第261話 ロビーで仕分けしながら話を聞く

 俺達は階段を上がってロビーへと到達した。


 収納袋から戦利品を出して、仕分けをする。


 望月先生と後醍醐先輩、『ダーティペア』と宮地は別のソファーセットに座って面談をしているな。


「いやね、学校でさ、冒険者をやりたいって生徒が結構居てね、なんだったら実験的に『ラブリーエンゼル』さんたちとマッチングをしようかなって」

「マッチング! 俺は可愛い魔法使いがいいっすよ、先生っ!!」

「てめえっデブ、なんで勝手に仕切ってんだ、ああっ? イケメン魔法使いにきまってんだろ~」

「イケメン射手でもいいなあ、あはは、それで恋の花が咲いたりするんだぜっ」

「おおっ、いいなあっ!」


 なんで不良ってもれなく馬鹿なのかな。


「待って待って、僕が紹介できるのは、科学部の子とかだよ、イケメンはあんまり居ないかな」

「科学部のガリ勉どもかあ」

「オタクどもだろ、結局」

「俺、もうすぐ三十だから話合うかなあ」

「ぎゃははは、宮地、そんなにジジイかよっ!!」

「だせえだせえっ」

「うるせえっ、誰でも歳はとるんだよっ!!」

「今の所、戦士と盗賊、それに僧侶さんと、戦士系がもう一枚、あとは遠距離と魔法使いかな」

「六人になったら安心だなっ」

「六階から下に行けるぜっ」

「今度希望者を募ってやってみよう。どうせ、五レベルぐらいは『参入者』ビギナーをしないといけないんだし」

「そ、そうだな、後輩できるなら世話してやんねえと」

「これでもあたいらは独力でジョブチェンジしたしな。大目玉だったんでキモかった」

「大目玉閣下だったのかあ、それは災難だったね」

「とりあえず、メンバーを入れてよう、パーティ全体の、相性っての? たしかめねえと」

「魔法使いとか呪文スペル要るしなあ。おい、タカシ、呪文スペルくれようっ、あとこのデブにハイヒールとターンアンデット」

「余ってねえよ、自分たちで出せ」


 まったく図々しいな。

 姫川がリュックから聖典を出した。


「ん、【解毒アンチポイズン】」

「え、いいのか、姫ちゃん!」

「姫ちゃん言うなっ! 昨日ムカデから出たんだよっ、売るのもなんだったからやるよ」

「ありがてえっ」


 意外と気前が良い所もあるんだな。


 仕分けを終えて、泥舟が計算書を宮川先生に渡した。


「ありがとう、では換金に行こう」


 先生達は魔石を持って買い取りカウンターに並んだ。


「望月先生、Dチューバーになりたい生徒を募集するんですか?」

「んー、とりあえず、実験的に『ラブリーエンゼル』さんたちへの何人かを入れようかと思ってね」

「迷宮の土日に俺の師匠が初心者向けガイダンスをやってますから、参考にして見たらどうですか」

「最近は僕のお爺ちゃんも一緒になってやってるよ」

「そうなのか、いいなあ」

「それは耳寄りな情報だね、今度行ってみるよ」


 なにげに先生方も育ってきたなあ。

 初心者への装備とか戦法とか、こちらもいろいろと勉強になった。


「科学部というと、林道くんかお?」

「なんだい、高田君、林道君と知り合いかい?」

「同じ小学校だったお、そうかあ、魔法使いかあ、向いてるかもしれないお」

「高田~~!! そいつはイケメンかっ? イケメンか?」

「……ま、まあまあだお。でも頭は良いし、良い奴だおっ」

「高田が良い奴というと、なんか期待できるかもなあ」

「とりあえず人数増やさないとなあ、朱雀さん、京都の陰陽師にだれかいねえですか?」

「そ、そうねえ、なかなか川崎まではねえ」

「難波か、難波にみんな行くんだなっ」

「くそう、陰陽師はみんな難波か!!」


『『ダーティペア』って馬鹿すぎで、一周回って面白いよなあ』

『林道くんはオタクだろうなあ、オタクに厳しそうなギャルが見える』

『デブにも厳しい』

『望月先生の生徒パーティ編成も面白そうだな。高校生パーティファンの俺、歓喜』

『女子高生パーティが増えれば良いのだが、危ないしなあ』

『モンスより、半グレの方が危ない』


「さて、晩ご飯に行こうか」

「今日はどうしましょう、またモナリザン?」

「今日は別のお店に」

「サラマンダー家族でも行きますか?」

「いくいく~~!!」

「ナイスタカシ!! サラ家はマストだぜっ!!」

「なにしれっとお前達まで混ざってんだ、ああ?」

「ええ~、だって、タカシ達ばっか、先生に奢ってもらってずりいっ」

「そうだそうだっ」

「『Dリンクス』と『オーバーザレインボー』は先生を手伝った褒美だろ、おまえら何もしてねえじゃん」

「ああ、いいよいいよ、後醍醐くん、四人ぐらいは」

「え、俺もいいっすか、ありがとうございやす、先生っ」


 後醍醐先輩が渋い顔をした。


「いえ、こいつらの飯代は俺が出しますよ」

「おおおおっ、後醍醐先輩っ!! 太っ腹!!」

「ゴチになりまーすっ」

「ありがとうっす」


 うーん、後醍醐先輩は世話好きで良いよな。


「鏡子ねえちゃんとみのりねえちゃんも来るってさ」

「大勢だね、まあ、良いか」


 最近は狩りの後のみんなの食事が楽しくて良いよな。

 みんなでワイワイするのはとても良い。

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