第5話 願ったこと
☆☆☆
優しい神様、
私に生きる力をください。
非情なる神様、私の心をお守りください。
私は平凡な生活をしたかっただけなのです。なのに
どうして平凡の生活もできない働けない病気を私に与えたのでしょう。
私でなくてもよかったはず。
私は再び感じることができるのだろうか。
生きているよろこびを。
この世への感謝を心の底からおもい、感謝することができるのだろうか?
寝たきりで世の中の役に立っているとは思えない私ではあるけれど。
自分のことは自分でできるような大人になりたい。
そんなささやかな望みすら神様はかなえてはくれないのか。
体も頭も心も鎖で何重にもつながれたようにジャラジャラと重い。
何をするのにも肉体が足手まとい。
思考だけならどこまででも自由に飛ぶことができるのにな。
体のメンテナンスをしている自分はまるで壊れかけのロボットみたい。
足裏、膝、腰、肩、目、頭、耳どこまでもおかしな部位が増えていく。
健康的な生活を送っていたはずなのに。
ここまで体はもろいのか。
何か悪いことしたっけな。
私の寿命はあと何年だろう。
年上の人はこれからだというけれど私には人生に希望が持てない。
喜びも悲しみさえもない。
ああ、神よ、
かなうことならば私に安らかな眠りを。
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