第7章・ラーヤナ国王都フォボス ―新しい生活の幕開け―
117 猫型精霊獣をもっと増やしてみた!
ビアラークダンジョン21階、湖にいるイレギュラーボス【
エラの付け根とアゴ?を切り、尾びれの所まで腹を切って内臓を出す、といった魚を
同じ倒し方だと限度があるのかもしれないので、その検証のためにも倒し方は変えない。
しかも、リポップ待ちの間に湖に生息する魚や魚系魔物が狩り放題。一つ下22階の海フロアで海魚、海系魔物を狩ってもいいので、何粒も効率も味覚的にも美味しい。
アイリスの護衛は金目金茶トラ猫型の土の精霊獣のロビンに頼み、ラーヤナ国王都フォボスの高級宿『ホテルにゃーこや』に置いたままだ。
エアは緑目夜色子猫型の影の精霊獣のニキータだけを連れてエイブル国に戻り、ビアラークダンジョンに再びやって来ていた。
【影転移】の距離が伸びた上、ニキータと協力すると更に距離が伸びることが分かり、連続転移も【高速思考】【並列思考】スキルのおかげで問題なくなったので、自力で。
目視範囲となると、さすがに時間がかかり半日ぐらいかかったが、国をまたぐ距離にしては破格に速い移動方法である。
道中、せっせと転移ポイントを置いたので、帰りは更に速くなった。
ダンジョンのフロアも、転移ポイントが置いてあり、かなり、速く移動出来るので、すぐに21階の湖に到着。
早速、【三つ頭大雷魚】を
ダンジョンエラー!
「精霊獣の召喚アイテムが欲しい!風と水。猫型がいい」
二つはどうだろう?と二つ頼んでみた。
さて、とエアはテーブルと椅子を出してニキータと一緒にティータイム。紅茶でお茶菓子はカステラにしよう。
ニキータは甘い物も大好きだった。子猫型なので小皿に頭ごと突っ込んでるのも微笑ましい。普通の子猫なら窒息しそうだが、精霊獣にそんな心配なんかいらない。
やはり、十五分後。ドロップが出た。さほど大きくない宝石箱が二つ、魔石が一つである。
エアは【鑑定モノクル】を装着して宝石箱二つを鑑定してみた。
【水の精霊獣の指輪・水の精霊獣を召喚することが出来る指輪。契約前は召喚して好きな個体を選ぶことが出来るが、契約は一体のみ。精霊獣はこの指輪の石の中で休むことで回復する。魔力や魔石を与えてもいい】
【風の精霊獣のピアス(片方だけ)・風の精霊獣を召喚することが出来るピアス。契約前は召喚して好きな個体を選ぶことが出来るが、契約は一体のみ。精霊獣はこのピアスの石の中で休むことで回復する。魔力や魔石を与えてもいい】
ちゃんと希望通りの物が出た!
こうなったら、火と光の精霊獣も揃えたい。
過酷な環境が多いフィールドフロアで、かなりの戦力になってくれそうだ。回復魔法は光魔法の分類である。【回復リング】やポーション類があっても、エアが自分で使えない状況といったこともあるだろう。
ああ、そういえば、影と闇は別なのか。
そうなると氷や月や花や緑の精霊もいるのでは?
よし、火と光で最後にしよう。キリがなさ過ぎる。
リポップ待ち時間でエアは湖の魚、魔物を狩り、その他の魔物も討伐し、22階の海フロアまで行って、海の幸を増やして、また戻って来た。
リポップした【三つ頭大雷魚】を
何十回もやっていると、既に大皿に刺し身の状態で盛り付けるのも可能な程、手際がよくなっている。エラーで魔物肉は消えなくても、一時的なものなので食べられはしないが。
この身も魚とエビのいい所取りで美味しいので、本日三回目は魚の身を希望しよう。
そして、エラー後は希望通り、火と光の精霊獣を召喚するマジックアイテムをゲットした!
アクアマリンのような水色の石が付いた、銀色地金の幅広の水の精霊獣の指輪は右手の中指に。
風の精霊獣のピアスはピアスホールを空けなくてもくっつくタイプで、銀色地金のフープにパライバトルマリンのようなブルーグリーンの雫型の石付きチャームが通してある少しぶら下がるタイプだが、邪魔にはならない。左耳に着ける。
ムーンストーンのような乳白色に虹色光沢がある石が付いた金色地金の光の精霊獣の指輪は、右手の中指に水の精霊獣の指輪と重ねて着け、ファイヤーオパールのような
こうもジャラジャラ着けるのもなぁ、と思ったエアがちょっと訊いてみた所、休みたい時に出してくれればいい。精霊獣のマジックアイテムアクセサリーは召喚と精霊獣専用の回復アイテムなだけで、契約した後はさほど必要じゃなく、一体に一つではなく、一つあれば全員で使えるらしい。念話で話したのではなく、何となく伝わって来るイメージである。
なら、とエアはデザイン的にも気に入っている、ブラックダイヤモンドみたいな石が付き、影の精霊獣ニキータを召喚した地模様が入った銀色地金の腕輪以外は通信収納イヤーカフにしまっておいた。ピッタリと右手首に張り付くので邪魔にはならない。
水色の水の猫型精霊獣をクラウン、ブルーグリーンの風の猫型精霊獣をシエロ、銀色の光の子猫型精霊獣をルーチェ、真紅の火の猫型精霊獣をロッソ、と名付けた。
名付けに困ったのでマルチツールの【タブレット】でいくつか候補を出してもらって選んだ。本当に便利な【タブレット】である。
この四体は全員金目で、土の精霊獣たるロビンも金目で、エアと同じエメラルドグリーンなのは影の精霊獣のニキータだけだ。
格の違いなのか、たまたまなのか、何か他に理由があるのかはよく分からない。
友好を深めるために、大雷魚のマリネで精霊獣たちをもてなした。
ついでに、作り置きを増やしておこう、とゲットした海鮮食材でアクアパッツァや天ぷら、唐揚げ、オイル煮を作って行き、精霊獣たちにも味見させた。
ニキータ以外の精霊獣たちも人間の食べ物を気に入ったらしく、パクパク食べた。
皆、エアと同じ味覚で幸いだった。
******
ある程度、作り置きをしてから、エアは狩りに出かけた。
クラウン、シエロ、ルーチェ、ロッソの戦闘力も見たいので、25階の農場・果樹園・牧場フロアに連れて行き、好きに狩ってもらった。
戦闘力は申し分ないが、火の精霊獣のロッソだけはダンジョン以外での狩りには気を付けるよう注意した。
ダンジョンならドロップになるが、外では燃え上がってしまって食材が残らないので。森を燃やしてしまうようなヘマはするまい。
他に5階の熱帯フロアや22階の海フロアにも行ったが、果物や木の実採集が丁寧で器用なのは風の精霊獣のシエロ。水場は水の精霊獣のクラウンの独壇場だった。
エアがそれぞれを褒めると、光の精霊獣のルーチェが拗ねた。
戦闘力はあるが、精霊獣なら普通で光魔法はアンデッドには大ダメージ、他は回復魔法なため、出番がなかったのである。
影の精霊獣たるニキータは移動と収納でお役立ちだった。
「まだ出番じゃなかっただけで、ルーチェは夜に焚き火しなくても灯りの確保をしてくれるし、アンデッド相手では大活躍してくれるだろ?」
エアがルーチェの頭を撫でつつそう慰めると、ホント?役立つ?みたいな自信なさ気な顔で見上げて来る。
ルーチェもニキータと同じく子猫型、しかも、毛足が長めなので可愛過ぎた。
「可愛いだけで癒やされるから十分以上に役立ってるよ。…あーはいはい、ニキータも可愛いって」
ニキータがエアの肩に乗り、頬に軽く頭突きをして来たので、ニキータの頭も撫でてやる。
ニューフェイスたちよりつき合いが長いので、少し妬いたのだろう。
リポップした頃を見計らって21階へと戻り、予定通り、今度は大雷魚の身をたっぷりゲット!
これでエアの目的は果たされたワケだが、シヴァも何か欲しいかも、と通信イヤーカフで訊いてみた。
【…は?超レアな召喚アイテムでも同時に二つ手に入るのかよ。ぶっ壊れ設定だな…】
何か呆れていた。
【今はいい。経験値も美味しいからアカネにやってもらう】
確かに、何度も倒すのなら経験値もかなり稼げる。
全然意識してなかったが、エアもそれで思ったよりレベルアップをしているのだろう。
【ビアラークダンジョンにいるなら、ニーベルングダンジョンにも寄って、召喚アイテムが出るかどうかエラードロップを検証してくれ。最新装備を作ってやるから】
好きなもの、だとエアが保留にしてしまうからか、シヴァが具体的な報酬を提示した。
「やるやる!」
では、早速、と精霊獣たちを連れてビアラークダンジョンを出て、すぐニーベルングダンジョンへと向かった。
転移ポイントが置いてあるので楽々である。
街から街の転移はエア一人でも楽勝になっており、ニキータと協力すると更に1.5倍ぐらい距離が伸びたので二回で済んだ。
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一日11,000PV突破御礼!4コマ漫画2本更新!
https://kakuyomu.jp/users/goronyan55/news/16818093083620918605
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