第7話 最強の殺し屋クロは、少女の悩みに直面する
エリスとの決闘が終え数日がたった、その期間中はアルスアカデミア学園の中では新入生の話題に持ち切りだった。
(だるい)
レイはいつもの通り講義を受けて食堂でいつものようにガラス一面張りの左側の席に座り紅茶とケーキをたしなんでいた。
レイはケーキに手を付けようとした瞬間、背後から嫌な声が聞こえた。
「レイさん!」
(めんど)
「ど、どうしたの?」
レイは少し作り笑いをしながら額には汗の粒が無数にありその感情はどこからか昔のレイから来ている。それに気づいたエリスはレイに優しく声を掛ける。
「レイって女性が苦手なの?」
「あ、うん。少しね……」
レイは最初から確かに女性慣れはしていなかった、それは紛れもなくあいつの影響だろう。そんなレイを見てエリスは一つ提案をだす。
「この学園は女性の方が多いからさぞきついでしょうね」
(なんだこいつ優しいんか)
「たしかに……」
「そこでレイ、私たちと一緒に行動しない?」
レイにとってその申し出は非常にありがたかったが、逆に非常にきつい提案でもあった。レイにとって女性は変な生き物、そんな感じにしかとらえられていない。一時すると奥から3人の女生徒が歩いてきた。
「エリスちゃんこんにちわ!」
「よろしゅうごさいます」
「やっほー」
レイは一つ思った事がある。
(うぅ)
レイは心の中で唸った。正直女性はあいつのせいで苦手になり、しゃべり方など接し方がいまいちわからない。そんな風に考えていたレイに向けて三人が自己紹介を始める。
「私はミシェラ=グルート! レイくんとは良い中になれればいいなと思っているね。よろしく!」
「続きまして私ですね。私はフェスラント=アイロンド比較的に魔法が得意ですね。レイさんとは仲良くしていきたいです」
二人の自己紹介を聞いたレイはひとまず安心した。それは、まともな人間だったからだ。六色光にいた時にはあいつが居たからこの世の女性は全員あんな奴かと思っていたがそれは否と分かってレイは心底安心した。そして最後の一人が話始める。
「ちっす! 私はフェリン=クレイシスって言うの!! レイっちよろしく!」
俺はなぜか顔から無意識に汗をかき始めた。クレイシスその名はレイには聞き覚えがあったが今ここで模索すると後々面倒になることが分かっていたためレイはその疑問を考えることをやめた。
一通り自己紹介が終わると自由な雑談の時間が勝手に始まった、あとから来た三人がレイは女性が苦手という事を教えていたため、レイへのあたりは非常にやさしいものがあった。自由な話が終わると休みも終わりに近く、周りの生徒たちも続々と教室に戻っている。それを合図に地獄の時間も自然と終わりを告げた。
(拷問かよ……)
教室に戻っているエリスは隣に歩いているレイに向けて一言を放つ。
「レイ……相談があるの」
「……?」
レイはその話に聞き耳を立てて聞いていた。内容はあの三人の強化だった。それは容易なことだがなぜそんな事を必要とするのかがレイには分からなかった。
「お願いレイ!」
「分かったよ。エリスの友達に稽古を付ければ良い?」
「うん!ありがとう!」
そして実習の時間も終わりエリスは高級地区にある自身の部屋に戻った。扉をガシャリと開き胸を窮屈そうに抑え込んでいる胸ボタンを開くとエリスの豊満な体型がかなり目立つなかそれをお構いなしにエリスはベットに倒れる。
「……レイ。あの子裏があるかもしれない」
だってそうだものアルスアカデミア学園の理事長は厳しくて有名なのに敬語も使わず何ならレイの方が上に見えたもの。そう思ったがエリスは途中で思考を止めた。すると壁に立てかけている魔剣【イブルンド】が揺れはじめそのうち地面に倒れた。
「そうね。私いま感情が浮ついているのね」
魔剣は持ち主を主と定め、主の感情で魔剣も作用する。そんな特殊な剣が魔剣だ。それを扱うには相当な鍛錬が必要だがそれを扱えるエリスは正直凄い。エリスは気持ちを落ち着かせるために一回シャワーを浴びることにした。
ザザッーザザー
「あー私ももっと強くなりランキング一位になり、そしてあの大会で……」
バン
エリスは壁を思いっきり叩いた。その力は強かったまるで古代に存在したドラゴンみたいだった。
翌日エリスは学園に登校していると後ろから猛スピードで走り抜けるレイの姿が見えた。エリスはレイが走り抜ける勢いでスカートがめくりあがり夢の扉があたり一面開いてしまい。それにちょっとイラっとしたのかレイを捕まえるべくエリスも走った。周りからは仲が良いのかと有名になっていた。
「それでは朝の朝礼を終わる――あっ一つ言い忘れていた」
「大会の事だ。この学園島にはいくつか大会が存在することはお前ら分かるよな。そして今回始まるの2人1組で行われるダブルスグランプリ【ドミニオン】だ」
先生の話を聞いた周りの生徒はみながそれぞれその大会について出たがっている雰囲気に先生がもう一声を出す。
「だがこの学院から出れるのは5組までだ!」
『え……』
生徒全員が思った。ということは学院内でトーナメントがありそこから大会に出れる組を決めると言ったところだ。レイは別に出るとは考えていなかったが横に居る女がこちらを見ている……。
「仕方が無いか……」
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