三位一体
ぴろわんこ
第1話三人の召喚
アツシ、リュウ、ガクトの三人は札付きのワルで、地元の鼻つまみ者たちだった。三人がつるんで次は何をやって金を稼ごうかと相談していると、ふわっと不思議な違和感に包まれた。
三人は気がつくと、見たことも行ったこともない村の中に立っていた。どういうことだと狼狽えて顔を見合わせていると、老人の男がやってきていきなり頭を下げてきた。
「お忙しい中、勝手に呼び出してしまい誠に申し訳ない。どうか、この村を救ってほしい」
そう言って土下座をした。三人が戸惑っていると他の村人も、わあ勇者さまたちだとか、これで村も安泰ねなどと口々に騒いでいる。
今度はハンサムな男と、綺麗な女性が近づいてきた。
「はじめまして。ぼくはトシと言います。突然のご無礼を重ねてお詫びします。まずは休んで下さい」
いや何言ってるんだ、どういうことか説明しろと三人のリーダー格のアツシが口を開きかけると、綺麗な女性が上目遣いでアツシたちを見つめてきた。
「はじめまして。私はサキと言います。ごめんなさいね、男たちはガサツで。お願いですから、話だけでも聞いて下さい」
そう言って、頭を下げた。男は単純だから美女に下手に出られたら弱い。アツシたちのような根がスケベな男たちならなおさらだ。
話を聞こうとなった。
聞けばこの村は、長年モンスターたちに襲われているという。今はぎりぎりトシや他の男たちの頑張りで、村の中にモンスターが入って来るのを防いでいる。しかし男たちも高齢化しており、いつまで保つか分からない。最後の手段として、山奥にいるモンスターのボスを倒すしかない。
だが山奥に入って行けて、ボスを倒せるような頑強な男はもう村には残されていない。そこで異世界から勇者を呼び寄せようとなって、アツシたち三人が来たというわけだ。
「いや、どういう方法で呼んだのか分からないけど買い被り過ぎだよ。第一兵隊だの格闘家などを呼ぶならまだ分かるけど、何でおれたちなんだよ」
「いや、勇者を召喚と言って呼んだのだから間違いはないはずです。あなたたち三人は仲がよさそうですよね。三位一体、不可能はないという神の思し召しだと思います」
サキはそう言って、微笑んだ。アツシたちはてか、これ話の流れ上断れなくなってんじゃんと半ば呆れた。
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