『死ぬ前に飲むお薬』
やましん(テンパー)
『死ぬ前に飲むお薬』
『これは、フィクションです。』
霊魂の存在が、科学的に証明されたことは、科学界のみならず、宗教界にも、オカルト界にも、社会全体にも、深刻な衝撃を与えたのである。
霊魂は、非科学的ではなくなり、また、怪しい存在でもあり得なくなったからである。
科学は幽霊を無視できなくなり、また宗教は、もはや、怪しくは、あり得なくなった。
一方、悪霊の出現が、社会問題となった。
先頃のおろかな戦争も、悪霊の仕業と言う可能性が出てきたからでもある。
そこで、政府は、存在感を示すためにも、積極的な、悪霊対策に打ってでたのであった。
国立霊魂研究所、を立ち上げて、製薬会社と共に、死者の悪霊化防止を研究したのだ。
そうして、ついに、『悪霊発生防止薬』の開発に成功した。
それは、錠剤で、死ぬ直前に飲ませることで、死者の霊魂が、悪霊になることを妨げる働きをする。と、された。
💊
やましんべは、病気になり、いまや、意識不明の、非常に危ない状態となった。過去のいきさつから、悪霊化する可能性が高く、医師は、もはやこれまでと、奥さんの了承のもと、その薬剤の投与に踏み切った。
じつは、これを服用すると、健康な人でも、24時間で、死んでしまうという、かなりの劇薬である。ただし、苦痛はないらしい。また、12時間以内ならば解毒剤があるという。
だから、これを病院で、飲むということは、どっちにしても、まずは、助からないという意味でもある。
😇
ああ、しかし、運命のいたずらは止まらない。
やましんべは、投与から11時間後に、なぜだか意識が戻り、かなり回復しそうになった。
しかし、担当医師は、解毒剤の投与を、拒否したのだった。
『どっちにしても、全面的回復は望めない。』
と、主張したのだ。
間違いでは無いかもしれない。
しかし、意識の戻ったやましんべは、がぜん、発奮し、点滴の棒で、その医師をぶん殴ったのである。
医師は、小さな怪我をした。
これを受けて、やや、やましんべに好意的な別の医師が、自己判断で、解毒剤を時間ぎりぎりに投与した。
やましんべは、死ななかった。
💉
この件は、裁判に持ち込まれたのである。
殺されかけた(?)本人、担当医師、解毒剤を与えた医師、奥さん、病院、国と製薬会社が、もつれあった。
この話しは、しかし、かなり、ややこしくなった。
つまり、当事者、関係者、さらにそうした制度自体の可否を主張する双方から。つまり、国や、やましんべ側、奥さん、担当医師、病院、その他各種病院、科学界からも、宗教界からも、また、医療ミスの被害者団体や、医師組合、弁護士組合、政治家、健康保険組合、製薬業界、薬剤師組合、人権団体、マスコミ、そのほか、多数の利害関係がある、あるいはない、人たちを巻き込んで、大騒ぎになったのだ。
裁判所が、どう、整理し、判断するか、世界の注目が集まった。
さて、判決は、いかに?
この先を書くのは、あなた様です。
🏃💨💨💨にげる
おわり
『死ぬ前に飲むお薬』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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