未来を売った。未来を買った。

バーニー

第一章『未来売りませんか?』

「未来を売ってみませんか?」

 あの日、僕の目の前に現れた女はそう言った。

 絵本に描かれているかのような黒いマントで華奢な身体を包み込み、銀色の長髪が風に靡いている。前髪のせいで目元はわからないが、口元を妖艶に微笑んでいた。ふわっと、ザクロのような香りが僕の鼻を掠める。

 女はもう一度言った。

「ねえ、未来を売ってみませんか? 貴方のその、『価値ある未来』を」

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