エルフ少女と世界を変える
@T-Nishijima
第1章 アリア
第1話 鍛冶屋の恋
打ち鳴らされる金属の音が響く。筋肉は打撃のたびに緊張し、瞬間瞬間に彼の膂力を要求した。彼を取り巻く鍛冶屋の音色は、活気と緊張が交錯する喧噪に包まれている。
金属が出す無機質なカチンカチンという音、鍛え上げられる熱の吹き出す熱の音、それらがまじりあって鍛冶場全体にうずく生命の息吹のような空気の音。
彼は額から零れ落ちる汗を手で拭き、壁に掛かっている時計を見た。「もうこんな時間か……」と彼は自分だけが聞こえる声でつぶやいた。
リアムはアルダキア王国で一生懸命働く鍛冶屋の見習いだった。長身で痩せ、乱れた茶色の髪が鍛冶場の暑さで濡れ、額に張り付いていた。彼の鋭い青い眼差しは、自身が創り出す剣に注がれていた。それは王国の兵士たちが手にするであろう、自身の最新作だった。彼は3年前からこの界隈では有名なダーネル親方の下で修行を積み、職人としての技と技術を磨き上げてきた。
「おはよう、リアム!」それは、彼にとって何度も耳にしている声だった。彼は仕事場から顔を上げた。声の主は同じ見習いであるトーマスだった。彼はハンマーをくるくると回しながら、「今日もこれで頑張る準備はできてるか?」と陽気に声をかけてきた。
「それこそが俺らの日常だろ」とリアムは笑って答えたが、頭の中は現在手がけている製品のことでいっぱいだった。
彼の日々は長く、疲れ果てることも多い。だが、それは同時に彼のエネルギーの源でもあった。リアムは毎朝店に出て、革製のエプロンをしっかりと身に着け、その日の仕事に取り掛かってきた。剣や短剣の製作から鎧や盾の修理まで、彼はアルダキアの兵士たちに、最良の武器を提供することを使命としていた。
「ダーネル親方は、あの矢を昼までに完成させてほしいと言ってたぜ」とトーマスが作りかけの矢束を指さし、リアムに伝える。
「了解」とリアムはうなずき、すでにその日の仕事スケジュールを頭の中で組み立てていた。彼はもう一時間ほど剣の製作に専念し、その後矢作りに取り掛かるつもりだった。昼食後には再び剣に戻り、できれば夕方までには研ぎ作業に取り掛かれるようにしたいと考えていた。
***
リアムのハンマーは、金属を確実に打ち続け、鍛えるたびに汗が滴り落ちていった。3日間にわたりこの剣を鍛え続けてきたことで、その成果はすでに目に見えて始めていた。刃は火に照らされて閃光を放ち、その刃先は鋭くなり、それは確かに単なる鉄の塊から命を奪うためのものに変貌していた。この剣が彼のこれまでの作品の中でも一つの頂点になるだろうと、彼は心の中で感じていた。
「もうすぐ完成だ」とリアムは手元の仕事に集中しながらつぶやいた。その手は確かな技術を持ち、自然に動き、ハンマーを打つリズムが店内に響き渡った。
「すみません」と戸口が開き、心地よいメロディーのような声が響いた。
リアムのハンマーはその場で停止し、視線は声の発せられたほうへと向けられた。そこに立っていたのは、太陽の光さえ写し取っている、流れるような緑のドレスを纏った、美しい少女だった。彼女の長い赤褐色の髪は肩を流れ落ち、輝くような明るい緑色の目に輝きを与えていた。彼女は腕に花々で満たされた籐製のかごを抱えており、その香りが鍛冶屋の空気を甘く染めていた。
「何かお困りのことでも?」リアムは心が高鳴るのを感じながら、慎重に尋ねた。
「ええ、実はダーネル様を探しているのですが」少女は店内を見回し、その後リアムに視線を戻した。
「ダーネル親方は現在外出していますが、すぐに戻ります。俺は親方の弟子、リアムです。何か手伝えることはありますか?」
「ああ、それなら」少女は優雅に笑みを浮かべた。「この花をダーネル様がご注文されて、お届けに伺ったんです」
「それなら、代わりに受け取りますよ」とリアムはハンマーを置き、エプロンで手を拭きながら応えた。
「ありがとう、リアム」少女はそう言い、花かごを彼に渡した。その際、二人の指がほんの一瞬触れ合い、リアムはその刹那、腕に何かが走るのを感じた。
「いえ、どういたしまして」とリアムは言葉を詰まらせつつも、自分の心の平静を保とうとした。「他に何かお手伝いできることはありますか?」
***
リアムの心臓が高鳴ったのは、その少女と視線が交わった瞬間だった。周囲の喧噪は一瞬にして消え、二人だけの世界が広がった。形容しがたい何かが二人の間を静かに流れ、鍛冶場の響きだけが遠くで聞こえていた。
「あら……」彼女が言ったのは、リアムが鍛えている剣に目が留まった時だった。
「これはもうすぐ完成するんです」とリアムは、息を詰まらせる感情を押し込みながら言った。
「見てもいい?」少女が近寄ってきてそう尋ねると、彼女から漂う花の香りがリアムの鼻をくすぐった。
「もちろん」と彼は答え、剣を丁寧に差し出した。
彼女の細い指が剣の柄を握ると、リアムの息は止まった。少女が熱心に剣を眺める姿に目が合った瞬間、そのエネルギーが空間全体に満ち溢れる感覚に襲われた。
「美しいわ」と彼女が言い、剣をリアムに返した。彼がそれを受け取る際、二人の指が触れあった瞬間、彼の背中は電流が走ったかのように震えた。
「ありがとう」とリアムはつぶやいた。感情を抑え込むことが難しく、世界が一瞬で逆転したかのような錯覚に取り込まれた。
「あなたの師匠はきっと誇りに思っているわ」と少女は言った後、再び通りの喧騒に目を向けた。「私、もう帰らなくては。家族が待ってるの」
「さよなら」とリアムは答えた。彼女と別れることに対する失望感を隠すため、声を抑えた。「なんというか……会えてよかった」
「こちらこそ、リアム」彼女は微笑んで言った。その笑顔が彼女の顔を照らし、人々の中に消えていった。リアムは、自分でも理解できない喪失感と憧れの感情を抱き、彼女をただ見送った。
「集中しろ、リアム」彼は自分に言い聞かせ、頭を振って思考をリセットしようとした。剣を完成させること、それが彼の使命だった。
しかし、いくら集中しようとも、彼の心は少女のこと、そして彼女と共有した一瞬のつながりを思い出してしまった。
***
彼の頭から少女の姿を払いのけることはできず、彼はこの新たな感情に戸惑いながらも、心が高鳴るのを感じていた。
リアムの手の中でハンマーが微かに震えた。なぜこんなにも焦燥感に襲われ、心がざわついているのだろう? 彼女と目が合った瞬間、彼の心は深淵へと誘われ、酔いしれていた。しかし、彼女がいなくなった今、心に残ったのは切なさと虚無感だけだった。
「バカな……」とリアムは自分に向けてつぶやき、作業に集中しようとした。しかし、金属が打ち合わされる音が心地よく響く一方、その音は彼の内心の混乱を増幅させていった。
それからずっとリアムは少女のことを考え続けた。自分はこの剣のために、血と汗を流して3日間を捧げたのではないか? ハンマーが金属に打ちつけられるたびに、彼女の笑顔や声、優しい瞳が脳裏をよぎった。
「くそっ!」リアムは自己嫌悪に陥り、打撃のミスで剣が歪んでしまったことに気づいた。それは鍛冶屋としての初歩的なミスで、これまでの彼なら絶対に犯さないミスだった。
「落ち着け、リアム」と彼は自分に言い聞かせ、深呼吸をした。「これ以上、ミスを犯すわけにはいかない」自分の手には、王国の運命が託されているのだから。
再びハンマーを握り、炎が剣を熱し、炎と金属が交わる情景に集中しようとした。しかし、目を閉じるたびに、彼女の顔が脳裏に浮かび上がり、彼女の美しさとその存在の謎に囚われてしまった。
彼女を忘れるように、自分を強制しようとしたが、彼女の存在は彼の心から抜け出すことなく、彼を追い詰めていった。
「他のことを考えよう」と強く思った。「何でもいい。あの子以外のことを…」
しかし、それは無駄だった。彼女の存在が彼の中に刻まれ、身も心も飲み込んでいった。そして、剣を修正する作業が進むにつれて、彼女への感情の重さが増すことを感じ、それはやがて耐え難い痛みに変わっていった。
「彼女は一体誰なんだ?」剣を修正しながら、リアムは心の中でそう問う。「なぜ彼女は、こんなにも自分に影響を与えるのだろう?」
***
工房の主であるダーネルは、リアムの不調を即座に察知した。彼はリアムにさりげなく問いかけ、その原因を探った。
「ダーネル親方」とリアムはためらいながら、鍛冶場の炎を見つめながら語り始めた。「彼女は……美しい人で、赤褐色の長い髪とエメラルドのような緑の瞳を持っていました」
彼は深呼吸をして、少女のことを思い出すだけで心臓が高鳴るのを感じた。「言葉では説明しがたいけれど、彼女と目が合った瞬間、まるで自分の世界が変わったような感覚に襲われました。何か……強いものを感じたんです」
ダーネルは作業台に寄りかかり、腕を組んでじっと耳を傾けた。「まさに矢に射られたようなものだな、リアム」と彼は温かい笑みを浮かべながら言った。
「矢?」リアムは眉をひそめ、困惑した表情を浮かべていた。
「愛の矢のことだよ」とダーネルは目を輝かせながら説明した。「一目見ただけで恋に落ちることもあるんだ。それが恋の神秘さ」
リアムはゆっくりと息を吐きながら、その概念を理解しようとした。「でも、なぜ今なんだろうか? そして、なぜ彼女だったのか? わからないんです」
「それが恋の神秘なんだろう」とダーネルは髭をなでながら答えた。「恋は思いもよらない時にやってくる。そして、思いもよらない場所に現れることもある」
「こんなに混乱するものですか?」リアムは使い古したハンマーの柄を握りしめ、安定を求めるかのように尋ねた。
「愛は迷路のようなものさ。それはだいたいにおいて曲がりくねった道ではあるけれど、美しさと魅力に満ちているんだ」とダーネルは優しく安心させるような声で言った。「迷うのはお前だけじゃない。俺たちも皆、一度や二度はそういう経験をしたことがある」
「ありがとう。気持ちが楽になりました、ダーネル親方」とリアムはつぶやき、その青い目は年上の男性の視線に感謝しながら見つめた。「少し落ち着きました」
「気にするな、リアム」とダーネルはリアムの肩にしっかりと手を置きながら答えた。「鍛冶屋は金属だけでなく、人間の精神も鍛え上げるもんなんだ。俺は剣についてであろが心についてあろうが、弟子たちの旅を手助けするためにここにいるんだぜ」
そう言われて、リアムは胸のつかえが取れたような気がした。ダーネルが頼もしく思える。少女への思いの深さはまだ分からないが、ダーネルの支えがあれば、不安は解消されるような気がした。
リアムの目には、鍛冶の炎のような決意が浮かんでいた。
(この剣を完成させよう。この剣を完成させよう。王国は、俺たち鍛冶屋が最高の力を発揮することを必要としている。)
それを見て「職人らしい顔つきに戻った」とダーネルは賞賛し、誇らしげな笑みを浮かべた。
***
石畳の道を太陽が優しく照らし始めた頃、背が高く痩せた若き鍛冶見習い、リアムは乱れた茶色の髪と鋭い青い眼で職場に現れた。彼は眉間の汗をぬぐいながら、光輝く金属をひたすら打ち、王の護衛にふさわしい剣の形へと仕上げていく。金属がぶつかり合うリズミカルな音は、近くの市場の活気溢れる声と混ざり合って耳に響く。
「おはようございます、ダーネル親方」とリアムは、火を焚くことに夢中な師匠に声をかけた。「日没までにこの剣を完成させます、お約束します」
「ゆっくりで結構だ、リアム」とダーネルはぶっきらぼうに応じたが、目は誇らしげに輝いていた。「速さよりも品質だ」
リアムは頷き、自分の仕事に集中しようとした。しかし、ふと通りのほうに視線をやると、風になびく長い赤褐色の髪と美しい緑のドレスに身を包んだ少女が、花籠を手に通りを歩いていた。
少女はリアムに気づいたようだった。目が合うと、一瞬、時間が止まったかのような感覚が訪れた。彼女は微笑みながら軽く手を振り、過ぎ去っていった。リアムの胸は高鳴り、息を呑み、次の瞬間、ハンマーが手から滑り落ち、鈍い音をたてて地面に落ちた。
「あっ……」リアムは呟き、ハンマーを拾うことすら忘れて惚けていた。この感覚は一体何なのだろう。彼女の姿を見ただけで、魂が燃え上がるような気持ちになるのだ。
「おい、リアム!」ダーネルの声が彼の心を呼び戻した。「大丈夫か?」
「はい、ダーネル親方」とリアムは言い絞り、落ちたハンマーをすぐに拾い上げた。師匠に気づかれないよう、頬を赤らめた。「ちょっと、力が抜けただけです」
「気をつけろ、リアム」とダーネルは眉をひそめて警告した。「不注意な鍛冶屋は危険だ」
「もちろんです、ダーネル親方」とリアムは強い顔を作りながら答えた。しかし、リアムの頭の中は少女に夢中だった。
彼の心には少女の姿が焼きついていた。そして、仕事に集中しようとしても、彼の心の中にある新たな憧れは消え去ることはなかった。
リアムは、ハンマーと鋼鉄が再び激しくぶつかり合う音を聞きながら考えた。
(俺は一体どうなってしまったのだろう?)
***
リアムの心臓は、熱い金属を叩きながら激しく鼓動し、少女に心を奪われていた。彼女の姿が目の前で踊り、緑色のドレスが風に揺れる葉のように揺れていた。彼はまるで影を追っているような気分だった。空中に消えてしまった何かを必死に掴もうとしていた。
「くそったれ!」リアムは息を整えながら、言った。何日もかけて作り上げた剣には、見苦しいほどの凹みができていた。リアムは店内を見回し、ダーネルが自分の失敗を見ていないことを祈った。これ以上失敗は許されない、王国が彼らの技術に依存している以上。
「ダーネル親方」とリアムは汗を流しながら、思い切って言った。「聞きたいことがあります」
「なんだ?」ダーネルは唸りながら、手の煤を拭った。
「今まで……誰かに会って……そして、離れると苦しく感じたことはありますか?」リアムの声は、喉の奥に引っかかり、その言葉が途切れた。
「なんだ? また恋の話か?」ダーネルは眉をひそめながら、こう言った。
「心臓が突然目覚め、高鳴るような。会ったばかりなのに、離れるのが苦しい。また会えるなら何でもする、みたいな感情です」
「ああ」ダーネルの顔は、理解したように和らいだ。「おまえ、そりゃ重症の恋だな」
「恋?」リアムは、その言葉がまるで異質なものであるかのように、そう言った。「そんなはずはない。だって俺は彼女のことをよく知らない」
「恋は、相手が誰であろうと、どこから来ようと関係ない」ダーネルはリアムの肩に手を置き、安心させるように言った。「恋ってのは起こるときに起こるもので、それを止めることはできない。しかし、覚えておいてほしいのは、恋は太陽や花ばかりではないということだ。たいていの場合むしろ、鍛え上げた炎のように激しいものになるから注意することさ」
リアムは、師匠の言葉に思いを馳せながら頷いた。彼は自分の仕事に戻り、目の前の鋼鉄に自分の感情の激しさを注ぎ込もうとした。完璧とは言えないが、まずまずの出来だった。
「ダーネル親方」リアムはしばらくして、囁くような声で言った。「彼女は僕のことどう思っていると思いますか?」
「どうだろう?」親方は不思議な笑みを浮かべて答えた。「しかし、神々が親切であるならば、おそらくふたりの道はもう一度交わるだろうさ」
「ありがとう」とリアムは息をつき、その青い瞳に決意が宿った。未来がどうなるかはわからないが、自分の中にある炎を受け入れて、どんなことにも対応できるようになろうと決意した。
「よし、リアム」ダーネルは、彼の背中を叩いた。「愛と憧れの話はもう十分だ。やることがある」
そして、二人の鍛冶屋は新たな目的をもってハンマーを打ち続けた。リアムは、金床の向こう側に冒険と情熱、そしておそらく愛に満ちた人生を想像することにした。
***
鍛冶屋の開け放たれた窓から暖かい日差しが差し込み、使い古された木の床に金色の光線を投げかけている。リアムは金床の前に立ち、ハンマーの音がリズミカルに響いている。熟練の技で形づくられた剣に集中し、眉間から汗が滴り落ちる。ずっと取り組んでいた剣は、ほぼ完成に近づいた。
師匠であるダーネル親方は、部屋の向こうから、自分のハンマーが熱い金属を叩いているのを見て、「いい感じだ、リアム」とコメントした。
「ありがとうございます、ダーネル親方」とリアムは力んで声を荒げて答えた。リアムは眉を拭きながらしばらく立ち止まり、外に目をやった。そよ風が花の香りを運んできて、店内に甘い香りを充満させ始めた。
赤褐色の長い髪と、陽の光そのものを取り込んだような明るい緑の瞳を持つ、あの美しい少女が通りを歩いているのを見つけた。彼女はシンプルでエレガントなグリーンのドレスを身にまとい、その優雅な動きに合わせて揺れ、腕には花の入ったバスケットを持っていた。
リアムは、それを見ると突然胸がドキドキしてその姿を追いかけた。
リアムの視線を追うように、ダーネルが言った。「あの子はアリアっていうエルフの娘だ。数週間前にこの町にやってきて、今は花屋で働いているらしい」
少女の姿は流れるように消え、朝の光とともに賑やかな人混みの中に消えていった。リアムの胸は締め付けられ、喪失感と憧れの念が彼を襲った。
「くそ.....」リアムは息を吐くようにつぶやき、ハンマーを強く握り締めた。
「だが、あの娘はエルフだ。やめておいたほうがいい」
「エルフ?」
リアムも耳にしたことがある言葉だった。そして、エルフと人間の間の恋愛は禁止されていた。
***
熱い炎が舞い踊る鍛冶場の壁には、鍛冶の腕を持つ若きリアムの影が映し出されていた。彼の手は巧みに剣を鍛え上げていき、心を込めた一撃ごとに刃が磨かれていく。リアムの眉間には汗が滲んでおり、慣れ親しんだリズムで筋肉が引き締まり、緩みを取り除いていった。
「また見事な作品を創り上げたな、リアム」と、鍛冶の師であるダーネルが声をかけた。「お前の技術は日に日に進化しているようだな」
「ありがとうございます、ダーネル親方」とリアムは謙虚に答え、完成に近づいた剣に目を奪われた。苦労を重ねて生み出した剣には、まるで彼の想いが宿っているかのような感慨が込み上げてくる。
アリアへの思いは最初、リアムを葛藤させた。彼は自分の立場とアリアとの関係に悩み、心を揺れ動かせる日々を送っていた。しかし、その葛藤はやがて剣の鍛造の中で解放され、アリアへの思いが剣の完成度に結実していった。
剣の刃は鋭く研ぎ澄まされ、美しく曲線を描いている。その輝きはまるでアリアの瞳のようであり、剣全体にはリアムの情熱と想いが宿っているかのような存在感が漂っていた。
リアムは深い満足感と喜びに満ちた笑みを浮かべ、剣を大切に抱きしめた。アリアへの思いが剣の形を成し、彼の成長と情熱がその刃に刻まれている気がした。
「アリア、君は俺のことをまだよく知らないと思う。しかし、この剣は俺の心が込められている。君の存在が俺に力を与えてくれたんだ。ありがとう」とリアムは静かに呟いた。
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