第2話三人の訓練

半ば強制的ながら、トシの指導でアツシたち三人の訓練が始まった。皮肉なことにワルで鳴らした三人だから、荒事には慣れていた。若いこともあって、呑み込みは早かった。フォーメーション攻撃も板についてきた。


辛いことばかりではなかった。村人たちが自分たちを勇者と持ち上げてくれて、どこに行っても歓迎される。食事や酒も毎日奢ってもらえた。


これは彼らたちにとっては新鮮な喜びだった。物心ついた時から蔑まれ、疎んじられてばかりだったから期待されている認められているというのは、自分の社会的な居場所を見つけられたような感覚だったのだ。


サキが励ましてくれたのも大きかった。苦しい、いっそ訓練を辞めてしまおうかと思った時も、いつも私たちのために辛い訓練をしてくれてありがとう。頑張っているあなたたちは素敵よ、などと言われたらようし、やってやるぞと闘志に火がつくのであった。


村を襲ってくるモンスター退治にもアツシたち三人は加わるようになった。最初のうちはナマ傷が絶えなかったが、慣れてきてほとんどノーダメージで倒せるようになった。


これならモンスターのボスも三人で倒せると思いますよと、トシが村長に進言した。村長もそれなら、ありったけのポーションと薬草を三人に贈呈するから、ぜひ退治に行ってきてもらおうかといくことになった。

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