第9話 最強の殺し屋クロは、休日を謳歌する

 謎の白髪少女との決闘を終えたレイは今、金髪ポニテ野郎に怒られている。


 (なんで俺正座してるの?)

 「ちょっとレイ聞いているの?」


 レイは少しボーっとしていたらしくて、エリスの説教を聞いていなかったらしい。エリスは頬をぷくっとフグみたいにさせてレイをぎぬりと睨んでいる。


 「何も言わずに戦ったことは謝るよ!」

 「レイ私はあなたを心配しているのよ?」

 「はい。分かってます」

 「でも……あなた何者なの?」

 「え? 普通の学生だけど」

 「なわけあるか! なんでスミの斬撃を受けきったのよ!」


 レイは斬撃を止めるなど息を吐くようにできるのでその凄さには気が付かない。そしてスミとはアルスアカデミア学園の序列1位の子でまさかの中等部に属するものだ。いわば中学生だ。


 そんな小さな子が序列1位とは凄いものだ。戦ってみた感じは問題ないが力量が足らないことはレイの心の底に収めることにする。


 「でもまぁ~レイも頑張ったし今日は街を案内してあげる!」

 「え?」


 レイは突如の休暇を貰いエリスと二人で街を歩くことになった。実の話レイはまだ住居区と学園区以外行ったことが無かった。それにはレイは感心を向けた。


 待ち合わせは学園生も愛用しているレストランだ。俺はあいつらの教えである女性との待ち合わせは10分前についておけという事を教えられていた。そのおかげでエリスより早く到着することになった。


 椅子に座り数分待っているとドアがチリンと開いてそこから一人のミニスカートに黒のボアコートを身に纏った可憐な女性がやってきた。それはレストランの中に座っていたほかの学園生からも目線を食らうほどだ。正直レイは可愛いとかかっこいい、美人などの感情がない。


 そんなレイの元に来た女性エリスはすぐレイのいる席に座る。それをうらやましそうにしている輩はレイにはどういう目を向けていたのかは誰もしらない。


 そして店を出たレイとエリスは娯楽区へと足を運んだ。


 「へぇ~ここ凄いね」

 「でしょ! 私のお勧めはここのカジノ【ホールオーリア】だよ! また時間がある時にレイも来たらどうよ!」

 

 カジノは六色光のメンバーでも数少ない娯楽の一つだ。そのカジノにはぜひレイも足を運びたいと思った。


 「そしてここの地区が販売区。日用品とか雑貨とか家具は全てここから買うんだよ」

 「綺麗な家具がいっぱいあるな……」

 「そうよ! そして私の部屋に置いてあるソファーがこれ!」


 そうするとエリスはガラスケースに厳重に保管されている家具に指を指す。どうやらこれはエリスのお気に入りらしい。黄色のソファーだが明るすぎずかなり程よい色合いをしている。これはレイも見とれてしまった。


 「レイ。学院で何か問題行動とかしたらどこに入るか知っている?」

 「牢屋?」


 エリスの質問に対してすぐにレイは答えた。その答えにうなずいたエリスはまだ話を続ける。どうやら今いる地区は禁区と言われている場所らしい。この島の外では刑務所と呼ばれているところだ。この島は完全に本陸とは別の自治をしているため。このラスト学園島ならではのルールが設けられている。


 そしてルールを守らなかった者には厳重な処罰の対象となる。その中にもランク付けされている。


 一番軽いものから。

 ・軽処罰者

 ・中処罰者

 ・謹慎者

 ・禁者


 という風に分かれているのだが、その中でも一番重いとされているのが禁者だ。この人物らは島内で不当な殺しをしたものや、自治転覆を企んだものが区分される位だそしてこの禁者の者は【特殊諜報スレンディア学院】の実践授業に使われる者が大半らしい。


 「(はぁ、これはあいつの分野だしな……)」

 「え? なんて言ったの?」

 「いや、何でもない」


 レイはあいつが頭によぎってそれを消すのに一苦労した。だがあいつも残念なことに諜報として相手の思惑を引き出すことに関しては六色光の中でもトップと言うことは周知の事実だ。それに特殊諜報スレンディア学院の生徒はそんなあいつの事を目標として勉強しているからな……。


 「今日はありがとう。楽しかった」

 「まぁ。こちらこそ楽しかったよレイ」

 「また面白い所行かせてよ」

 「任せなさい!」


 そんな今日一日の終わりを示す言葉を二人でかわしてレイは自身の寮に戻ったのだが……。


 「はぁ?」


 そこにはついレイも声を声を出さざるを得ない状況が目の前に広がっていた。


 「なんで……なんで……お前が居る?」


 レイのベットでくつろいでいた女そうこのピンク色が特徴のこの女こそが六色光のピンクである【リリー】だった。レイが一番苦手とする相手で女性が多少苦手になった原因の一人。


 「なんでお前がいるの?」

 「レイちゃんやっほー。愛しのリリーが会いに来てあげた――」


 バコン


 「――いったい~。ぶたないでよ!」

 「うるさい帰れ」

 「いやだ」

 「帰れ」

 「いやだ」

 「なんで来た? あとお前がここに来たのがほかの生徒にばれると騒がれるはずだが?」

 「まったくレイちゃんはつれないな~。私が来たのは近況報告だよ」

 「なにかあったのか?」

 「うん……」

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