季節は五つ以上ある

外村ぽこ

季節は五つ以上ある

あたらしい夜を集めてこの先に王国を作る そこで目覚める


ぼんやりと霧が晴れたら朝だった 隣のあなたはいなくなってた

朝起きてまず歯を磨く 歯磨きは大事だ 朝は繰り返される

朝ごはんはカロリーメイトのバニラ味で口がもさもさするとこも好きだ

玄関を出てはじめて雨に気づくそれだけ優秀な遮光カーテン


玄関にビニール傘が二本ありそのうちの一本は骨が折れている

そういえばもう梅雨だし今年は五月病にならなかった

偶数は綺麗に割り切れるから梅雨は季節にいれてもらえなかった


すれ違う車が速度を落としてみんな罪が何なのか自覚している

別に行きたいとこはないが行かなければならないとこはある、死

紫陽花からむらさきの霧が舞ってそれを吸い込むことは躊躇われた

ろうどうをした 生きるためにろうどうをした とてもつかれた


おそらく気圧が低い職場 津波の形をした鯨に飲み込まれる


せんせーさよーなら はいさようなら 背の高い子の顔が傘に隠れる


ゆらゆらと林檎を生やす木を生やす土でおそらくあなたはねむる

雨粒がおおきい こんな雨をうけたら蟻さんは溺れるかもしれない


人であるために必要なことを終えてベッドでわたしはなにかになった




此処から先は夜ですと天使がやけに輪を光らせて言う

見えないことはやさしい だから 天使の羽のからあげ


あなたにはあなたの名前わたしにはわたしの名前 湿った名前

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季節は五つ以上ある 外村ぽこ @outvillage_poco

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