安城閑華の1週間

雪花 涼麗

The First Day

私の名前は安城閑華あんじょうしずか、探偵です。

12歳で小6です。

そして、先日卒業して中学校に進学します。

今日は警察の相川あいかわさんに呼ばれて東京の警視庁に来ていました。


「よく来てくれた、安城。わざわざ本庁までありがとな。それで早速なんだがある事件に関わってくれないか?」

「別に良いですけど・・・・・・」


相川さん曰く、とある中学生の男性が殺害されたとのこと。

彼の名前は福田ふくだ


「―――それで、被害者ガイシャに関わりがある人は誰ですか?」

「先ず、数人いるんだが、1人目。田口たぐち。よく一方的に口論してるらしいが、仲はまぁまぁ良かったらしい。2人目。秋山あきやま。最近知り合って、それなりに関係を築いていたらしい。3人目、田河たがわ。仲はよく、互いを尊敬しているらしい。4人目。田島たじま被害者ガイシャとかなり親密だったらしい。5人目。いな。かなりのサイコパスだったらしい。頭はかなりいい。確か学年1位の常連だとか。とにかくこの5人の中に犯人がいる」

「その証拠は?」

「あぁ。6人で学校の教室で何かやっていたらしいんだが、5人が教室を離れてそれぞれやることをやって帰ってきたら死んでいたということだ」

「外部犯の可能性は?」

「ない」

「何故です?」

「警備員によると、その階に居たのはその6人。又、他の防犯カメラなどで確認している。ただ、その階には防犯カメラがなく、他の人も居ないから5人の中に犯人は居るだろう。そして被害者ガイシャの携帯にローカル、マウスとダイイングメッセージがあった」

「なるほど。では、話を聴いてきますね」

「あぁ。頼む」


私はその中学校に行くと、事情を話して中に入れてもらいました。

場所は神奈川。

少し遠いですね。

そして話に出た5人の人を呼んでもらって話をすることにしました。


「すいません。今授業中ですよね」

「いやいや、全然。それで、例の事件ですよね?」

「えぇ。お願いしていいですか?」

「はい」


私達はそのまま学校の中に入り、1教室を借りて、中で取り調べをすることにしました。

他の人達は廊下に残して、1人ずつ話を聞くことにしました。


「えっと・・・・・・。まずはそこの人からお願いします」

「あ、俺っスね」

「はい」


中に入ると、扉を閉める。


「まず、あなたの名前を伺ってもいいですか?」

「田口です」

「ありがとうございます。事件当時、あなたは何をしていましたか?」

「えっと、画用紙を取りに行ってました」

「ほう。それで何処まで?」

「この建物から少し離れたところにあるあの入り口が少々黄緑の建物です」

「ありがとうございます。どうしてあなたは画用紙を?」

「くじ引きです。皆で名前を書きあって、画用紙を取りに行く人、全員の荷物を教室まで持ってくる人、設計図を書く人、絵の具を持ってくる人、タオルなどの汚れたら拭けるものを持ってくる人、最後に、机の上にカバーを敷かないと凸凹するので大きな板を持ってくる人の配役です。俺は画用紙を取りに行く人で、福田が設計図を書く人です」

「なるほど。最後に1つ、今の心境はいかがですか?」

「・・・・・・悲しいです。福田は・・・・・・良いやつだったのに!!」


田口はそう言うと腕で涙を拭く。

だが、私にはその動作が違和感しかなかった。

そして次の人。


「名前を伺ってもいいですか?」

「はい。秋山です」

「ありがとうございます。事件当時、あなたは何をしていましたか?」

「俺は全員の荷物を教室まで運んでました」

「それは何処までですか?」

「3階下です」

「ありがとうございます。最後に1つ、今の心境はいかがですか?」

「正直言って、ムカついてます。福田は周りから恨まれるような存在ではなかったんです。だけど、その福田を殺したやつが許せないです」


秋山はそう言うと机を叩いた。

次の人。


「名前を伺ってもいいですか?」

「田河です」

「ありがとうございます。事件当時、あなたは何をしていましたか?」

「俺は・・・・・・絵の具を取りに美術室まで」

「それは何処ですか?」

「1回、一番下の階まで行って、その後、向かい側の建物に入る。そしてその最上階です」

「ありがとうございます。最後に1つ、今の心境はいかがですか?」

「殺したい」

「え?」

「福田を殺したやつを殺したい」


田河はそう言うと殺意に満ちた目で窓の外を見た。

次の人。

女性ですね。


「名前を伺っても宜しいですか?」

「田島です」

「ありがとうございます。事件当時、あなたは何をしていましたか?」

「私はタオルを持ってきてましたね」

「何処まで行ってましてました?」

「職員室です。そこで5分くらい待たされました」

「ありがとうございます。最後に1つ、今の心境はいかがですか?」

「フックが死んでとても悲しいです」


田島はそう言うと涙を浮かべた。

次の人。


「名前を伺っても宜しいですか?」

いなです」

「ありがとうございます。事件当時、あなたは何をしていましたか?」

「僕は技術室までデカい板を取りに行ってました」

「それは、何処ですか?」

「美術室の1階下です」

「最後に1つ、今の心境はいかがですか」

「普通に悲しいです」

「ありがとうございました」


全員の事情聴取が終わり、私は数時間後、現場に行きました。

なるほど。

ドアはこじ開けた跡はなく、特に妙な細工はしてない。

そして――――。

なるほど。

あなたでしたか。



「それで、犯人が分かったって本当ですか?」

「えぇ。おそらくその動機も」

「教えて下さい」

「えぇ。その前に、皆さん。くじはどうやって決めましたか?」

「え?いや、エクセルでルーレット」

「なるほど?それでそれを作ったのは?」

「田口です」

「ありがとうございます。これで犯人が確定しました。先ず、犯人の前に、トリックから。まず、全員がそれぞれ散らばったのを待ち、教室に戻り、殺害しました。凄いですよね。わざわざ手袋とか用意していたんですから。計画的犯行ですね。それで殺害した後・・・・・・。この縄の両端を持って先の方につけておいた何かで黄緑色のドアの建物に引っ掛けます。角度も丁度ですね。そしてその子の上をフックか何かを引っ掛けて滑れば、約4秒弱で向こうまでいけます。そしてその縄を切ってしまえば回収も可能です。そしてこのトリックが出来たのは―――――田口さん、あなたですよね?」

「た、田口、お前、殺ったのか?」

「おい」

「ま、待てよ。それなら誰だって出来るだろう?」


そう来ましたか。

さて、ここからが本領発揮ですね。


「では・・・・・・。この窓、ストッパーで途中までしか開きませんよね?そのストッパーを外すにはドライバーが必要です。おそらくそれも手袋でやったんでしょう。ですが、殺してからは手袋をしていると、血痕が着いてしまいます。ですから、向こう側には指紋が着いているでしょうね」

「だとしても俺はそこに行ってるからついてるに決まってるだろ?」

「そういえば・・・・・・ダイイングメッセージがありましたねぇ」

「え?」

「あぁ。それは確か地方の鼠、っていう意味だったよな?」

「えぇ。普通に考えれば、ですけれどね」

「どういう意味ですか?」

「英語の綴で書くと、Local Mouth。あなた達は勘違いをしているんです。確かにカタカナは難しいですからね。似たような発音をする英語なんて山程ありますから。さて、ここからは英語の時間ですね。Local、直訳すれば、地方の、とか、普通の、とかになりますが、もう少し、掘り下げていきましょう。そうすると何になるかご存知ですか?」

「・・・・・・田園」

「流石学年1位と言うべきですね。そうです。田園の口。そういう意味になってしまいますが・・・・・・。それはダイイングメッセージとしては十分。最初と最後の文字を取ってみて下さい。それが答えです」


田口は足から崩れ落ちた。


「そうだよ。俺がやったんだ。ちなみに俺が殺した理由とかも分かったりするのか?」

「えぇ。借金、ですね」

「あぁ。俺にあいつは8000万の借金をしていた・・・・・・。それを返さなかったから殺ったのさ」


田口は潔く認めると、そのまま連行されて行きました。




≪The First Day was Finishing, And To The Next Story...≫

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