125 自然と頭が下がった!

 シヴァの推測はほぼ正解だった。

 ほぼ、と言うのはもっと酷い。


『あらゆる種族の中で最高に容姿端麗、頭脳明晰で、誰にもマネ出来ない最高の技術もある我らハイエルフを何故、あがめないのだ!

 愚かで下等で無様ぶざまな人族めが!『奇跡』と呼ばれる程の霊薬があるのなら、さっさと献上しに来んかっ!

 …と言っても我らが里は下等な人族には到底辿り着くのは無理な場所だから、わざわざ出向いてやったぞ!ひざまずいて有り難く思え!』


 …だそうで。

 大半の人たちは理解出来ない程隔絶し、思考能力は脳味噌ではなく、別の所にあるのがハイエルフだというのがよく分かった。

 衰退して当然の種族だと話を聞いたエアは思うし、大半の人たちも同感だろう。


 それで、そのアホ過ぎるハイエルフ三人は、精霊契約を全部解除し、魔法もスキルもシヴァが全部取り上げてエルフの里に戻して来たらしい。

 今まで散々偉そうな態度を取ってても許された、許すしかなかったのは、それなりの実力があったからだろうから……まぁ、長い寿命に終止符を打つことになるだろう。自業自得だった。

 ここで気になるのは「半精神生命体」だとシヴァが言っていたことだが、ハイエルフ自身はそのことを知らず、心が折れた時点で終了らしい。


「じゃ、シヴァは何でそういったことを知ってたんだ?」


「もっと長命な神獣たちと友達だから」


「なるほど」


 シヴァの豊富な知識の出所はそちらもあったのか。

 神獣となると、やはり、神々しく自然と頭が下がるような威厳があるんだろうな、とエアは思ったのだが……いや、推測は間違ってなかった。


 確かに自然と頭が下がった!


 大型犬サイズで現れ、そのふわふわもふもふ、撫で心地も感触も抜群の毛皮を、快く撫でさせてくれたので。


 白銀のフェンリルの神獣イディオスは、かなりフレンドリーな神獣だったのだ!


【六体もの高位の精霊獣と契約出来るあるじとは、我の知る歴史上でも初めての快挙だぞ!エアはすごいな】


 シヴァから聞き、驚いてホテルまで見に来たらしい……。

 まぁ、せっかくなのでエアと精霊獣たちは、イディオスと一緒に大浴場の露天風呂を楽しんでいた。


「そんなに難しいことなのか?」


 そうなの?とばかりに精霊獣たちもくつろぎながら小首を傾げていたので、エアは確認を入れてみた。

 口調はどうでもいいらしいので、お言葉に甘えている。


【ああ。いくら暇でも精霊獣は好みがうるさい上、他の精霊獣もいるのなら別の人間と契約した方がいいと考える。限りのある魔力の取り分が減るからな。

 その義手の魔力タンクがあってこそ、というのはあるだろうが、そもそも、召喚アイテムは強制するものではないし、手に入る人も選んでいるのだろう。その時点ですごい。

 それに、使い魔契約は嫌になれば一方的に破棄も出来る緩い契約だから、思ったのと違うのならとっくに破棄してるハズだ。ゴロゴロ懐いてるのもすごい光景だな】


 猫型らしく、好き勝手にお湯に浮いたり、エアの肩や腕でゴロゴロしているのは、確かにすごい光景かもしれない。神獣の前なのに。


「神獣様…」


【本当に呼び捨てでいいぞ】


 そう言われても気軽に呼べない。


「あーじゃ、イディオス様、精霊獣とは格が違うんだろ?とがめなくていいのか?」


【どうしてだ?変にかしこまられるより、自由にしててくれた方がこちらとしても気楽でいい】


「うん、やっぱり、格が違うな。自然と頭が下がる」


 単にだらだらと長く生きて来たバカどもと大違いだった。

 いや、うっかり比べてしまったこと自体が恥じ入りたい感じだ。

 人格者、いや、神格を持ってるからこその威厳と鷹揚おうようさ。

 そして、かなり博識で話していても楽しい。

 シヴァが友達つき合いしてるワケだ。


 そのイディオスは美味しい食べ物も酒も好きで、酔って陽気になり歌ったり踊ったり…そのテンションの高さに少し引いたが、人間っぽいのでフレンドリーにつき合えるのだろう。


 宴会は精霊獣たちも大いに喜び、ゴロゴロと喉を鳴らし機嫌が良さそうだった。




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