パラレルワールドとの付き合い方

自室に行って布団の感触を確かめてひと安心。

「ふう」

今回も実家が何かおかしい。


実は傾向がある。空間移動とも世界線移動ともいわれるらしいこの不可思議な現象。

マンデラエフェクトするとしばらくドチャクチャ滅茶苦茶破茶滅茶にねむい。

18時間くらい眠るときもあるくらいだ。

正直、仕事にならない。

ありえないくらいの眠気に打ち勝つとこんなふうにおかしな現象に遭遇するというわけだ。

便宜上パラレルワールドという言葉を使おうと思う。


パラレルワールドに移動するとある動画の接続詞が増えていたり、一文章程度の言葉が増えていたりする。日本でのおなじみの商品名が若干異なっていたりもする。西洋絵画に至っては世界観がまるで違っている。


再編集したのかなともおもったり、修繕の時に新たな構図であったり色味が使われてるのかもと思うのだが、どうやら発見された時の物そのままであったりするようだ。

「素人の調べでヒットしないだけだよね」


別のよく似た動画かなとも思ったりするが、上げ直したりもしてないしコメント欄もそのまま。

毎回、その人の動画だけは違うので面白いと思ったり、怖いと思ったりと感情が大忙しになる。

動画なのに言っていることがいちいち毎回違くて怖くなる。

ほかにもまだある。SNSで知ったことなのだが、日本の歴史が学生時代に習ったことと違う。

「日本史違ったんだよね……」

日々、新しい発見があるというし、新たに記載できるようになったこともあるのだろうが。

高校で日本史の評価が一番高くて誇らしかった身には、変化があまりに大きくて愕然とする。

「習ったこととこんなにも違うなんて」

歴史を学ぶことが無意味に思える。特に年号の羅列などどのような意味があるというのだろう!

覚えるべきことは何なのか。確認するべきこととは何なのか?

よりわからなくなってくる。

無知な人にも見えるだろうし。

「不安になっても仕方ない」

この現象を自覚した日から日記と家族・親族・勤め先に関してのメモだけはしっかりしておく。

自分しか把握できないものに関しては何重にも記録をとる。

本当に手間で、面倒な作業だが、身を守る術が今のところこれしかない。

「まさか、紙媒体での記録すら違うとかないわよね」

とりあえず、きちんと働けているし、家族も健康そうだった。

よりよい楽しい世界へとイメージを膨らませて日々を笑顔で過ごすしか今のところ解決策はなさそうだ。

願わくは摩訶不思議な体験をしている同志を見つけたいなと思う。

今回の帰省も何事もなく終わり、私のノートには新たに親戚の連絡先が記載されたのだった。

END


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マンデラエフェクトとは怖いものである 完 朝香るか @kouhi-sairin

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