机の上で逗留

雨宮ことひ

机の上で逗留

愛してた オレンジジュースの後味くらいの苦さから目を逸らし


北上じゃないのに北上川はいる 真っ白すぎる桜みたいだ


アラームを止めるくらいの反射だよ、しぬしかないとおもうこととは


机にて微睡むときのあやふやをきみの視線はあきらかにする


撫でている肩のまるみを遠く見る だってあまりに凪のようだし


抱擁を感じていたらおもいだすひとはまだまだすきでいるひと


近いもの 接触してる肌たちはわたしたちではなかったようで


価値なんてなくてもほしいものだってあるはずでしょう それこそが価値


カルピスを飲んでるきみの溌剌がたすけてくれた始業式の飛


イヤホンのなかのせかいがあるひとと春になれたの奇跡だよ、うん


「し」と打って「しにたい」が出ることだってあったよスマホも忘れるのね


このこころ 微分しすぎた思い出がまだまだあります、ひかりものです


勉強をしたくないって言えているしあわせだってあるんだろうな


ますかっと味のお水を買ってきたきみの髪の毛きょうもさらさら


卒業ができればそれでいいなんていじける弱さすら強さだよ


長年の梅雨ファンとして言いますが梅雨のあめとは甘いものです


キャミソールの紐をなおす 制服のリボンを結ぶ 優しくなろう


恋をする夢をみていた きみじゃないひとをもっと好きになってた


あのときに死んでおけばよかったと夏の夜空と屋上を恋う


カップルの声にも気づかなくなった 遠い目をしてお空を吸った

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