マンデラエフェクトとは怖いものである 完
朝香るか
第1話半年ぶりの実家
おかしいなぁ。
確かに聞いたはず出し見たはずなのに。ワタシの聞いていたものと話が違う。
片手では足らない家族や親族との行き違い!
「ただいまー」
「この前、ウチの前の道路工事してたよね? 終わったんだ?」
「え? いやだ。工事なんてここ何十年もないわよ。危険性も老朽化しているわけでもないじゃない」
「は?」
まただ。家族と会話がかみ合わない。
半年前に帰省していた時には工事で大変って言っていたし、確かに工事の音でうるさかったというのに。
ここ何十年もない――。
私の半年前の出来事は何だったのか。
キツネにつままれたような顔になっていることだろう。
そして、凍り付いた食卓の空気をどうしてくれようか。
母はボケたんじゃないかといぶかしんでいるし、父は娘は実は馬鹿であるのではないかと疑惑を抱いている。
「あはは、また勘違いしちゃった。ごめんね変なこと言って」
「もう。変なこと言わないで」
「まったくだ。もっと記憶力がいい奴だと思っていたぞ」
(次はないかもしれない。お願いだからこれ以上の変なことはおらないでほしいものだ)
「お前、この前付き合っているといっていた男とはどうなんだ?」
「へっ?」
(彼氏できていない歴=年齢なんですけど、意味わからない。私って彼氏いたことあった?)
「ほら、今度紹介したいって言ったでしょ」
「う、うん。最近うまくいっていなくって。喧嘩みたいになってて」
「え? そうなの?」
「うん。解決したら紹介したいかな」
「早く子供が見たいって親戚の方にも心配されているんだ。はやくしないと」
「ええ。まぁ」
ちなみに私の知っている情報では親戚とは絶縁関係で連絡先すら知らないはずだったのだが。いつの間に連絡を取るようになり、世間話までするような間柄に復帰しているのか。摩訶不思議である。
一度落ち着こう。
「部屋に行っているね」
「ええ。お布団きれいにしてあるからごゆっくり」
「ありがとう」
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