第260話 狩りを終え帰り支度
七階をうろつく。
コボルトとか、オークとか、ゴブリンとかを狩って先生たちのレベル上げをする。
無法地帯なので半グレも襲って来たりするのだが、まあ、その時は『Dリンクス』と『オーバーザレインボー』で追っ払う。
「半グレ多いですねえ」
「占有組織があった頃よりは減ってるんですけど、その分うろうろして暇ですからね、あいつら」
「襲ってこない半グレもいるし、色々だね」
「初心者が五階より先に行けないのが良くわかるわ、迷宮運営側でなんとかしてくれないかしら」
「悪魔は別に悪党がいて暴れていても困りませんからね」
「あ、そうね、悪魔だったわね、なんだか気さくな女悪魔さんたちが多いから勘違いするわ」
「あいつら、喧嘩して殺し合ってくれたほうが嬉しいんだよ」
「そう考えると迷宮は怖い所だお」
ちなみに、どこの国でも、六階から十階は無法地帯らしい。
洞窟は悪党の心の琴線に触れるのかね。
これからの子供達の為に、迷宮を気軽に楽しめるようにしたい、という気持ちがあるのだが、あまり安全健全でも迷宮っぽく無い感じはするよなあ。
難しい所だ。
八階の下り階段を見てから、反転して帰り道である。
もうちょっとで十階まで降りれるな。
先生方も力をつけてきたし、チアキと朱雀さんとマリアさんが居ればフロアボスを突破出来ると思う。
「十階へ跳べるようになったら、生徒を連れて六階から十階は外すという手もありますね」
「ですね、十階からはあまり半グレは出ないんだろう、新宮」
「ええ、ガラの悪いパーティは居ますが、デタラメな半グレは居ませんね」
「十階の宝箱は惜しいけれども、まあ、しょうが無いかもしれないですね」
「迷宮の講習をやって五階までな感じでしょうか、そこまででも装備とか、準備、計画とか教える事はいっぱい有りますね」
「十階からは趣味の世界ですから、それが学校としての取り組みとしては妥当な線かもしれません」
「登山みたいな物ですね、初心者向きの山で慣らして、高い山へ行くなら自己責任でという感じですわね」
そうかも知れないな。
あまり学校で世話を焼くと、今度は責任問題が発生するし。
立場的に殺人が出来ない先生方に六階から十階は厳しすぎかもしれない。
とりあえず、狩りをしながら階を上がって行く。
やっぱり望月先生の麻痺水鉄砲がチートだな。
大体の魔物を麻痺させられるからね。
洞窟を抜けて五階に出た。
ふう、空が見えると幻影でもほっとするね。
「お、タカシだ、なんかくれっ」
「六階からはどうだ? 私らまだ怖くてよう」
『ダーティペア』であった。
なんでもねだるなよ、姫川。
「二人じゃ無理だ、五階で修行しろ」
「お前は厨房の頃から十階まで毎日マラソンしてたっていうだろ、私らだって」
「死ぬからやめろ、俺でも一階一階、マップを一筋覚えて撤退して、やっと十階まで行ったんだ」
「五階はつまんねーよー」
「ムカデが美味いぐらいでよー、ゴブリンは飽きたよう」
「四人ぐらい居ないと無理だろ、メンバーを探せよ」
「だけどよう」
洞窟から『銀塩会』の連中が出て来た。
「お、タカシ達、あがりか」
「ああ」
「じゃあなあ」
『ダーティペア』が『銀塩会』の連中をうらやましそうに見ていた。
「くっそー、あんなトッポイやつらも潜ってるのにっ」
「高校生の半グレパーティらしい、後醍醐先輩がいるから、うちの高校の奴とは喧嘩しないってさ」
「おお、先輩は顔だからなっ」
「漢気の後醍醐って有名なんだっ」
「あー、メンバー欲しい、朱雀さん、うち入ってよ」
「え、その、困りますよ」
「くつしたをくれ、チアキっち」
「やだ、ふざけんなっ」
メンバー探しも難しいよな。
「あ、こんな所に居やがった、おーい」
「うおっ、ご、後醍醐先輩っ!! ろろろ六階に行こうとか思ってませんっ」
「なんですかそのデブ」
あれ、鼻血デブだ。
「メンバー欲しいって言ってたろ、宮地って僧侶だ、入っても良いって」
「え~~」
「デブだし~~」
「なんだと、このブスどもっ!」
「あんだ~~? おめ~~!!」
「あんた、僧侶になれたのか」
「げっ、タカシ!! お、おう何とか
「越谷さんの所に入るんじゃないのか」
「そ、そうなんだけどよ、とりあえず聖典揃えて来いって蝉丸さんに無茶ぶりされてよお」
「そりゃ災難だな」
『ダーティペア』がしかめっ面で宮地を睨みつけていた。
「じゃあ、結局うちに所属しねえんじゃん」
「バイトじゃんバイト」
「スポットでもよお、僧侶だぞ、僧侶、滅多にいねえぜ、おまえらは何なの?」
「戦士」
「盗賊」
「ほんと、ヤンキーとか半グレは、戦士か盗賊しかいねえよなあっ」
「まあ、僧侶とか魔法使いになる不良はあんまりいないだろうよ」
「そういう訳だ、一時的に宮地を入れて勉強しろ」
「えー、デブやだ」
「イケメンが良い、後醍醐先輩のお寺にイケメン僧侶はいねえの?」
「あんま仏教界で迷宮行きてえ奴はいねえなあ」
望月先生が近寄って来た。
「姫川さんと高木さんのパーティは、どんなジョブのメンバーが欲しいんだい?」
「イケメン魔法使い」
「イケメン射手」
「あはは、イケメンははずそうよ」
「スポットの奴はやだ、『ラブリーエンゼル』に忠誠を尽くす奴じゃねえと」
「まあ、ロビーで話そうぜ」
そろそろ空が赤い。
俺達はぞろぞろとロビーを目指して移動を始めた。
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