【PV1000記念感謝SS】在りし日の生徒会

まさかの1000PVありがとうございます。

記念にSSを書きました。

今回はヒロインの一人『桔梗院柚葉』視点の過去エピソードとなります。

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私が担当している三陽さんよう高校生徒会はある問題を抱えていた。

それは人手不足である。

しかし、その原因が生徒会会長である私-桔梗院ききょういん柚葉ゆずはにあるのだから救えない。


事の始まりは昨年の文化祭のミスコンであった。

1年の時にミスコンに参加させられた後は告白ラッシュを受ける羽目になったので

2年では絶対に参加したくなかったのだがクラスの友人が勝手に応募していた。

参加を後から断ろうとしたのだが、既に私がミスコンに参加するという話が高校中に広まっており、今更辞退されると文化祭への士気にかかわるとミスコン実行委員に説得され渋々参加する事にしたのだ。

結果として私は99%の得票率という圧倒的な結果でミスコン優勝を飾った。

そして私はミスコンの優勝者コメントで迂闊にもこう言ってしまったのだ。


「私の担当する生徒会は常に人手不足なので我こそはという人は生徒会に力を貸して欲しい!」


ミスコンでのこの発言は主に男子に大きな波紋を与えた。

2』という波紋を。

それ以降毎日のように生徒会の仕事ではなく私に興味を持つ生徒が次々と生徒会室にやってくるようになり、生徒会はあっという間に機能不全に陥ってしまったのだ。

結局生徒会は新規メンバーの受付を諦めざるを得なくなった。


「ねぇ里美どうしよう・・・」

私はクラスメイトで料理部部長でもある朝日あさひ里美さとみに生徒会の人手不足について相談した。

里美は部長をやってるだけあってしっかり者であるし、人脈も広い。

いつも困った時には相談に乗ってくれる頼りになる親友だ。

「あはは、生徒会そんなことになってんだ。

 でもまぁ男子の気持ちもわかるかな。

 なんせ憧れの女神様とお近づきになるチャンスだもん」

「里美まで揶揄うのやめてよ・・・

 本気であの発言は失言だったって反省してるの・・・」

「本当に反省してるっぽいし手助けしてあげますか」

「本当!?」

机に突っ伏していた私は頭を上げる。

「うちの部に凄く真面目でいい子がいるのよ。

 部活は週1回だしその子さえよければ部活以外の日は生徒会の手伝いどう?

 って聞いてみてあげるわよ」

「ありがとう!ダメもとでいいから打診だけでもお願い!」

そして二日後の部活で里美は部活でその子に打診してOKを貰ったとメッセージが飛んできた。


メッセージが来た翌日、その子が初めて生徒会にやってくることになった。

「すいません…朝日部長に言われてやってきたんですけど…」

自信なさげにやってきた子は一見美少女かと見まごう顔つきだったが、

制服から男子生徒であることが分かる。

料理部から来るのだから女子に違いないと思い込んでいた私は内心驚いていたが、

あの里美が推薦してくれた子なのだ、きっと大丈夫だろうと心を落ち着けて彼を迎え入れた。


「はじめまして、生徒会長の桔梗院です。

 そちらにお掛けください」

「はい、失礼します!」

彼は扉を閉めると緊張した面持ちでパイプ椅子に座った。

「お名前を伺ってよいかしら?」

「1年A組の渡瀬わたせ祐一ゆういちです」

「渡瀬くんね。生徒会の状況は朝日部長から聞いていると思うけどその認識であっているかしら?」

「はい、人手不足だけど誰も来てくれないんですよね」

どうやら里美はミスコンのせいでグチャグチャになった状況は伏せてくれたようだ。

「ええ、その通りよ。そこで信頼できる生徒を庶務に迎えたいと思っているの。

 けれど渡瀬くんは生徒会に入会して本当にいいのかしら?」

「えっと、最初に朝日部長からこの話をされた時は凄くビックリして悩んだんです。

 でも入学してからの学校生活を思い出して思ったんです。

 入学式も体育祭も文化祭も全部生徒会が仕切ってくれたお陰で楽しめたんだって。

 だから僕に恩返しが出来るならやりたいって思ったんです」

彼の眼差しは真剣で嘘偽りのない綺麗な眼だった。

可愛い顔しているのに男らしい決意を秘めた瞳に私は一瞬見惚れてしまった。

そして何より彼のその気持ちは私が生徒会長になった理由と同じだった。

彼を受け入れない理由はどこにもなかった。


「そう、そこまで生徒会の事を考えてくれて嬉しいわ。

 それでは今日から庶務として働いて貰おうかしら」

「はい、よろしくお願いします!桔梗院会長」


こうして私と彼は出会った。

しかしこれから先私が本気で彼に恋してしまうなんて

この時の私には予想出来ていなかった。

きっと当時の私に言っても信じないわね。

いえ、今でも信じられない。

可愛い弟のような存在だった彼に真剣に恋をして、

男として見るようになるなんて、ね。

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