Another Story From.DEAD END 「One's Best Friend」

ソメイヨシノ

One's Best Friend


子供にも憂鬱な日はある——。

何をやっても駄目な日もある。

全てがマイナスな時期だってある。

だけど多分、これから先、大人になっても、幾つ年を重ねても、今の時期程、大切な日はないだろう。

大人になっても変わらないもの——。


Elementary School——。


気に入らない。

ああ、気に入らない!


僕はずっとラテが好きで、ラテとずっと一緒にいた。

それは物心つく頃から!

だけど、ここ数週間、ラテの隣という僕の場所は、アイツに占領された。

ウィルティス・シンバ!

ラテ以外のクラスメイトと話そうとしない根暗な奴!!!!

それだけじゃない!

気に入らない事は沢山ある。


「エノツー! 流石、クラス委員! またまた2番! すげぇなぁ。よくあんな成績とれるよなぁ!」

クラスメイト達が僕に集まってくる。

「もうこの間のテスト張り出されたの?」

「うん、見て来いよ」

そう言われ、僕は走る。


2番って事は、2番って事は——。


張り出された成績順の1番に名前が書かれているのは、想像した通り、ウィルティス・シンバ。

その下にザタルト・エノツ。

僕の名前・・・・・・。


何故だ、何故なんだ?

登校拒否ばっかりしてて、授業なんて、まともに受けてないアイツが!

引き篭もってるアイツが!

何故1番の成績なんだ?

それだけじゃないんだ。


「今度のリレーのアンカーはやっぱりウィルティスくんで決まりよね」

「でもアイツ出て来るかなぁ」

「いっつも休んでばっかりだもんな」

「でもウィルティスくんが出れば、うちのクラス優勝間違いなしじゃない?」

クラスのみんなが話題にしてるのは、今度の運動会のリレーの順番。

「ザタルトくんも早いけど、やっぱりウィルティスくんが1番でしょー」

そう言った女子の背中を叩き、僕が聞いていると言う事を教える男子。

女子はしまったと言う顔をして、

「で、でもザタルトくんがアンカーでも充分優勝できるよね」

と、フォロー。

「そ、そうだよ、当てにならない奴に期待するより、確実な奴を推薦した方がいいもんね」

「やっぱ、エノツじゃないとねー、うちのクラスの代表者は!」

みんなが苦笑いの中、僕は、

「そんな事ないよ、ウィルティスくんにアンカーやってもらおうよ、クラス委員として、ウィルティスくんに言ってみるから」

などと、いい子ぶった答えを出す。


どうして、勉強もスポーツも負ける訳!?

アイツが現れる迄、僕は何もかも1番だった筈だ!

そしてラテという一番の友達の隣で、僕はいつも笑っていた筈だ!

大体、なんで最近、ちゃんと学校に来てる訳?


「ありゃぁ・・・・・・クルフォート・ラテって後ろから数えた方が早かったよぉ」

と、今、成績発表を見てきたラテが言い出した。

「あ、ラテ、あのさ」

僕が、そう言って、ラテに話掛けようとした時、

「あ、シンちゃーん! シンちゃん、一番だったよ! 凄いねぇ!!!!」

と、ラテはアイツの所へ走って行く。


凄いね、その誉め言葉は少し前までは僕のものだった。

どうして何もかも奪われなきゃいけないんだ?

あんな奴に!!!!


僕は、アイツの所に鼻息荒くツカツカと行き、

「おい!」

と、似つかわしくない声を出してしまった。

クラス中がシーンとし、皆、僕を見る。

その視線に、ハッとし、

「あ、あの、運動会のリレーの事なんだけれども・・・・・・」

と、話し出した。

クラスの皆が、なぁんだと言う風に、気が抜ける空気が漂った。

「リレーが何?」

その声が生意気に聞こえ、僕の顔はムッとする。

何故かオロオロしているラテ。

「うん、あのね、リレーのね、アンカーやってくれないかな?」

ムッとしながらも、僕は愛想良く話し掛けたつもり。

なのに・・・・・・

「やだ」

——即答!?

ますます嫌な奴だ。

「でもウィルティスくんが走ってくれるの、みんな期待してるんだ」

「俺は期待される為にいる存在じゃない」

——な!? なんだって!?

——ホント、何言ってんの?

——小学生だよね? 小学生らしからぬ台詞言わないでくれる?

——意味わかんないし。

「で、でも速いじゃん」

「関係ない」

「あるよ、クラスの優勝がかかってんだからさ!」

「しつこいな」

——し!? しつこい!?

「仕方ないでしょ、だって僕はクラス委員だよ」

苦笑いだが、僕なりに精一杯の笑顔で、そう言ったが、何が気に入らなかったのか、机をガンっと蹴ると、外へ飛び出して行ってしまった。

「シンちゃん!」

追いかけようとするラテの腕を僕は掴んで、

「ラテ! やめなよ、深く関わるのは。アイツ、ちょっとおかしいよ」

そう言ったら、

「今のはエノッチが悪いよ!」

と、何故か、僕が悪くなっている。

「なんで僕が!? 僕が何か悪い事でも言ったって言うの?」

「だってそうでしょう? エノッチからのお願いならシンちゃんは怒らないよ。クラス委員だから仕方ないって、クラス委員じゃなかったらシンちゃんには関わらないって事?」

ラテはクラスの皆が、見ている事など、おかまいなしに大声で怒鳴って来た。

「別に、そういう意味じゃないよ。アイツはクラスの中で孤立してて、だけど、運動会のアンカーはみんな期待してるんだからさ、アイツがいい所見せれば、みんなだって、アイツに話しかけるんじゃない? アイツだってクラスに馴染めるいい機会だと思うよ、でもそのチャンスを蹴ったのはアイツだよ」

「普段は無視してて、必要な時だけ声掛けるなんて変だよ! エノッチだって、みんなだって、シンちゃんともっと仲良くしてよ!」

ラテが、クラスのみんなに向けて、そう言ったが、皆、黙り込む。

「そうは言うけど、アイツにだってこうなった責任はあるよね! 学校に来たら来たで、喋らないし、話し掛ければあの態度。僕達は同じ学校でもう3年も一緒にいるだ。アイツが馴染めないのは僕達だけの責任じゃないよ! 悪いのはアイツの方だよ!」

僕がそう言うと、そうだそうだとクラス中が湧いた。

多数決では、間違いなく、僕の方が正しい。

「でも、でも、シンちゃんは私には笑ってくれるもん!」

ラテはそう言うと、僕の手を振り払い、教室を出て行った。

僕の心に響く『私には笑ってくれる』という言葉。

——だから気に入らないんだよ・・・・・・。


その日は教室に、ラテもアイツも戻っては来なかった——。


次の日、僕はラテと目を合わせなかった。

アイツと一緒にいるからだ。

だけど、学校帰り、アイツと楽しそうに帰るラテの後姿を見て、僕の存在がラテの中でちっぽけなんだと知る。

明日と明後日は連休だが、休み明けから運動会の練習が始まる。

うちのクラスだけだ、リレーの走る順番が決まっていないのは。

アイツのせいなのに、クラス委員の責任だと先生に怒られる。

クラスをまとめたくても、アイツがいるだけで、まとまる訳がない。

アイツ、どうして最近、学校に来るようになったんだろう。

ラテと一緒にいるって事は、僕の知らないトコで、ラテと何かあって、学校に来るようになったんだろうけど・・・・・・。

ラテがいるから、学校に来るのかな・・・・・・。

前のように登校拒否しててくれた方が——。

そんな考えの自分が嫌になる。


「エノッチーーーー!!あーーーーそーーーーぼーーーー!!」

学校が休みなのに、朝早く、ラテの声で起こされた。

「なぁに? どうかしたの? こんな早くに」

目を擦りながら、僕は起きたての寝癖たっぷりの頭で玄関に出て行った。

「ねぇ、お化け屋敷知ってるでしょう?」

「お化け屋敷? ああ、あの空家の事?」

「うん! 最近、あの屋敷に大ネズミが現れるって噂知ってる?」

「知らないけど、そんな噂があるんだ?」

「でね、でね、大ネズミ退治しよ!」

ウキウキのラテの顔に、

「えぇ、どうしてそんな幼稚な事するのさ」

と、僕は面倒そうに答えるが、実際は嬉しくて仕方ない。

「じゃあ、お化け屋敷の前で待ってるからね」

軽やかに駆けて行くラテに、大きく頷いた。


仲良しだから、喧嘩みたいになっても、直ぐに仲直りできる。

それに僕とラテは小さい頃からの仲良し!!

僕達の間には誰も入って来れない!!

結局は僕が一番なんだよ!


僕はラテ以上のウキウキ顏で、急いで遊びに行く準備をした。

「エノツ、遊びに行くの? ちゃんと朝御飯食べて行きなさいよ」

と、母親がパンを焼いてくれていたが、嬉しくて、食べてる時間が勿体なく思い、何も食べずに家を飛び出した。


お化け屋敷の前で待っていたのは、ラテとアイツだった——。



駆け足が、アイツの姿が見えた途端、重くなる。

それでも僕は、笑顔を精一杯見せ、

「や、やぁ、キミもラテに呼ばれたの?」

と、声をかけたにも関わらず、プイっと目を逸らし、空家を見上げる嫌な奴。

その態度にカチンと来る。

「さぁ、大ネズミ退治よ! オーッ!」

元気一杯で手を上げるラテに、はしゃげない。

さっきまでは、ホント、楽しかったんだけどな。

コイツの顔見る前迄は。

「さぁ、何してるの! 行くよ! どうしたの? あ! 怖いのね? 男の子でしょ、2人共だらしないわね!」

と、ラテは僕達の手を持って、屋敷の中へ入って行く。


中は暗く、蜘蛛の巣があっちこっちにあり、ソファーなどの家具がある。


「電気は点くのかな」

僕はそう言って、壁のスイッチを押してみるが、シャンデリアに光は灯さない。

床が歩くたびに嫌な音を出し、ベコベコと凹む所もある。

「大ネズミって言うより、お化けが出そうだね」

ラテがそう言うけど、だからこの屋敷はお化け屋敷と名付けられたんだ。

アイツはあっちこっち見てまわっているが、僕がいる事、どう思ってるんだろう?

全く考えが掴めない。


ぼんやりしながら、溜息などを吐き、僕が俯いた時、

「きゃっ!」

小さな悲鳴を上げるラテに、直ぐに顔を上げた。

見ると、ソファの上に乗って遊んでいたが、落ちそうになったらしい。

だが、ラテを受け止めているアイツに、僕はイラッと来る。


「あ、二階があるよー、行ってみようよ、ラテー!」

と、僕は態とアイツを誘わない。

なのに、

「行ってみよ、シンちゃん」

と、ラテがアイツを誘うから、それがまた気に入らない。


ズカズカと先頭を行く僕。

足取りは怒りの余り、力強い。

「エノッチって、頼もしいねぇ」

今更そんな事言われても、僕は嬉しくない。

「おい」

アイツが何か言い出したが、振り向いてやるもんか!

無視だ、無視!!

僕はズンズン進む。

「床が」

はぁ?

「危険だから」

なんだってぇ?

「もっと軽く歩けよ!」

僕に言ってるのかなぁ!?

しかもやっと喋ったと思ったら命令口調!?

もう頭に来たと思い、一言文句言ってやると振り向いた僕は、ガクンと床が落ち——。

「きゃぁぁぁぁ!!!!」

気付けば、ラテの悲鳴と、血が降って来ている光景を目の当たりにした。


なに?

なんなの?

この赤い雫はなに?

僕の顔にピタピタとあたる雫——。


それはアイツの血。

割れた床に擦って、アイツの腕は服が破れ、皮膚まで裂いて、血が出ているのだ。

僕の腕を掴み、離さない為に。

僕は腕を掴まれ、宙ぶらりで、上も下も向けないまま、どうしていいか、わからない状態。


「誰か呼んでくるから!」

ラテの慌てた声が聞こえる。

そして、ラテの走り出す音に、

「バカ! 静かに歩け! 大丈夫だから! お前まで落ちたらどうするんだ!」

と、僕を掴んでいるアイツの怒鳴る声。

僕は力なくダランとしたまま、宙ブラリで、音だけを聞いていた。

暫くすると本当に音もなく、只、アイツの荒い呼吸が聞こえる。


「大丈夫か?」

そう聞こえ、僕は小さく頷く——。

状況を理解したら、少し落ち着いた僕は上を見上げた。

アイツの息遣いからすると、相当、苦しそう。

そりゃそうだ、怪力って訳じゃないだろうし、僕と同じ小学生な訳だし、しかも自分と同じくらいの体重を腕一本で引っ張り上げようとしてるんだから。

「あのさ・・・・・・別に離してくれていいよ。落ちても大丈夫、大した事ないよ。怪我はするかもだけど、きっと平気だよ」

「何言ってんだ」

「だってキミの方が血出てるじゃん」

「掠り傷だ」

「いいよ、離せよ」

「離せるかよ」

「そう、そうだね、もうすぐ大人達が来るもんね、ラテが呼びに行ったから。その時に落ちたら、キミのせいだもんね。それとも恩着せがましく、助けたとか言う気?」

「何言ってんだ、お前はラテの一番大切な友達だからだろ!」

——え?

「お前の話ばっかりするから、お前が一番の友達なんだろ! ラテ、楽しそうにお前の話ばっかりするんだよ、イラつく程に!」

——ラテが僕の話を・・・・・・?

「ラテが、お前を大切にしてるなら、俺はお前を守る。だから離さない! 怪我なんてさせない!」

「お前・・・・・・なんでそんなに・・・・・・」

——なんでそんなにかっこいいんだよ・・・・・・

僕は自分の腕を掴んでくれている手を、掴み返した。

「僕、落ちて、お前のせいにしようって考えたんだ。落ちて、お前のせいにして、お前が怒られるといいなって思ったんだ!」

僕がそう言いながら、手を強く握り返すと、同じように強く握り返して来る。

もう無我夢中で、お互い、両手で、握り合う。


シンバはエノツに引き込まれないよう、体重を足元にかけ、力を入れ踏ん張る。

だが、シンバの足元の床も危うい。

ギシッと嫌な音を出し、シンバの右足がズボッと床を突き抜けた。

シンバはその衝撃で、手が緩み、再びエノツは下へずり落ちる。

「くっ!」

シンバの口から漏れる歯を食いしばる音。

エノツはなんとか自力で這い上がろうと、足のかける場所を探すが、どこにもない。

足掻いて頑張ってみたものの、シンバの足元も崩れ落ち、二人は一緒に落ちる。

二人は勢いよく、下の階の床を突き抜け、更に下へ落ちた。

だが、落ちた場所はベッドの上で、バフンとバウンドしたものの、二人、怪我はない。

どうやら地下室に落ちたらしい。

しかも運良く、ベッドの上。

シンと静まる。

そして、仏頂面で二人見合った後、大笑い——。


「なんだ、キミ、笑えるんじゃないか」

「当たり前だろ、人間なんだから」

そう言うから、僕は、そりゃそうかと、更に笑った。そして、

「あ!」

と、僕が指差す場所にはウサギが!

「これ、もしかして学校のウサギじゃないかな? 逃げたって先生達が言ってたもん」

「っていうか、大ネズミの正体かもな」

そう言われ、僕は、そっかと頷く。

そして、僕は、

「ごめん」

呟くように、謝った。謝罪の意味は、色々ある。

「それとありがとう」

感謝の意味も、色々あるけど、照れくさくて、僕は、チラッと見たら、アイツは少し嬉しそう見えた。

——あれ? コイツ、意外と普通?

などと、思う僕。

ホッとしたのか、気が抜けたのか、僕の腹がグゥッと鳴った。

「朝食べて来なかったから」

苦笑いで、そう言った僕に、ポケットから苺ガムキャンディを出して、差し出して来たので、遠慮なく、

「え、くれるの? ありがとう」

と、受け取って、食べる僕に、

「2ゲルだから」

と、言われた。

「金とるの!?」

「当たり前だろ」

「当たり前? 普通はくれるよね?」

「普通は金とる」

「普通は友達に金はとらないよ!」

僕がそう言うと、そっかと、頷くから、僕はおかしくて笑ってしまう。


「おーーーーい!!!!」

大人達の声が聞こえる。

泣きじゃくるラテの声も聞こえる。


その屋敷を出て、大人達の説教を聞いた後、それでも元気が一番と、ラテの父親が、3人の勇士を写真におさめた——。


そんな大騒ぎを起こしたのに、アイツの両親は駆けつけてさえ来なかった・・・・・・。

アイツは掠り傷とは言え、怪我もしたのに。

僕とラテは両親に連れられ、帰るのに、アイツはたった一人で帰って行った。

もしかしたら、アイツは僕が想像するより、全然普通で、普通に悲しいのかもしれない。

それに気が付いたラテは、僕に教えたかったのかもしれない。


「おい、聞いたよ、学校のウサギ、見つけたんだってな!」

「あのお化け屋敷に入ったんでしょう!? すごーい!」

次の日、学校に行くと、もうみんなが知っていた。

だが、誰もアイツの所には行かず、僕に集まり、話を聞きたがる。

僕はアイツと話がしたいと思ったけど、みんながいるから、行けなくて、みんなの話に相槌を打ちながら、アイツを目で追ってたら・・・・・・

その時——

「シンちゃーん、エノッチー、写真できたよー!」

ラテが、そう言って、僕とアイツを呼んだ。


左にウィンクしてガッツポーズのシンバ。

真ん中に大きなウサギを抱いた笑顔のラテ。

右にピースした僕——。


まるで仲良しだ。

もしかして、らしくないガッツポーズをしたのは、傷を隠す為なのかなと、僕はアイツの性格を考えてみて、ちょっと深読みする。

写真を無表情で見つめるアイツに、前なら、何を考えてるのか、わからない奴だと、思ったけど、きっと、仲良しみたいだなと、僕と同じ事を考えてそうだと思った。だから、

「なぁ、シン、アンカー走れよ」

と、僕は、シレッと、仲良しみたいな口振りで、言ってみた。


『シンちゃん』ってラテが呼ぶなら、僕もそう呼ぶ事にする。

でも『シンちゃん』ってキャラじゃないだろう?

だから呼び捨て。


そんな僕に驚いた顔をしたのはラテ。

シンは驚きもなく、平然とした当たり前の顔で、

「お前からバトン受け取るなら走ってやってもいい」

そう答えた。

「いいよ、アンカーがゆっくり走っても抜かれないよう、断然、引き離して渡してやるから、安心してアンカー引き受けなよ」

と、僕が言うと、シンは少し笑って見せた。

「えええええ!? いつからそんなに仲良くなったの!?」

ラテがそう言うと、僕とシンは声を合わせ、

「なに今更」

そう答えた。


運動会のリレーで、僕達のクラスは優勝した。

相変わらず、シンは誰とも余り喋らず、それでも僕にはラテと同様、心を開いてくれてるようだ。

そんなシンに、僕もいつしか、他の友達よりも特別に思えていた。

男同士だから、ラテとは違い、分かり合える部分も多くある。

思ったより、無感情な奴かと思えば、かなりの負けず嫌いだと言う事も知った。

どんどんシンを知って行く事に、知らないでいたかった事も知ってしまう。

シンはラテがやっぱり好きなんだ。

それは友達としてではなく——。

だけど、シンは僕の気持ちを知っている。

だから距離をうまく保っている。

いつか大人になる日まで——。

でも大人になっても変わらないものもあるんだと、そう信じて——。


〜One's Best Friend END〜


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