第8話「初めての喧嘩」

〜一ヶ月後〜

私と翔人の関係は世にも恐ろしいほど順調に進んでいった。


「あ、翔人!おはよ!」

「おはよ。今ちょっと話せる?」


話?今後のこととか?


「いいよ!」


私は翔人についていった。


「あのさ、俺と正式に付き合ってくれないかな」


それはつまり、仮交際をやめて、正式にカップルになる、ということだ。


「いや、、かな?」


今は自分がわからない。翔人とは、期間が終わるまでずっとこの関係だと思っていたし、だけど正式にそういうのになるのも悪くはないと思っている。だけどなんだろう。こんな私が翔人の隣にいていいんだろうか。


翔人は間違いなくモテるし翔人のファンだっているはずだ。それに、なにか企んでいるのかもしれない。考えすぎと思われてしまうだろうが、私は翔人が初めての彼氏なのだ。わからないことだらけ。


まるで、言葉を習い始めた幼稚園児。


「もしかしてさ、俺が前キスしたときのこと、怒ってる、?」

「全然怒ってないよ!むしろ、、」


嬉しかった、と言いたかったが、言ってしまうと、正式に付き合うことになりそうで怖かった。


「むしろ、、なに?」


言えない。とてもじゃないけど言えない。まだ頭の整理がついてない。


「なんでもない。」


翔人がいきなり壁をドンとしてきたのでびっくりした。


「ねえ、隠し事はやめてよ。俺、一応恋果の彼氏なんだよ?俺と正式に付き合いたくないの?答えてよ。」


もうだめだ、我慢の限界。


「もうどっかいって!!!」


私は思わず、逃げ出してしまった。

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