帰り道

帰り道

外灯を青くすると自殺者が減るって言うね自殺者殺しね

終電の終点までに人が減り光弾になって海の上ゆく

友人と寄り添いお互いスマホを見てる言葉知らずふれあう距離感

イヤホン外し駅名を聞き覚えるこの町に馴染むための儀式だ

隣の人が漫画ゴラクをめくるたび風が吹いてる冷え性なんだわ

意味もなくコンビニに寄りなんとなく帰りたくない家ワンルーム

ドミノピザの食べかけのゴミのある公園春には帰るねこのクソ地元に

吊革に手首をぶら下げ終電に揺られる集団首つり自殺

妙な穴が背にある服を着てる人 間違えて天使用の店で買った？

街明かりに虫の影さえ見えぬ間に湿気た帰路にて外灯浴する

雨足との競争に負けて歩く終の電車のベルには勝たねば

蝉は夜 つかれて眠っているのだろう人も虫もそうするべきだろ

マスク脱ぎ深い呼吸も久しぶりLUSHの香りの女で噎せる

朝焼けを僕だけ見てる気がするぜ一番早く朝が来る街

目の前でスタバの閉店処理見てる紙ストローもめちゃくちゃ棄てるね

自販機の死ぬほど熱いコンポタをラストエリクサーと呼んでる先輩

獣さえ寝るときゃ巣に行く僕だって 家に帰るよ人間だからね

寒さに身じろぐ虫の息さえ聞こえるしじまに欠けた月見る

一つだけ消えた灯りが虚を穿つこぼれた夜闇を浴びてるみたい

靴紐がほどけたままただ足下を見つめる歩き出したくないから