつお金を稼いでください。
初期装備や、お店の資金に数1000Kほど使うので大切にご利用ください。」
そんな、わかりきっていることを言ってイズナ様は店を後にした。
(いや~心配してくれるイズナ様はやっぱりいい人だ)
その後、建物の中を見て回る。
入り口から入ると、左右の壁には武器や防具を展示できるような棚類、真ん中には小物が展示できるガラスケース式の机が設置されていた。
その奥には木でできたカウンターが見える。
カウンターの奥に入っていくと扉の向こうには、仕事場となるであろう工房があった。
壁一面に収納棚、そして真ん中に大きな四角机と、丸い背もたれのない椅子が置かれていた。
今後、必要な機具や器具を買い足して、置いていくのだろうと安易に想像できるほど、シンプルな作りになっていた。
2階への階段は、その工房の一角にあった。
スタスタと2階に上がると、まっすぐな通路があり、手前と奥で2つに区切られていた。
手前の部屋は寝室になっており、奥はトイレや洗面台、浴室などがあった。
住居を一通り確認した後、寝室のベットに座り、何をするか考えた。
(RPGっぽいことをやっときたいなぁ〜)
そう、このゲームVRMMORPG(なが!)と言われている通り、RPGという部類に一応属しているらしいだから、、、
「よし、スライム狩りをしよう!」
そう決意するのは早かった。
RPGの中で最序盤に必ずといってもいいほど出現し、
とりあえず、ノリと勢いで狩りに行くことに決めた。
(一応、確認しておくか。)
「相棒、ステータスオープン」
どや顔とイケボ風にそう唱えると、どこからともなく相棒が現れ、ステータス画面を表示する。
〈ステータス〉
所持金 1000K
■戦闘 Lv.1
HP 10
STR 3
AGI 3
VIT 3
■生産 Lv1
DEX 3
■特殊
LUP 3
STA 3
満腹値 50
CAP 10
MP 10
〈ライセンス〉魔法師
〈ジョブスキル〉『魔材操作(AC)』
〈魔法〉『魔晶操作(AC)』
〈称号〉魔法師
いかにも初期ステという感じである。
(少しだけ、ステータスガチャみたいなのがあるかもしれないと期待をしていたけど、そんな甘くはないか)
まぁ、「スライム」ってRPGの中じゃ最弱キャラだから数回戦闘して、何体か狩れれば満足だしね。
危なかったら戻ってくればいいし。
なんて思っていた時期もありました。
甘かった。ホントに甘かった。
すぐそばの北門から抜けて「フロントエリア(初心者エリア)」と表示された近隣の初期ステージ。
スライム3体の群れと遭遇。
初めてのVR戦闘。
ホントにダイナミックで凄かった。
スライムのリアルさ。
攻撃が初めて当たった時の感動。
ここまでは良かった。
それも、束の間。
スライム3体にタコ殴り。
逃走失敗。
ゲームオーバー。
・・・・・
・・・・・
・・・・・
暗い視界の中、ダイアログが表示される。
『死亡し、所持金が半分になりました。』
最弱モンスター、スライムにタコ殴りにされたという事実。
デスペナルティーという言葉を忘れていた事実。
それで所持金が減るという事実。
所持金が半分となった事実。
このゲームはお金、特に初期の所持金が大切だと言われた、あの記憶。
当たり前のこと、わかり切っていると豪語していた自分。
それはもう後の祭りであった。
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
私は、VRヘッドセットをそっと机に置いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます