第8話 それは、織姫と彦星の如く

大切な友人のおかげで、少し価値観を変えることができた。

恥ずかしいから本人には絶対言わないけど。

そして日程を合わせて勉強会の日へ。


「お邪魔しまーす!!」

家には俺しかいないというのに、なんて礼儀正しいやつだ。

褒美にアイスをあげよう。

「よっ、暑い中わざわざありがとな。これ食っとけ」

「うお、まじか!!このアイス好きなんだよ!!」

ありがとな、と言ってアイスを食べる翠。良いやつだな。

・・・さて。

「勉強会、するか」

「おう!ガッツリやるぞ!!」

今日が金曜日なのを良いことに、泊まり込みで勉強会をすることになった。

やるからにはしっかりやらないとな。


三時間後。

「っと、もう三時間も経ったのか」

あっという間に時間は過ぎ去るものだ。意外と集中できるものだな。

「んじゃ、夕飯でも作りますか・・・と言っても、大したものは作れないけどな」

「作れるのか!?さすが周だな!!」

そんなキラキラした目で見つめられても困る。

「大したものは作れないって言っただろ、炒飯でいいか?」

激しく首を縦に振っている。問題なさそうだな。

んじゃ、サクッと作りますか。


「美味い!!」

「それはよかった」

思っていたよりも喜んでくれている。普通に嬉しいな、これ。

俺も炒飯を食べる。うん、悪くない。

レシピに忠実でいた結果だ。レシピに感謝。


夕飯を食べ終え、また少し勉強した。

今は翠が風呂に行ったところだ。

窓の外を見てみると、満点の星空が覗いていた。

梅雨の最中なのに、今日はこんなに晴れている。ベランダからでも見るか。

そう思いベランダに出る。・・・おお、出て正解だったな。

星は思っていたよりも輝いていて、思わず見惚れてしまった。

「柊木さん?」

声が聞こえた方向を見ると、隣のベランダから鳴瀬さんが顔を覗かせていた。

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